青春の罪と罰 ~とある中学生の物語~

かがみもち

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1年目 ~野球と初の人付き合い、僕の弱さを知った日々~

第10話 決別

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泣くだけしかできなかった。
経験がなさすぎて、傷付けた事実が重すぎて。
もし、僕が人付き合いをきちんとしていれば、こんなことにはならなかったのかな。

その後、顧問の先生、学年主任、担任と話をした。
どのような経緯で起きたのか、原因はなんだったのか、ということを知るために。
そして、なにより。
再発防止のために。
僕は、我を忘れるほど本気で怒ったことがなかった。
顧問の先生、学年主任、両親と共にアイツの両親とアイツの家まで行き、謝罪をした。
僕は、終始泣いていた。
泣きたいのは傷つけられたアイツとアイツの家族だろうに。
アイツの母親は僕を許してくれた。
だけど、それは形だけということを中学校1年生ながら分かった。
夢で僕がやってしまった時の事を今でも見る。
そして、いつも、思い出す。
あの日の悔しさと悲しさが混じった気持ちと心に刺さったガラスの破片のような抜こうとしたら怪我してしまいそうな後悔を。
結果的に、ハンマーを渡した先輩も、僕に対して挑発を繰り返したアイツも、やってしまった僕自身も、止めようとしなかった野球部のメンバーも全員が悪いということになった。
これが、人を傷つけ、自分自身も傷ついた初めの罪だった。
僕は、自分が犯した罪を後悔してもう2度と誰も悲しませないように生きていく。
今もそれは続いているし、実際、あの日があったからちゃんと自分自身を見て見ぬふりをせずありのままの自分を大事に出来たのかも知れない。


       _______



1か月後。
僕は、野球部を辞めた。
続けたいという想いはなかった。
あれだけ迷惑をかけたのだから、こうなって当然だった。
最期に顧問の先生の握ってくれた手のぬくもりが今でも、温かく、僕を救ってくれている。
これが、1年目。
僕の罪の物語。
だが、これで終わりではない。
もう一人、傷付けてしまう。
もう、元には戻れない。
あの笑顔は、もう見れない。
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