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第2章 商い篇

第7話 お客さん第1号♪

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side:桜井美智瑠



「すいませ~ん、ココって道具屋さんでしょうか?」


ついに待望のお客さん第1号がやって来た!

お店に入って来たのは15~16歳くらいの少女で、靴こそ登山靴みたいな頑丈そうなブーツを履いているけれど

ハーフパンツに薄手の半袖シャツという冒険者にしてはかなり軽装に見える

ここがセーフゾーンだから楽な格好をして休憩に専念してるって事なのかな?


「いらっしゃいませ♪ここは食べ物も売ってる雑貨屋みたいな感じのお店ですね」

「そうですか、でもどうしてわざわざダンジョンにお店を?」


やっぱりココはダンジョンで間違い無かったんや、でもお店をやってる理由を聞かれても困るぅー(汗)


「それはダンジョン攻略をする冒険者の方達を陰ながら応援したいと、とある御方が出されたお店なんです。素性がバレて騒ぎになるとお店を続けられなくなるので詮索はご遠慮願います。」


おおっ!

私が何て答えようか迷ってる間になっちゃんが完璧な回答をしている!


「そういう事なら納得です。ダンジョン内で物資の補給が出来るのは本当に助かりますから、経営者の詮索はしないと約束します。えっと、商品は手に取って見ても良いですか?」

「勿論です、どうぞご自由に♪」


「へぇ~、銀貨1枚均一なんだ。バナナは少し高い気もするけど、ダンジョンの入り口前にある飲食店より新鮮そうだし、、、えっ?パンがこの大きさで銀貨1枚なら断然お得じゃん!」


ふむふむ

お客さんの独り言によると、銀貨1枚均一という値段設定は正解だったみたい♪

ダンジョンの中と言う事でもう少し高値に出来そうだけど、安くて良いお店だって評判を広めて貰って

お客さんが沢山来る方が儲かりそうだからこのままでも良いかもしれない


「置いてある量で足りない場合は在庫があるんで遠慮無く言って下さいね」


お店に並べている商品は盗難された時の被害を少なくする為に、各種2個ずつしか置いてない


「それじゃあ細長いパンを4つ、バナナ1房、干し肉を、、、あのう透明な包み紙に入ってるんですけどコレは何ですか?」


お客さんが干し肉って言ったのは、真空パックされたビーフジャーキーの事だけど、やっぱり包材のポリプロピレンが気になっちゃうよねぇ

これでこの世界にビニールとかそっち系の素材が無いだろう事が分かった


「えぇーと、それは特殊な包み紙で水を通さないんですよ、ダンジョン内で持ち運ぶには便利でしょ?」

「確かに!干し肉の油が包み紙に全然染みて無いのが分かります。こんな素材があるなんてなぁ、じゃあそっちの四角いパンの包み紙も同じですか?」

「四角いのは食パンですね、質感は少し違いますけど水を通さない袋ですね。」

「じゃあ干し肉も4袋と食パンを1袋下さい、、、っていうか透明の板?」


どうやらレジカウンターに取り付けたアクリル板に今気付いたらしい


「これは防犯対策ですね、木の棒で叩いたくらいでは壊れないので良いかなと、お代は合計で銀貨10枚です。」

「なるほど、女性相手だと馬鹿な事を考える男はいっぱい居ますもんね。えっとお金ですよね、、、いち、にぃ、さん、よん、ご、、、ろく、、、、なな、、はち、きゅう、じゅう!やった、ちゃんと10まで数えられた!どうぞ」

「はい、銀貨10枚ちょうどですね、ありがとうございました♪」


両手に商品を抱えて女の子がお店から出て行くと、なっちゃんが急にしゃがみ込んでしまった


「ふぅ~~、緊張したぁー!」

「ふふっ、緊張してたわりにはダンジョンでお店をやってる理由とか、包み紙の説明とかちゃんと出来てたやん。それも事前に考えてたん?」

「一応ね。それとさっきのお客さんが銀貨を数えるの見て思ったけど、教育水準はあんまり高くないんかもしれんね。それと治安もかなり悪いと考えた方が良さそう」

「えっ?!えぇーと、なっちゃんに質問がありまーす!」

「どうしたん?」

「教育水準が低いと何があるんですかー?」

「何がって言われると困るけど、情報は集めて損は無いと思うよ。教育水準が低いと治安が悪い可能性もあるし、こっちから質問攻めにして不審がられるとお店の経営に支障が出るから、何気ない言葉を聞き逃さんようにせんと」


まさかなっちゃんがこんなに色々考えていたなんて、、、

私は単純に沢山商品を売る事しか考えて無かったよ(汗)


『ムニッ』

ん?

何やら右手に柔らかい感触が『むにむに』これはいったい


「もう!みっちゃんは直ぐ落ち込むんやから、これで元気た?」


私の右手がなっちゃんの胸に押し付けられてるぅー!


「うん!うん!出ました、元気めっちゃ出ました!」

「じゃあ頑張って商品売ろうな、沢山売れたらご褒美あるから♪」

「ご褒美!じゃあちょっと呼び込みしてくるから!」

「え?ちょっ、みっちゃーん!」



ふっふっふっ

なっちゃんからご褒美が貰えるのなら、私は湖の水を飲み干す事だって出来そうな気がするぅー!

頑張ってダンジョンで1番の人気店を目指すぞぉー!!





つづく。

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