【完結】テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~

永倉伊織

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第2章 胎動

第33話 異世界の卵と雇用事情

メリルが『だし巻き玉子』を売ることに情熱を燃やした為、俺はまずこの世界の卵事情を調べる事にした。


料理の発展が遅いこの国は、美味しい卵料理が無いせいで卵の需要が低い。

最近だと女将さんの宿でオムレツが出るようになり卵の需要は少しずつ高まりつつあるが、一般市民が卵を買う事はほぼ無いらしい。

メリルが『だし巻き玉子』を売りたい理由もここにある

俺達が住んでいるキャラバンシティ周辺の地域で食用の卵というと、主にアホウドリの卵の事を言う。

この世界固有の飛ばない鳥で元世界のダチョウを倍ぐらいに太くした鳥らしい。

そのアホウドリは有精卵を産むと、その周りを囲むようにダミーとして複数の無精卵を産むのだが

ダミーの卵には全くの無関心らしくダミーの卵をとる分には全く攻撃してこない

逆に有精卵を取ろうとすると攻撃して来て返り討ちにあうらしい。

新人冒険者が命を落とす原因の1割くらいはアホウドリなんだとか

有精卵と無精卵を間違わなければアホウドリの卵の採取は超簡単なのだが、それを間違える『アホウ』な新人が後を絶たない事からアホウドリと名付けられたとかなんとか

アホウドリからしたら迷惑な話しだけどな

そのアホウドリの卵はボウリングの球ぐらいの大きさだから、個人で買って使うには大き過ぎる。

冷蔵庫も無いから1度殻を割るとその日に使いきらないといけない。

ここでようやくメリルが『だし巻き玉子』を売りたい理由と繋がる

卵が買えないなら、卵料理を売れば良いじゃないって事らしい


卵は栄養価も高いから普及させるのは賛成だけど、だし巻き玉子を売るほど作るのはただただ面倒なんだ。

ひとつずつ丁寧に焼かなきゃいけないしそれなりに時間もかかる、だし巻き玉子を100個作るとしてどんだけ時間かかるんだって話だ!

圧倒的に人手が足りん!


ちなみに、この国にある一般的な商会の雇用事情はと言うと、ほぼ家族経営で成り立っている

赤の他人を雇うと売上金の横領、商品の横流し、情報漏洩、等々ありとあらゆる犯罪行為が行われるというめちゃくちゃな事になっている

だから家族や親戚以外の従業員は『奴隷』を買う事になるし、一般市民は雑用程度の仕事しか貰えない

そのせいで住人の数に対して仕事が圧倒的に足りていない

仕事が無いから借金をする、でも仕事が無いから借金を返せなくてまた借金という負のスパイラルを繰り返し、最終的に借金奴隷になる。

しかも犯罪奴隷の半分は借金が原因という悪循環が出来上がってしまってるんだ。

最近じゃあ自分の子供を人質のように差し出して、商会で雇って貰う事も少なくないんだとか

自分の子供を人質に出すとか、戦国時代か!


そんな状況をなんとかしてやりたいと思うが、ただのおっさんの俺には解決策なんて何も思い付かない

そういうのは領主がやる事だろう。


あっ

今この街に領主は居ないんだった!

今回は直接俺が悪い訳ではないのだが、ないのだが・・・

新しい領主が来るにはまだ時間がかかるみたいだし

今の俺にはレシピの売上やその他諸々の稼ぎで一生遊んで暮らせそうな金がある。

数人雇うぐらいは簡単だけど売上金を盗まれるとか普通に嫌だし、信用出来るやつを保証人にして雇うってのが精一杯かなぁ?

とはいえ金で全てが丸く収まるって単純な話でも無い

新しい領主が良い奴だったら協力ぐらいはしてやろう。イケ好かない野郎だったら他の街に行くことも考えるか


◇     ◇     ◇


だし巻き玉子要員を確保するため、みんなでやって来ました奴隷商会!


「こんにちはー」

「いらっしゃいませ、おや?そちらのダークエルフは、、、まさか病が治るとは驚きです。」

「たまたま持ってた薬が効いてさ、ラッキーだったよ」

「それは良うございました。そして良き主に巡り会えた様子、奴隷商人冥利につきます。本日はどのような奴隷をお探しでしょうか?」

「料理が出来る奴隷を探してるんだけど居るかな?」

「料理でございますか?ここにいる奴隷では食材を切る事とスープを作る事ぐらいしか、購入して即料理を作れる奴隷は残念ながら」

「じゃあ条件を変えよう。料理は教えるから出来なくてもいい、欲しいのは教えた事を覚えようと努力する向上心のある奴隷だ。」

「なるほど承知致しました。では少々お待ち下さい。」



「ねぇダンナァ」

「なんだケイト」

「奴隷商の人が連れて来る奴隷が男でも買うの?」

「買わんな、今日買う奴隷には手取り足取りだし巻き玉子の作り方を教えるからな。俺はそんな事を男相手にしたくない!」

「ホントに?」

「ん?ケイトは男の奴隷が良いのか?」

「いっ、要らないから!ダンナもいらないんだろ?だったら要らないから!」

「ケイトって男嫌いだったのか?」

「嫌いっていうか、良い思い出が無いから。酒場で酔った奴に尻や胸を触られるなんてしょっちゅうだし、金払えば何してもいいだろって奴ばっかだったから」

「下衆野郎ってのは何処にでも居るんだな、でもそんなんでよく俺んとこ来たな?」

「ダンナはそういう事しないだろ?」

「酔って女の尻を触る趣味は無いな」

「おにいちゃんは女の人のお尻が触りたいの?」

「メリル?!他人の尻は触らないから!付き合ってる女性で尚且相手の許可があれば、、、まぁそういう事もするだろうけど」

「付き合ってる女の人なら良いの?」

「そっ、そうね、否定はしない(恥)」

「むぅ」


うーむ、微妙にメリルが不機嫌?になってしまった(汗)




「お待たせ致しました、こちらの奴隷がご希望の条件を満たしているかと思います。」


連れて来られたのは2人の少女だったのだが

頭に長い耳のある少女と、三角の耳にフサフサの尻尾のある幼女

こっ、これは

待望のもふもふ来たーーーー!!






つづく。

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