青春の罪と罰 ~とある中学生の物語~

かがみもち

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3年目 青春最後の罰 ~後悔のない物語を~

第28話 本当に欲しかったのは

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夢を見る。
それは、僕がアイツやあの子を傷付けた夢だ。
今でも残っているハンマーの感触。
それを持ち、アイツの頭に向けて、ゆっくりと降り下ろす。
それで覚めてくれるならどれほど良いのだろうか。
それから、あの子の家の近くに居て、辺りを見渡す。
あの子がこちらを見ていた。
目が合い、意識が飛び、僕は、両親、担任の先生、そしてクラスメイトから冷ややかな目を向けられる。
そして、皆僕から離れていく。
そこで夢は終わり、僕は最悪の気分で目覚める。
もしも、あの日に戻れるなら。
僕は、部活に入らなかった。
それなら、アイツを傷つける事もなかったし、自分も傷付く必要もなかった。
誰も好きにならなければ。
恋という概念が存在しなければ。
あの子に涙を流させる事もなかった。
僕も最低になる事もなかった。
……なんて。
そんな事、もう二度と思わない。
むしろ、部活に入ってよかった。
協調性を少しでも身に付けれたから。
アイツとぶつかってよかった。
自分と合う人だけがいるわけじゃないと知ったから。
好きになってよかった。
人との距離感を覚えたから。
恋をしてよかった。
自分の命を代えてでも、護りたいものの価値が分かったから。
もし、あの日に戻れるなら。
少しでも輪の中に入れるかな。
ちゃんとした距離感であなたと接する事が出来るかな。
もう、戻れない。
本当にありがとう。
何もない僕と共に過ごしてくれて。
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