【完結】異世界に来たっぽいんだけど、好きな人と一緒に居れるなら問題ありません。(加筆版)

永倉伊織

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第2章 商い篇

閑話 ドワーフのロベルト

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side:ロベルト



この街のポーターギルドのギルマスであるハンナとワシは、かれこれ30年の付き合いになる

人族というのは短命で、ドワーフの赤子が大人になる前に寿命を迎えてしまう。


そんな短命な人族なのだが、一生の間に4~5人は子を産むので出産には馴れている

逆にドワーフは長命が故なのか100~200年の間に1人産めば良い方で、だから出産に馴れてる者はあまりおらん

ワシが産まれる時も『産婆』と呼ばれる仕事をしている、人族のアリサという女の世話になり、その後も幼い頃のワシに読み書き計算に礼儀作法などを教わった

いずれ一人前の大人になったら存分に恩を返そうと思うていた矢先、アリサはあっさり亡くなってしもうた

医者からは高齢故に寿命じゃろうと言われたが、ワシ等ドワーフにしてみればアリサはまだ72歳の若い娘だったのだがなぁ

ワシの曾祖父より先にアリサが逝ってしまうなど全く考えもせんかった

それからも、アリサの娘や孫、曾孫の最期まで看取る事になるとは(悲)


人族との付き合いはあまりに別れが多過ぎる、だからワシは人族とは深い付き合いをせんようにしているのだが

そんなワシの心情を知ってか知らずか、ハンナはワシに無理難題を言うてくる

ハンナはアリサの子孫じゃから無下にも出来ん


今回も

「ダンジョンにギルドの支部を置く事にしたから建物を建ててくれ」

などと言われた時もどうやって断ろうかという事ばかり考えていたくらいじゃ(笑)


まぁ断るにしても話くらいは聞いてやらねば、ハンナも納得せんじゃろうと思ったら


「ダンジョンの中に店が出来たからその店の隣に支部を建てる」と言われて、ハンナの気が狂ったと思っても仕方のない事だろう。


いかにこの街のダンジョンが他と比べて危険度が圧倒的に低いと言うても、難易度だけはAランクに分類されるダンジョンには違い無いんじゃからな!

まぁポーターという仕事を考えれば、ダンジョンの中に支部があれば休息や人員の交代などが出来て都合は良いんだろうが

だからと言うてダンジョンの中に店があるなどと、信じる奴が居たら見てみたいものだと、、、思っていた昨日のワシをブン殴ってやりたいわ!


ハンナからダンジョンに出来た店で買ったという干し肉を貰い食べて、ワシは即決した

こんなにも旨く、そして酒に合う干し肉を売る店が本当にあるのなら、客が殺到して干し肉が売り切れるのは必至

街の酒場で売ってる塩辛いだけの不味い干し肉を食べとる場合では無い!


さっそく職人を集めドワーフの秘技を存分に使い、なかば勢いだけでダンジョンにポーターギルドの支部を建てていると

今までは何も無かった場所に突然店が現れたではないか!あれがおそらくハンナが言うていたダンジョンに出来た店なのだろう

ご丁寧に不可視の魔法か何かで普段は店を見えないようにしてるとは、なかなかやりおる

これが街の中なら有り得んと驚く所じゃが、ここはダンジョンだからな不可視の魔法くらいは使って当然じゃ


店の前には3人の人族がなにやら話をしている

その内の2人は見た事が無いが、1人はポーターのベアトリスでワシとも顔馴染みじゃ

さっそく近くに行き声をかけてみると


目の前の小娘2人が干し肉を売ってる店の従業員と言うではないか

しかも店で売る予定の酒を試飲させてくれると言うので飲んでみると、これがまた最高に旨い♪

これはドワーフ特製の火酒より旨いかもしれん、、、


ガハハハハハハハ!

これじゃ、これじゃから人族と言うのは目が離せんのじゃ(笑)

ダンジョンの中に店を作って商売をするわ、火酒より旨い酒を無料で試飲させるわで

ワシ等ドワーフでは考え付かん事を次から次にやりおるのだからな!


人族との付き合いはハンナを最後に止めようかと思うておったが、目の前の小娘2人が最期を迎えるまでは見守っても良かろう

この2人と一緒におればまだまだ楽しい事がありそうだわい♪





つづく。
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