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2章 帝国の呪い
2-73 きずなと読むか、ほだしと読むか
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「、、、どちら様でいらっしゃいますか?」
大教会の薬部屋にやってきたのは、、、誰だ?
うーん、誰かに似ている気がするんだが、直接会った記憶はないなあ。
厄介ごとの予感。
複数の従者を連れて、豪華な軍服を着ている時点で察しろってことなのかもしれないが、いやー、わからないなー。ポシュかメーデがいれば誰だかわかったのかもしれないが、ここにオルド帝国の皇子たちの顔を識別できる者はおらんぞ。
帝国民なら皇帝の顔は必ず知っている、、、らしい。
サザさんの顔を皇帝と判断できない人がいるのは良くわからないが、それは印象が違うので仕方ないと思おう。あの豪華黒軍服を身にまとってこその皇帝なんだ、きっと。
庶民では皇太子を知っているのは一部、その他の皇子の顔まで知っているのはごくごく一部。
新聞に姿絵を載せていても、皇帝になるまでの皇子たちはほぼ覚えられていないと言ってもいい。
皇子たちの名前も意外と知られてないらしい。
現在、薬部屋にいるのは、俺とセリム、見習四人である。
ポシュとメーデは修繕工事の現場が騒がしいので、今日はリーウセンたちとともに行動するように頼んでみたら、快く引き受けてくれた。
「この御方をどなたと心得る」
だから、わからないから誰だと尋ねているんだが?
全員が全員、自分を知っていると勘違いしてたら、恥ずかしい思いをするのはお前らだぞ。
「やめろ、先触れもなしに押し掛けたのは我々だ」
先走った従者をとめたのは、皇子様。
皇子の一人ってことは、さすがにわかるのだが。
この真夏に豪華なマントまで羽織っているのだから。常々思っているけど、見ている方が暑いんですけど。冷房の魔法をかけているんでしょうけども、視覚的情報って重要だよね。
非常に暑苦しい。
「失礼した。私はサザーラン皇帝の息子、第三皇子のトリステラだ」
「はあ」
「何だっ、その気の抜けた返事はっ。主人が名乗ったんだぞ。名乗り返せ」
「貴方たちは黙っていなさい」
トリステラ第三皇子が従者どもを一蹴する。
柔和そうな笑顔を浮かべているが、言うべきことは言うようだ。
従者どもは納得してない表情で、言った皇子ではなく俺たちを睨みつけているが。
名乗り返せと言ったが、俺が誰かもわからずここまで来ていたら反対に怖いのだが。
正体不明な人物に会おうとすれば、さすがに従者か護衛がとめるだろ。
自己紹介を求めるお前だって俺が誰かわかっていなければここまで来てないだろ。
皇帝は従者も護衛もつけないで行動するが、皇子は足枷をつけられて行動するしかないのだろうか?
第三皇子がここに来る理由がさっぱりわからない。
けれど、とりあえずは。
「トリステラ第三皇子殿下、このような場までご足労いただきありがとうございます。どのようなご用件でこちらまでお越しいただいたのでしょうか」
そもそも俺に用なら帝城で呼び出せば充分じゃないか?
なぜわざわざ第三皇子がこの大教会までやってくる必要があったのか?
俺の仕事の邪魔にもなるし。庶民、、、捕虜に対して優しくないよ。
しかも、ナナキ氏を通さないとは。
通したくない案件なのだろうか。
通さなくても、黒ワンコネットワークでナナキ氏に瞬時に伝わっている気がするのだが。
ナナキ氏の黒ワンコ、ナナキ氏のことが大好きだからなあ。
帝国の密偵がこの大教会にもいるということは、この第三皇子も知らないわけがない。
「貴方に質問したいことがあるのだが、」
「帝城では難しい質問なのでしょうか」
「貴様っ、無礼なっ。この御方は第三皇子で」
「二度も言わせるな。黙れ」
従者の一人が護衛の手によって部屋の外につまみ出されてしまった。
一度許してもらえたからって、何度も許してもらえるとは限らない。
会話をブチ切り続けるのなら会話自体が成り立たなくなるということに気づかないのなら間抜けだし、会話を成立させたくないのならもう少しスマートに目立たない手段でやった方が良いに決まっている。
「すまない。こちらの都合でこの場を選定した。他の者に邪魔されたくなかった」
従者に会話を邪魔されてませんでした?
あの従者は第三皇子が考える他の者の回し者でしたか?
「そうでしたか。仕事中ですので、手短にお願い致します」
「ああ、単刀直入に聞く。帝国の呪いの解き方を知っているのか」
おや?
どこからその情報が?
普通に考えるとナナキ氏からという線が濃厚なのだが、セリムの肩にのっている銀ワンコちゃんが首をブンブン横に振っているなあ。
キミたち、念話より早く意思疎通してない?
銀ワンコはセリムを守っている限りは他に何をしてもらってもかまわないのだが。
しっかし、皇帝直属精鋭部隊の一部によって呪いの鎖を試しに破壊され続けている第二皇子ならまだわかるのだが、第三皇子がそれを尋ねに来るとは。
「誰からその話を?」
「様々なところから伝え聞いたり漏れ出た話を、総合的にまとめると貴方しかいないという結論になったのだが、間違っていただろうか」
この人、諜報員の統括してたりしてませんか。
皇帝や皇弟は貴方には口にしてませんよね。
総合的に情報をまとめても、俺に行きつくだろうか?
どーんな情報をどこから仕入れていることやら。
「ならば、解呪方法をご存じの方も予測がつくのではないのですか」
「解呪方法を知っている者がいたとしても、どうしてもその者の思惑が絡みつく。知っていることと私に真実を話すこととは同じではない」
「まあ、確かに」
けれど、皇帝だろうとナナキ氏でも普通に聞けば話しそうな気がするのだが。
皇帝は最後の悪あがきをしているようだが。
どんなに探しても他の解呪方法は存在しないのに。
あの人はどういう結論を出すのだろうか。
第一皇子である皇太子は父親が何かしているとは気づいているようだが、皇帝の仕事を押しつけられていて忙しすぎるので動けない。皇太子が介入すると絶対に解呪反対で邪魔するから、動けないのは皇帝にとって好都合だったりするのだろうけど。
「ならば、直接聞く方が正しい情報を得られる」
それはそうなのだが。
正しい情報を得られても、疑い続ける皇帝のような存在もいる。
言った相手を信用しない限り、正しい情報であっても曲がった見方をしてしまうのである。
敵国の捕虜がわざわざ相手が受け入れられるように言葉を選んで納得しやすいように話を進めてくれるわけがない。
そこまで期待するなら馬鹿の極みだ。
解呪方法の裏付けをいくら欲しがっても、そんなものは出てこない。
こういうものは勘や直感みたいなものだ。
見ていると、ああ、コレはと、ひらめく。
解呪したら鎖が霧散するからそれでいいじゃないか、と言ってしまえるのは他国の者だからだろう。
まあ、呪いの鎖を辿れば、普通に霊廟に辿り着くから、憶測はつくだろうけど。
呪いの解呪方法なんて、はじめから呪いをかけた魔導士から答えを示されていない限り、気づかないときは絶対に気づかない。
反対に、何で気づかないのかなあと思うほど、気づく者はあっさりと気づく。
帝国の者たちが愚かというわけではなく、呪いを受けている者たちはたいてい解呪方法には気づかない。
どんなにそれを望んだとしても。
この世界の呪いなんてそんなものだ。
俺が正しい解呪方法を示しても、帝国は自国の民しか信じてないところがあるので、この経過は仕方ないことだとも言えよう。
「トリステラ第三皇子殿下、申し訳ございませんが、俺が解呪方法を知っているかどうかの御返答も今ここですることはできかねます」
「、、、それは」
「俺はナナキ皇弟殿下には胃袋をつかまれておりますが、貴方とは初対面です。捕虜が敵国の皇子が欲しいと望む情報を素直に渡すとお考えでしょうか」
俺の返答に第二のイキリ従者が生まれようとしていたが、トリステラ第三皇子は背中でそれを制していた。
拷問等を考えているのなら、それは逆効果である。
普通に帝国から逃亡することを決意するだけだ。
「確かにここはオルド帝国だが、そなたたちはリンク王国の者だったな。また改めて場を設けることは許してほしいのだが」
「ご連絡をいただければ、次の機会までは応じましょう」
トリステラ第三皇子が帰った後、ナナキ皇弟殿下が飛んで来たのは言うまでもない。
大教会の薬部屋にやってきたのは、、、誰だ?
うーん、誰かに似ている気がするんだが、直接会った記憶はないなあ。
厄介ごとの予感。
複数の従者を連れて、豪華な軍服を着ている時点で察しろってことなのかもしれないが、いやー、わからないなー。ポシュかメーデがいれば誰だかわかったのかもしれないが、ここにオルド帝国の皇子たちの顔を識別できる者はおらんぞ。
帝国民なら皇帝の顔は必ず知っている、、、らしい。
サザさんの顔を皇帝と判断できない人がいるのは良くわからないが、それは印象が違うので仕方ないと思おう。あの豪華黒軍服を身にまとってこその皇帝なんだ、きっと。
庶民では皇太子を知っているのは一部、その他の皇子の顔まで知っているのはごくごく一部。
新聞に姿絵を載せていても、皇帝になるまでの皇子たちはほぼ覚えられていないと言ってもいい。
皇子たちの名前も意外と知られてないらしい。
現在、薬部屋にいるのは、俺とセリム、見習四人である。
ポシュとメーデは修繕工事の現場が騒がしいので、今日はリーウセンたちとともに行動するように頼んでみたら、快く引き受けてくれた。
「この御方をどなたと心得る」
だから、わからないから誰だと尋ねているんだが?
全員が全員、自分を知っていると勘違いしてたら、恥ずかしい思いをするのはお前らだぞ。
「やめろ、先触れもなしに押し掛けたのは我々だ」
先走った従者をとめたのは、皇子様。
皇子の一人ってことは、さすがにわかるのだが。
この真夏に豪華なマントまで羽織っているのだから。常々思っているけど、見ている方が暑いんですけど。冷房の魔法をかけているんでしょうけども、視覚的情報って重要だよね。
非常に暑苦しい。
「失礼した。私はサザーラン皇帝の息子、第三皇子のトリステラだ」
「はあ」
「何だっ、その気の抜けた返事はっ。主人が名乗ったんだぞ。名乗り返せ」
「貴方たちは黙っていなさい」
トリステラ第三皇子が従者どもを一蹴する。
柔和そうな笑顔を浮かべているが、言うべきことは言うようだ。
従者どもは納得してない表情で、言った皇子ではなく俺たちを睨みつけているが。
名乗り返せと言ったが、俺が誰かもわからずここまで来ていたら反対に怖いのだが。
正体不明な人物に会おうとすれば、さすがに従者か護衛がとめるだろ。
自己紹介を求めるお前だって俺が誰かわかっていなければここまで来てないだろ。
皇帝は従者も護衛もつけないで行動するが、皇子は足枷をつけられて行動するしかないのだろうか?
第三皇子がここに来る理由がさっぱりわからない。
けれど、とりあえずは。
「トリステラ第三皇子殿下、このような場までご足労いただきありがとうございます。どのようなご用件でこちらまでお越しいただいたのでしょうか」
そもそも俺に用なら帝城で呼び出せば充分じゃないか?
なぜわざわざ第三皇子がこの大教会までやってくる必要があったのか?
俺の仕事の邪魔にもなるし。庶民、、、捕虜に対して優しくないよ。
しかも、ナナキ氏を通さないとは。
通したくない案件なのだろうか。
通さなくても、黒ワンコネットワークでナナキ氏に瞬時に伝わっている気がするのだが。
ナナキ氏の黒ワンコ、ナナキ氏のことが大好きだからなあ。
帝国の密偵がこの大教会にもいるということは、この第三皇子も知らないわけがない。
「貴方に質問したいことがあるのだが、」
「帝城では難しい質問なのでしょうか」
「貴様っ、無礼なっ。この御方は第三皇子で」
「二度も言わせるな。黙れ」
従者の一人が護衛の手によって部屋の外につまみ出されてしまった。
一度許してもらえたからって、何度も許してもらえるとは限らない。
会話をブチ切り続けるのなら会話自体が成り立たなくなるということに気づかないのなら間抜けだし、会話を成立させたくないのならもう少しスマートに目立たない手段でやった方が良いに決まっている。
「すまない。こちらの都合でこの場を選定した。他の者に邪魔されたくなかった」
従者に会話を邪魔されてませんでした?
あの従者は第三皇子が考える他の者の回し者でしたか?
「そうでしたか。仕事中ですので、手短にお願い致します」
「ああ、単刀直入に聞く。帝国の呪いの解き方を知っているのか」
おや?
どこからその情報が?
普通に考えるとナナキ氏からという線が濃厚なのだが、セリムの肩にのっている銀ワンコちゃんが首をブンブン横に振っているなあ。
キミたち、念話より早く意思疎通してない?
銀ワンコはセリムを守っている限りは他に何をしてもらってもかまわないのだが。
しっかし、皇帝直属精鋭部隊の一部によって呪いの鎖を試しに破壊され続けている第二皇子ならまだわかるのだが、第三皇子がそれを尋ねに来るとは。
「誰からその話を?」
「様々なところから伝え聞いたり漏れ出た話を、総合的にまとめると貴方しかいないという結論になったのだが、間違っていただろうか」
この人、諜報員の統括してたりしてませんか。
皇帝や皇弟は貴方には口にしてませんよね。
総合的に情報をまとめても、俺に行きつくだろうか?
どーんな情報をどこから仕入れていることやら。
「ならば、解呪方法をご存じの方も予測がつくのではないのですか」
「解呪方法を知っている者がいたとしても、どうしてもその者の思惑が絡みつく。知っていることと私に真実を話すこととは同じではない」
「まあ、確かに」
けれど、皇帝だろうとナナキ氏でも普通に聞けば話しそうな気がするのだが。
皇帝は最後の悪あがきをしているようだが。
どんなに探しても他の解呪方法は存在しないのに。
あの人はどういう結論を出すのだろうか。
第一皇子である皇太子は父親が何かしているとは気づいているようだが、皇帝の仕事を押しつけられていて忙しすぎるので動けない。皇太子が介入すると絶対に解呪反対で邪魔するから、動けないのは皇帝にとって好都合だったりするのだろうけど。
「ならば、直接聞く方が正しい情報を得られる」
それはそうなのだが。
正しい情報を得られても、疑い続ける皇帝のような存在もいる。
言った相手を信用しない限り、正しい情報であっても曲がった見方をしてしまうのである。
敵国の捕虜がわざわざ相手が受け入れられるように言葉を選んで納得しやすいように話を進めてくれるわけがない。
そこまで期待するなら馬鹿の極みだ。
解呪方法の裏付けをいくら欲しがっても、そんなものは出てこない。
こういうものは勘や直感みたいなものだ。
見ていると、ああ、コレはと、ひらめく。
解呪したら鎖が霧散するからそれでいいじゃないか、と言ってしまえるのは他国の者だからだろう。
まあ、呪いの鎖を辿れば、普通に霊廟に辿り着くから、憶測はつくだろうけど。
呪いの解呪方法なんて、はじめから呪いをかけた魔導士から答えを示されていない限り、気づかないときは絶対に気づかない。
反対に、何で気づかないのかなあと思うほど、気づく者はあっさりと気づく。
帝国の者たちが愚かというわけではなく、呪いを受けている者たちはたいてい解呪方法には気づかない。
どんなにそれを望んだとしても。
この世界の呪いなんてそんなものだ。
俺が正しい解呪方法を示しても、帝国は自国の民しか信じてないところがあるので、この経過は仕方ないことだとも言えよう。
「トリステラ第三皇子殿下、申し訳ございませんが、俺が解呪方法を知っているかどうかの御返答も今ここですることはできかねます」
「、、、それは」
「俺はナナキ皇弟殿下には胃袋をつかまれておりますが、貴方とは初対面です。捕虜が敵国の皇子が欲しいと望む情報を素直に渡すとお考えでしょうか」
俺の返答に第二のイキリ従者が生まれようとしていたが、トリステラ第三皇子は背中でそれを制していた。
拷問等を考えているのなら、それは逆効果である。
普通に帝国から逃亡することを決意するだけだ。
「確かにここはオルド帝国だが、そなたたちはリンク王国の者だったな。また改めて場を設けることは許してほしいのだが」
「ご連絡をいただければ、次の機会までは応じましょう」
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