親友がリア充でモテまくりです。非リアの俺には気持ちが分からない

かがみもち

文字の大きさ
182 / 244
第7章 光ある文化祭 ─優しさと後悔の罪─

99時間目 去年みたいな空気

しおりを挟む
 衣装を着用し、動作に異常がないか確認した俺たちは、体育館から引き払い、自教室へと向かった。

「遼太郎……。くくっ、あー、何度思い出しても笑える……」

「もー、敦志! そろそろいい加減にしてくれないかな!? そんなに笑われると恥ずかしいよ……」

「いや、だって……」

 遼太郎は、あれから俺が笑う度に怒っている。

 でもしょうがねぇじゃん。結構サマになっているから、面白くてついつい笑っちゃうんだよ。

「そ、それより! 教室向かったら一度パート1を通すからね? 敦志のシーンもあるからね!」

 なんだか、遼太郎は小学生のときに見た、「ちょっと、ちゃんと掃除してよ男子」を言う子みたいに俺をとがめた。ごめんて。

「通しは初めてだね。時間も時間だし、今日は通しでおしまいかな?」

「だなぁ。最終下校時間が19時だからそれまでには……帰りたい」

 元々、俺たちの学校は他の科を受けている生徒でも最終下校時間は18時なのだが、文化祭の準備期間は19時に延長される。

 それまでは、黙々と衣装や小物を作成するために作業をする者や、演技の舞台を整える者、去年の俺たちのように部屋にこもってギターを弾く者、今の俺たちのようにセリフを覚える者が必死に動く。

 文化祭は、本番よりも準備期間が楽しいとよく言うが、本当にそうだと思う。

 でも俺は、本番も楽しいと思う。だって、自分自身を一番だせているのが本番だからだ。

 テンションに身を任せ、その場のノリで盛り上がり、皆を奮い立たせる。

 俺は、準備期間も好きだが、やはり、本番が一番好きで楽しい。

 さぁ、待ってろ二週間後。

 去年と全く変わっていないこの空気。これが、俺は、一番楽しいんだ。

──

「……働くってしんどい……」

 僕こと、百合はくごう橙太とうたは、慣れない労働にすっかり疲労していた。

 バイト先であるコンビニは、高校の頃からの友人である睡蓮すいれんが店長(仮)としてやっている店だ。

 なんで(仮)なのかというと、店長である人は、水疱瘡みずぼうそうにかかってしまい、入院中らしい。

 ちなみに、高橋敦志という高校生がバイトを始める前からその店長は色々な病気や事故に巻き込まれるようになったらしい。

 もう神隠しにでもあってるんじゃない? その人。

 それは、さておき、僕が疲労している理由はもうひとつある。

 それは、中学の頃の元カノである神谷かみや心結みゆうという現役大学生がいるからだ。

 今年の春に僕らは、再会し、睡蓮に背中を叩かれ、少しずつ、心のなかにあった後悔をなくすことが出来た。

 心結はどうか分からないけど、今の僕は心結とちゃんと話せる自信がある。

 睡蓮は、僕と心結がシフトが被らないように調整してくれていることは知っている。

 けど、それにいつまでも甘えるわけにはいかない。

 昔みたいな甘い空気は僕らにだすことは出来るのだろうか。

 恋人と仲のよい先輩と後輩という関係のあの空気を。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

不思議な夏休み

廣瀬純七
青春
夏休みの初日に体が入れ替わった四人の高校生の男女が経験した不思議な話

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。

四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……? どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、 「私と同棲してください!」 「要求が増えてますよ!」 意味のわからない同棲宣言をされてしまう。 とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。 中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。 無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。

処理中です...