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四日目
四日目:朝③
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僕の部屋には当然、鍵はかかっていない。僕はドアノブを回すと、扉を開けた。りんちゃんは黙ってまっすぐにベッドに向かって歩いていくと、何も言わずに僕のベッドの上に寝っ転がった。
布団もかけずに、ぽてっと転がっている。かろうじて目を開けてはいるが、しばらくこうしていたら寝入ってしまいそうな感じだ。
「なんか、眠いときの犬みたい」
僕はくすりと笑って、りんちゃんの髪をそっと撫でる。猫の毛みたいに柔らかい、くせっ毛のアッシュゴールド。指先がくすぐったくて気持ちがいい。
彼は普段、自分の体に触れられるのをすごく嫌がる。だいたいは『さわんなや!』と言われて手をはたかれる。たまに無言で。本当に機嫌の悪いときは拳や足が飛んでくることもある。
ごくたま~に機嫌のいいときだけ、りんちゃんは触らせてくれる。そして、眠いときにも。そう、今みたいにね。
僕は、アッシュゴールドのふわふわの中に指先をうずめた。そして、犬を撫でるときみたいに優しく撫でる。彼の耳に触れないように、注意しながら。今度は、彼の髪の毛を指先でくるくると遊ばせる。りんちゃんはずっと、僕にされるがままだった。
「ふぁあ……」
彼は大きく口を開けて、あくびをした。口の中の犬歯が良く見えた。
「おめぇは、ホスト野郎みてぇに、俺がバリタチだって疑ってねェのかよ?」
僕は、首を横にふるふると振る。
「うん。だってもし、りんちゃんがバリタチだったら、真っ先に僕の部屋に来る」
「チッ。俺がテメェとヤりてぇみてーじゃねーか」
りんちゃんは僕から顔をそらし、体ごと壁の方を向いた。僕は、ベッドの上に登り、彼の前に正座する。
「僕も……、僕も、僕がバリタチだったら、一日目の夜、必ずりんちゃんのところに行く」
僕は、じっとりんちゃんの顔を見つめた。彼も、僕を見つめ返した。数秒たって、りんちゃんが噴き出した。
「くくく……。どーだかなァ」
「ほっ、ほんとだよ!」
もー、本気にしてないな。顔が熱くなっちゃった。僕ばっかり君のことが好きみたいで、なんだか悔しいや。
「シャワー浴びてくるね」
僕は、ベッドを揺らさないように注意して、そっと床に降りる。返事は、なかった。
布団もかけずに、ぽてっと転がっている。かろうじて目を開けてはいるが、しばらくこうしていたら寝入ってしまいそうな感じだ。
「なんか、眠いときの犬みたい」
僕はくすりと笑って、りんちゃんの髪をそっと撫でる。猫の毛みたいに柔らかい、くせっ毛のアッシュゴールド。指先がくすぐったくて気持ちがいい。
彼は普段、自分の体に触れられるのをすごく嫌がる。だいたいは『さわんなや!』と言われて手をはたかれる。たまに無言で。本当に機嫌の悪いときは拳や足が飛んでくることもある。
ごくたま~に機嫌のいいときだけ、りんちゃんは触らせてくれる。そして、眠いときにも。そう、今みたいにね。
僕は、アッシュゴールドのふわふわの中に指先をうずめた。そして、犬を撫でるときみたいに優しく撫でる。彼の耳に触れないように、注意しながら。今度は、彼の髪の毛を指先でくるくると遊ばせる。りんちゃんはずっと、僕にされるがままだった。
「ふぁあ……」
彼は大きく口を開けて、あくびをした。口の中の犬歯が良く見えた。
「おめぇは、ホスト野郎みてぇに、俺がバリタチだって疑ってねェのかよ?」
僕は、首を横にふるふると振る。
「うん。だってもし、りんちゃんがバリタチだったら、真っ先に僕の部屋に来る」
「チッ。俺がテメェとヤりてぇみてーじゃねーか」
りんちゃんは僕から顔をそらし、体ごと壁の方を向いた。僕は、ベッドの上に登り、彼の前に正座する。
「僕も……、僕も、僕がバリタチだったら、一日目の夜、必ずりんちゃんのところに行く」
僕は、じっとりんちゃんの顔を見つめた。彼も、僕を見つめ返した。数秒たって、りんちゃんが噴き出した。
「くくく……。どーだかなァ」
「ほっ、ほんとだよ!」
もー、本気にしてないな。顔が熱くなっちゃった。僕ばっかり君のことが好きみたいで、なんだか悔しいや。
「シャワー浴びてくるね」
僕は、ベッドを揺らさないように注意して、そっと床に降りる。返事は、なかった。
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