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第9章 新たなる旅立ち season2
閑話 モノセロスさん家族の旅
しおりを挟む「ふぅー(汗)皆もう少しだから頑張れー!」
「「「「「おー!」」」」」
私が声をかけると、まだ幼い4人の子供達と妻が笑顔で元気に応えてくれる。
1日中歩き続けているというのに、一昨日家で畑仕事をしていた時より皆元気だ。
それもその筈で、既に家を出てバルゴ王国で働いているコリー、ダックス、ポチの3人から仕送りがあったお陰でちゃんとした食事が出来ているからだ。
コリー、ダックス、ポチからの仕送りが想像以上に多かった為に、将来が不安な故郷の獣人国を出て、バルゴ王国のキャラバンシティに向かう事にした。
3人が働いているという池田屋商会で雇ってくれると良いのだが、どうなる事やら。
色々と心配な事は多いが、先ずは無事にキャラバンシティに着く事が最優先だ。
昨日は国境の近くに住んでいる知り合いの居る村に泊めて貰ったから良かったが、国境を越えてバルゴ王国に入ると獣人にまともな扱いは期待出来ない
理由は様々あるが獣人族のほとんどが奴隷だからだろう。
借金が原因で自ら奴隷になった者がほとんどだが、『獣人=奴隷』という構図が出来上がってしまっている
獣人に対して差別意識がある訳では無いと思うが、奴隷となると話は変わってほぼ人と扱われていないのが現状だからな
獣人国以外では、奴隷とそうでない獣人の区別をする者は稀だろう。
一応事前に調べて、奴隷の扱いが比較的まともと思われるアリエス辺境伯領から、バルゴ王国に入国する事にしたので国境の検問所の列に並んでいる。
「次!」
おっ!
我々の順番のようだ
「よろしくお願いします。」
「さっそく荷物を調べさせて、、、もしかして荷物は背負ってる鍋やらフライパンだけか?」
「はい、バルゴ王国に移住しようと考えていますので、旅に不要な物は売ってしまいました。あとは宿代と食事代として銀貨と銅貨が入っている小袋しか持っていません」
「うーむ、着のみ着のままのその格好、もしや難民か?アリエス辺境伯領では難民の受け入れはしていないんだ、悪いが他領の検問所に行ってくれ」
「いえ、私達は難民では無く移住希望者です。それに獣人国は貧しい国ですが、難民になって他国に逃げ出さなければならない国ではありません。」
「そう言われてもなぁ、バルゴ王国で子連れの獣人を雇う所があるとは思えんし、無闇に入国させてスラム街の住人を増やす訳には行かないんだよ。」
くっ!
少しでも旅の費用の足しにと思い、式典用の服まで売ったのは不味かったか(汗)
「あなた、何をこの世が終わるみたいな顔をしているんですか、情けないったら無いわね(怒)」
つっ、妻が久し振りに本気で怒っている(汗)
いつもなら即土下座をして許しを乞うのだが、子供達や兵士が見ている所で土下座をしては父としての威厳が、、、
いや、ここは威厳を捨ててでも土下座をするべきだろうか?
「しっ、しかしだな母さん、この調子だと他の検問所に行っても入国は出来ないんだぞ」
「はぁ、あなたはそれでも獣人国の男爵だった男ですか?私が惚れた頼りになるあなたは何処へ行ってしまったのかしら」
「私が不甲斐ないばかりに申し訳無い。」
「ふふっ、素直に謝れるあなたのそういう所は昔から好きですけどね♪」
あれ?
殴り飛ばされるくらいは覚悟していたのに、それほど怒って無いの?
「兵士さんお騒がせしてすいませんね、私達の子供がキャラバンシティの池田屋商会という立派な商会に雇われて働いているんですよ♪私達はそこで一緒に暮らそうと向かっている最中なのに、主人はどうにも忘れっぽい性格で嫌になります。」
「キャラバンシティの池田屋商会だと?池田屋商会はピスケス伯爵家の御用商会だから問い合わせが可能なんだが、もし嘘を付いてるなら正直に言えよ、今なら何も聞かなかった事にしてやる」
「本当の事です。」
「ではここでしばし待て」
「ちょっ、母さん(汗)急になんて事を言うんだ!確かにコリー、ダックス、ポチは池田屋商会で働いているが、池田屋商会がどれほどの規模なのかも、一緒に暮らせるかも分からないんだぞ」
「あなたの覚悟はその程度なのですか?それに手紙にも書いてあったでしょう、望むなら弟や妹達も池田屋商会で働けると。子供達が元気に生きて行けるなら、私達2人はどうにでもなるじゃありませんか」
「っ?!ああ、そうだな。また2人で畑を耕すか」
「そうですね、でも今度は飢えたく無いんで人族の方にちゃんと指導して貰いましょうね♪」
「まっ、まぁ、今なら多少は金に余裕があるから報酬を払って指導して貰うか」
「お待たせ致しました!あなたはモノセロス様で間違いありませんか?」
ん?
戻って来た兵士が私の家名を言っているが、私は検問所の兵士に名を名乗った覚えは無い
しかし否定する意味も無いか
「確かに私の家名はモノセロスですが」
「ちなみに、池田屋商会で働いている子供の名前は?」
「コリー、ダックス、ポチの3人で、、、ファーストネームが必要なら少し長いですけど、、、」
「問題ありません、3人とも通称?で働いているのが確認出来ましたから。しかしですね、最初に言って頂ければ話が早かったのに。とにかく正式な移住希望者であれば歓迎します♪どうぞお通り下さい」
「は?、、、えっ?!、、通って良いんですか?」
「勿論です!アリエス辺境伯領は池田屋商会にとてもお世話になってますし、従業員の御家族なら何も問題ありません!」
えぇー?!
何これ?
もしかして池田屋商会というのは王族が経営してるとかそういう事なのか?
コリー、ダックス、ポチは真っ当に働いてるんだよな?
心配を通り越して怖いんだが(汗)
「あなたはここまで来てビビるような腰抜けなのですか?」
「ぐっ!、、、だっ、誰にも、腰抜けなんて言わせん!成人の義の時のダンスパーティーで、嫌がるお前に言い寄っていたあほ公爵をブン殴った私に、怖いものなど無い!」
「ふふっ、私が惚れたあなたが戻って来て嬉しいわ♪さあ、行きましょう。」
「おう!」
あれ?
なんだか妻の掌で転がされているような、、、
それは今更か(笑)
お世辞にも立派な父とは言えんが、子供達が全員成人するまで
バルゴ王国で頑張るぞぉー!
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