異世界召喚されたら好きな人を親友に寝盗られた~七つの大罪(グリモワール)の一人だった私は、記憶を取り戻しながら好きな人も取り戻す!~

卯月えり

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第7章【愛の言葉】

50罪 ゑレ妃の心①

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「ほら、雪ちゃん。ちゃんと、私達がすべきこともしましょう?」

 すべきこと。それはきちんと分かっていたし、やらなきゃいけないとも思っていた。
 だけど、どうしてもまだ私の心はそれに追いついてくれない。ひかる耀ひかりさんの過去の出来事が私の心に強く響いてしまっている。

(私達の前世を見るって事に、やる気が向かないよ……)

 前世を取り戻さなければ意味がないのは分かっている。追われている身の私達に猶予がないことも理解している。
 だけど、それでも、心が前に進めないと叫んでいる。
 なぜ? 前に進まなきゃいけないと分かっていて、そう思っているのに、なぜこんなにも立ち止まろうとしてしまうのか。

「雪様……もしや、うちに眠る姫様の心が叫んでおられるのでしょうか?」
「……ゑレ妃えれひ、が?」
「雪様は姫様の生まれ変わりでございます。可能性はゼロではないかと……わたくしは思いまする」

 静と向き合っていた私に一歩近寄って問いかける白卯はくうの言葉に、私は幾度も瞬きをした。
 確かに白卯はくうの言うとおりかもしれない。ひかる耀ひかりさんと繋がりの強かったゑレ妃えれひならば、こんなに心にダメージを受けてしまっていてもおかしくはない。
 私が前に進めなくなっているのは、彼らの過去を知ってしまったゑレ妃えれひの魂が関係してしまっている?

「静は……なんともないの?」
「――――――え?」

 だって、静の前世もひかる耀ひかりさんと関りがあるのだから、私のように影響が出ていてもおかしくない。そう思ったんだ。だから、私は静に助けを求めるように問いかけた。
 けれど、返ってきたのは素っ頓狂な――あまり普段聞くことのできないような静の声だった。

「だって、静だって……前世でひかる耀ひかりさんと関り……あるでしょう?」

 問いかける声が震えてしまっているのがよくわかる。
 なんでこんなにドキドキしながら問いかけているのか、私にはよくわからなかった。
 なんで私だけが二人の過去の出来事にこんなに衝撃を受けてしまっているの?
 なんで静は大丈夫なの?
 とてもとても、不思議だった。

「……私は、そうね……なんともない、みたいね」
「記憶、取り戻していないわけではないんだよね?」
「ええ。ちゃんと記憶は取り戻しているわ。たぶんだけど、雪ちゃんの前世と私の前世……ハルナの二人との関わりの深さが違ったんじゃないかしら?」

 確かに、静の言うとおりかもしれない。
 私は静の前世を知らないし、静も私の前世を知らない。だからそんなことないなんて言うこともできない。
 私はただ静の言葉をそのまま受け入れ、飲み込むしかない。
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