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番外編*十五年目の煩悩
15
「痩せた……な?」
二人の汗で湿ったシーツに横たわり、妻の腰を抱き締め、聞いた。
体重に関してはタブーかとも思ったが、恐らく本当に痩せている。
「少しね?」
掠れた声で、妻が答える。
「あれか。運動の成果か」
ベタなことを言ってみた。
「……かなぁ」
意外と素直な返事。
「継続が大事だな?」
「……ヨロシクオネガイシマス」
俺の胸に頬擦りする柚葉に、鼓動が弾む。
中学生かと突っ込みたくなる。
中学生と言えば……。
「由輝、楽しんでるかな」
言おうと思ったことを、妻が先に言った。
「変な土産買ってこなきゃいいけど」と俺が呟くと、柚葉が笑った。
出発前の様子からして、父への土産は期待できなそうだ。
年頃の由輝の心境を考えれば、寝室以外で柚葉に触れるのはやめた方がいいだろう。
「せめて、ノックをさせるか」
「え?」
「由輝」
「ああ」
今まで、ノックなしで入って来られても困る状況がなかったが、こうして柚葉と抱き合うようになれば、そうはいかない。
「基本のマナーだしな」
「うん」
「職員室もノックなしで入ってるわけじゃないだろうな」
「まさか」
「社会人になったら困るし」
「うん」
「やましいことがあるわけじゃ――」
「――そんなに理由づけしなくても」
フフフッと柚葉が笑う。
チュッとつむじに口づけた。
「柚葉」
「ん?」
妻の頭に顎を乗せる。
「お前は俺と広田が一緒にいるのを見ても妬かなかったって言ったけど、俺は妬けたよ」
「え?」
「店長が柚葉のうなじに触った時」
「あれは――」
「――妬けたな」
柚葉が俺以外の男と親しくしている様を見たことがなかったからかもしれないが、いざ見てしまえば、信頼しているだなんて妬かない理由にはならない。
信頼が理性なら、嫉妬は感情だ。
どちらかだけが絶対だなんて、有り得ない。
「妬いてないとは言ってないよ?」
もぞっと、柚葉が顔を上げる。
「疑わないとは言ったけど、妬いてないとは言ってない」
「そう……か?」
「うん」
「……そっか」
「うん」
嬉しくなった。
そして、欲しくなった。
我ながら、単純だ。
記憶では、ラブホテルの無料のコンドームは二つ。
だが、この部屋には三つあった。
今時は、そうなのか?
これは、口に出さなかった。
この状況で、妻以外と言ったラブホテル話をしていいはずがないことくらいは、わかる。
ともあれ、あと二回は許されるということだ。
「柚葉」
顎クイという技を、意図的にやってみる。
「こういうの、好きなんだ?」
ぶわっと一瞬にして彼女の顔が赤くなる。
「好きって……いうか――」
「――結婚十五年にして、初めて知った」
「……っ!」
泣き顔は見たくないと思っていたが、ベッドの中ではありだな。
結婚十五年。
自分の知られざるS気質が目を覚ました夜だった。
二人の汗で湿ったシーツに横たわり、妻の腰を抱き締め、聞いた。
体重に関してはタブーかとも思ったが、恐らく本当に痩せている。
「少しね?」
掠れた声で、妻が答える。
「あれか。運動の成果か」
ベタなことを言ってみた。
「……かなぁ」
意外と素直な返事。
「継続が大事だな?」
「……ヨロシクオネガイシマス」
俺の胸に頬擦りする柚葉に、鼓動が弾む。
中学生かと突っ込みたくなる。
中学生と言えば……。
「由輝、楽しんでるかな」
言おうと思ったことを、妻が先に言った。
「変な土産買ってこなきゃいいけど」と俺が呟くと、柚葉が笑った。
出発前の様子からして、父への土産は期待できなそうだ。
年頃の由輝の心境を考えれば、寝室以外で柚葉に触れるのはやめた方がいいだろう。
「せめて、ノックをさせるか」
「え?」
「由輝」
「ああ」
今まで、ノックなしで入って来られても困る状況がなかったが、こうして柚葉と抱き合うようになれば、そうはいかない。
「基本のマナーだしな」
「うん」
「職員室もノックなしで入ってるわけじゃないだろうな」
「まさか」
「社会人になったら困るし」
「うん」
「やましいことがあるわけじゃ――」
「――そんなに理由づけしなくても」
フフフッと柚葉が笑う。
チュッとつむじに口づけた。
「柚葉」
「ん?」
妻の頭に顎を乗せる。
「お前は俺と広田が一緒にいるのを見ても妬かなかったって言ったけど、俺は妬けたよ」
「え?」
「店長が柚葉のうなじに触った時」
「あれは――」
「――妬けたな」
柚葉が俺以外の男と親しくしている様を見たことがなかったからかもしれないが、いざ見てしまえば、信頼しているだなんて妬かない理由にはならない。
信頼が理性なら、嫉妬は感情だ。
どちらかだけが絶対だなんて、有り得ない。
「妬いてないとは言ってないよ?」
もぞっと、柚葉が顔を上げる。
「疑わないとは言ったけど、妬いてないとは言ってない」
「そう……か?」
「うん」
「……そっか」
「うん」
嬉しくなった。
そして、欲しくなった。
我ながら、単純だ。
記憶では、ラブホテルの無料のコンドームは二つ。
だが、この部屋には三つあった。
今時は、そうなのか?
これは、口に出さなかった。
この状況で、妻以外と言ったラブホテル話をしていいはずがないことくらいは、わかる。
ともあれ、あと二回は許されるということだ。
「柚葉」
顎クイという技を、意図的にやってみる。
「こういうの、好きなんだ?」
ぶわっと一瞬にして彼女の顔が赤くなる。
「好きって……いうか――」
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