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第2章 商い篇

第8話 需要

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side:桜井美智瑠



『ガチャっ!』


おぅふ(悲)

お客さんを呼び込む為に張り切ってお店の外に出て来たのに、人が全然居てないやん!

さっき商品を買って行ったお客さんの姿も見えないし

とっ、とにかく今は落ち着いて状況を確認しよう!


改めて外からお店を眺めて見ると、木造の2階建てで山小屋みたいな外観をしているから、ダンジョンの中にあっても不自然な感じはあまり無いと思う

あれ?

2階?

建物の中に階段なんて無かったけど、、、

うん、不思議建物にはそういうシステムがって当然やんね!


気を取り直して

学校の体育会くらいの広さの場所にポツンとお店があるわけだけど、お店をやってるだけでは勿体ない気がする

ここはテントとかバーベキューコンロを貸し出して、キャンプ場っぽくした方が良いかもしれない

一定金額を稼ぐのがミッションだったら、収入源は沢山あった方が良いからね♪


「すいませーん、店員さーん」


声をかけられたので振り返ると、先程商品を買って行った女の子がダンジョンの奥から小走りでやって来た


「はい、何でしょう?」

「えっと、この袋を4つ欲しいんですけどありますか?」


ん?

少女が見せてくれた袋は食パンが入っていた袋だけど

何故こんな袋が欲しいんだろう?


「欲しい理由を聞いても良いですか?」

「勿論です。この袋水を通さないって言ってたじゃないですか、だから試しに水溜まりに置いてみたんです。そしたら本当に全然水を通さないんですね!信じて無かった訳では無いんですけど、少しくらいは染み込んでくると思ってたんでビックリしちゃって(笑)私ポーターをしてるんで水に濡らしちゃ駄目な荷物を預かる事も多くて、そういうの入れるのにちょうど良いなって」


「ポーターって荷運びの仕事ですよね、見た所荷物は持って無いようですけど」

「それはここから少し行った所でトラップが発動して道が塞がれちゃって、通れるようになるまで時間がかかるんで急いで戻って来たんです。」


やっぱりダンジョンにトラップは付き物やったかぁ~


「みっちゃんちょっとこっち来て」

「なに?」


いつの間にかなっちゃんがお店から出て来ていて、私と少女の会話を聞いていたらしい


「みっちゃんの家ってビニール袋の買い置きある?」

「45リットルのゴミ袋とゴミ箱用の小さい袋があるけど、、、もしかしてゴミ袋を商品として売るの?」

「お客さんが欲しいって言うてるんやし、売ってあげるのが商売人としての義務やと思う」

「なっちゃんはいつの間に商売人になったんよ」

「今日からやけど(笑)」



その後

家に買い置きしてあった45リットルのゴミ袋1枚と小さい袋10枚を銀貨1枚で売ってあげると

少女は嬉しそうに戻っていった。


まさかゴミ袋がこんなに高値で売れるとは思わなかったけど、他にも日本だと価値が低くてもこっちの世界では高値で売れる物があるって事だろう。

荷物を濡らさない為にゴミ袋が欲しいって言ってたから、小物入れとしてタッパーが良いかな?


あと食べ物は果物が良さそう。

多分何日もダンジョンに居るとビタミン不足になるから、果物は絶体必要な食べ物なんだろうと思う

お客さんの話を思い出してみると、ダンジョンの入り口前にあるらしい飲食店は、それほど新鮮な果物を置いて無いっぽいし

ココにお店があるって噂が広まれば、繁盛店になるのも直ぐやん♪


そして私は、なっちゃんのご褒美を貰う為に午後からも頑張って商品売りまくるぞぉー♪





つづく。

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