青春の罪と罰 ～とある中学生の物語～

２年目 ～恋をしてしまった僕、“最低”への道のり、未来への小さな一歩～

第１２話 デュオの始まり

今思えば、これが僕が楽器に触れるキッカケだった。
その一言で機会が出来たのだから、本当に言葉は凄い。

「僕と、バンドを組まないか？」
人を自分の夢に誘う事は初めてだった。
どんな反応をされるのか分からない。
これを言ったことで、また誰かに迷惑をかけるのかも知れない。
でも、人よりなにか長けている部分があるのなら。
その分野でトップとれたら。
僕は、覆せるかもしれない。
そして、僕はもしかしたらアイツを見返せるかもしれない。
とこの時は思っていた。
この時も本当に嫌いだったから僕はアイツに勝てるならなんだってしてやると思っていた。
また調子に乗っていたのかもしれない。
野球を辞めたから何か他に出来る事を探して、行き当たりばったりでギターを購入したのだ。
最初は全然できなかった。
しかし、親父の弟……つまり叔父に教わり、少しずつ上達して現在に至る。

４月１５日。
「俺で良ければ、楽器なんて弾いたことないけどよろしく」
バンド仲間は僕にそう言った。
眼鏡の奥の光が無くなっていた瞳を光らせて。
その日から、ＪＯＳジェイオーエスというデュオが結成された。
そして、僕らは１年後の９月。
初ライブを決行する。

これは、僕らが底辺からギターで成り上がるまでの物語だ。