【完結】異世界に来たっぽいんだけど、好きな人と一緒に居れるなら問題ありません。(加筆版)

永倉伊織

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第1章 無人島篇

第9話 日記

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side:桜井美智瑠



手帳の表紙をゆっくりめくると

『2015 diary』の文字

続けてページをめくると、1月1日から日記は始まっていた

この日は実家で家族と一緒に初詣に行ったらしい

残念ながら日記は1~2行のメモ程度の事しか書かれておらず、地名等の日記の主について分かる事は期待薄のように思える


とりあえず日記を読み進めて行くと

1月4日に1人暮らしをしている部屋、つまり私達が今居る部屋に帰って来たらしい

そして1月の終わりぐらいからは、レポートの提出期限とか、合コンとか、バイトの面接とか

日記というよりはスケジュール帳のような内容に変わってきた

それでも、この日記を書いた人物が女性であり大学生らしいという事は分かった


何か手がかりになりそうな事も書いてないので、パラパラと流し読みをして行くと、6月8日から突然5日連続で空白が続いている

ここまでにも何度か空白はあったけれど3日以上空白になる事は無かった、そのままページをめくって行くと


6月13日に日記が再開された

その内容は

『ここはゲームの世界?』


これまでとは違いかなり弱々しい字で書かれている


「なっちゃんこれって」

「この日記を書いた人もなんらかの方法で、この島に来たって事かな?スライムを見たとしたらここがゲームの世界って考えるのも納得出来るし」


とにかく今は日記を読み進めてみよう。




【6月14日】

昨日は久しぶりに満腹になって寝落ちしたけれど、ここはゲームの世界なのかもしれない

何故なら森を歩いている時にゲームに出てくるスライムそっくりの生物が居たから、私はなんらかの方法でゲームの世界に閉じ込められたのかもしれない


私がこのよく分からない場所に来たのは8日の夜

バイトが終わり家に帰る途中で突然目眩がしたから、とにかく落ち着こうとその場でしゃがんでいたら

ふと気付くと森の中に居た、最初は夢かと思ったけどお腹は空くし蚊に食われて痒いし、目は全然覚めないし

とにかく人の居る所か道路を探して森を歩いた

途中で川を見付けて飲み水の心配は無くなったけど食べ物が欲しい

偶然見付けたミカンのような実を食べながらまた歩いた

空腹のせいではっきりとは覚えていないけど、この森に来てから4日?5日?が経過したと思う

もう駄目かと思い家に帰りたいと呟きながら途方に暮れていたら、突然目の前にマンションの私の部屋が出現した

最初は幻かと思ったけど304号室だし、とにかくカギを開けて部屋に入ると家を出た時のままだった

こたつの上に置きっぱなしにしていた食パン2枚とハムサンドを、貪るように食べて落ち着くと

日記にこれまでの事を書こうと1行目を書いて寝落ちしてしまった。



【6月15日】

今朝まで使えていたコンロと水道が使えなくなってしまった。

普通に考えると1回でも使えた事自体が奇跡なんだけど。



【6月16日】

家に置いてあった食べ物を全部食べてしまった

元々冷蔵庫には卵とキャベツが残っていただけで、もっと食料を備蓄しておけば良かった。



【6月17日】

少し怖いけど外に出て食料を探さないと駄目だ。



【6日18日】

家の近くにあるミカンのような実はほぼ取ってしまったみたい。







ふぅ~、ちょっと休憩

日記の最初こそ長文だったけど、だんだんメモ程度の内容になってしまっている

色々と気になる事が書いてあるのに詳細が全く分からない

どうやらこの人は日記を書くのが苦手らしい

そういう私も日記は3日以上続いた事が無いけど(笑)


さてと、日記の続きを読もう。





【6月19日】

人の声が聞こえたのでカーテンのすき間から外を覗いたら、鎧を来たゲームのキャラっぽい格好の4人が通り過ぎた

何故か分からないけど彼等にはこの部屋が見えていないようだった。






「え?これって」

「みっちゃん、とにかく今は続きを読んでみよう」

「うっ、うん」






つづく。
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