1 / 4
飛べない鳥たち
しおりを挟む
『永遠の恋なんてものがあったとして』
それは恋人への想いがピークに達している時か、恋が叶った瞬間に空へと飛んでいく事によってしか、成されないんだと思うんだ。
彼は、あの時そう言っていた。
わたしは、彼が大好きだったから
『そうだね』と
よくわかってもいないのに頷いて
『それなら、飛べない鳥たちは、空を見上げて精一杯歩いて行こう』と言ったと思う。
彼が、どこか嬉しそうに
『そうだね』と言って手をつないでくれたから。
結月に出会ったのは、水泳部の体験入部の時だった。
その年の4月に、地元からの入学は初めてとなる高校に入学した。
当然、元からの知人は誰もいない学校で、一からのスタートだったものの、最初に席が前後ろで仲良くなった高瀬という男が、この学園の幼稚園から、通うというベテランのお坊ちゃんだった事もあり、人間関係の構築は、労せず終了していた。
まあ、受験という篩分けのたまもので、坊っちゃんお嬢さんの集まるこの学校は、大まか皆落ち着いた大人びた生徒の集まりでもあった。
クラブは体験入部も含めて5月の連休明けにあり、水泳に興味のない高瀬を置いて、水泳部の練習に参加した。
男子はもうひとり。受験票を出しに来た日と合格発表の日の両方に偶然会った男だったが、この事もをお互いに口にした事は何故かない。
正直に言うといけ好かなかったからだ。
女子は別のクラスの生徒が3人。一人が内部生で残り2人が外部。
面白いことに、同じプールを使う為なのか、中学生と一体の活動を行っていて、入部してすぐ多くの後輩が出来た。
とはいえ、中学2・3年生は新人でもないので、少しやりづらかった。
逆に中学1年生とはずいぶん仲良くやっていけたと思う。
公立の高校の水泳部の多くは5月には泳いでいるイメージがあった。
少なくとも中学時代でも5月中にはプール掃除があり6月頭には泳いでいたのだが、この学園はそうでもなく、陸上トレーニングという事で、バスケットボール部やバレーボール部の練習を見下しながら、吹き抜け通路のランニングや筋トレのみで練習は終了した。
まず、顧問の先生の指導ではなく、キャプテンを中心に生徒だけの活動ということに驚き、またその活動量の少なさに2度驚いた。
あっという間にクラブ活動が終わって、自己紹介というタイミングで、結月が制服で輪に加わった。
誰だろう、先輩かなぁ、くらいに思っていたら同学年の内部生と一緒に先輩側の列に並び、改めて、といった形で自己紹介をした。
『蒼井 結月です。』
なにより印象に残ったのが、体育館の窓から射し込んだ光で金色に見えるくらい茶色い髪だった。
この頃の常識で考えれば、紛れも無いヤンキースタイルともう言えるくらい。
挨拶の後も男の先輩と対等な感じで慣れた感じで馴染んでいて(そりゃあ付き合いも長いわけだけれど)どこか特別感が漂っていた事もあって、『ないなぁ』そう思っていた。
『こういうタイプの女子は好きじゃない。』
僕は、大人しめの真面目で何より小柄な女子がタイプだったから。
僕の身長は低いというわけでは無いが、平均には届かない。
ただ、結月の身長は男子の平均より高かった。
何故か、この学校の体育の授業においては、整列は背の高い者から前に並ぶ。
そこでは僕は後ろから2番目で結月は先頭だった。ただ、それだけの話。
ところで、恋心において、『好き』の反対は『嫌い』ではない。
この事は、少し考えればわかる事だとしても、それを知るのは悲しい恋をしてからだ。
もちろん、この時は知りもしなかった。
『イヤなタイプ』という印象しかなかったから。
『嫌い』は、簡単にひっくり返って、『気になる存在』になったりする。
『あんな奴』は『あんな女子』に、そこから『あんな子』になるには、あっという時間しか、かからない。
僕は、3日後に、ひっくり返った。
きっかけは、無理やり引っ掛けていかれた事だった。
出会った日の週末の放課後に、結月はうちのクラスに顔を出してきた。
『ゆあさ~』と、教室のドアからうちのクラスの『湯浅』を呼んだ。
『今日、はしもと行くやろ?』
湯浅は、高瀬とも仲の良い、活発な内部出身の女子だった。
この日は、まだ仮入部期間で、クラブ参加は自由だったのだが、参加するつもりでいたので、現役の部員である結月の言動にまず驚いた。
おいおい、サボりかよ、と思いつつも、まあ練習内容通りのクラブ活動内容なのだろう。(真剣にやっている、と感じられる内容ではなかった)
ま、どうでもいいや。こないだも終わった頃にやって来て、インターなんとかクラブと掛け持ちって言ってたし、と、カバンを持って椅子から立った。
『あ、タカヨシ~』と、いきなり結月は手を振ってきた。
湯浅が、知り合い?という顔でこっちを見てから『あんた、たかよしくんと知り合いやっけ?』と結月に聞いている。
『水曜日から知り合い。こいつも水泳部』
『あ、なるほど』と僕の頭越しに会話やりとりをしている。
僕の苗字は高良と書く。『たから』と読み間違えられたり、姓ではなく、名前と間違えられたりもしてきたが、姓であり『たかよし』と読む。
そして湯浅の発音が正しい。
『よし』の呼び方が下がっていれば、名前っぽくは聞こえにくい。
しかし、だ。
『タカヨシ~』と語尾を上げていれば、ほぼ名前にしか聞こえない。不思議なことに。
しかも、その事に生まれて初めて気がついた。
そんな事が脳内を駆け巡っていると
『湯浅、タカヨシも連れて行くけど良い?』
『別にいいよ』
『じゃ、行こか』
『うん』
何かの会話が、頭越しに成立したかと思うと、不意に『ほな、行くで。はよしてや』
『あ、キャプテンには、ちゃんとタカヨシも今日は用事で来ないって、言って来るわ。下駄箱前で待ってて』と、教室の入り口から消えて行った。
何故、こうなったのかわからない。
結局そのまま、結月と湯浅が楽しそうに会話して笑っている後ろを、トボトボついて電車に乗り、梅田のレコード屋でハートマークの入ったCDを選ぶ理由を結月に教えられ、店を出ると湯浅は『バイオリン行くわ~』とその店のバイオリン教室に消えて行った。
そうして、結月を送るべく、山が近くに見える街の細径を2人で歩いていた。
『送ってくれてありがとう』
『いや、ずっとペースにのせられてるだけ』
『でも送ってくれてるやん』
『この時間に女子のひとり帰りはあかんわ』
『ふ~ん、今までも誰か送ってた?』
『お姉ちゃん』
『どこの?』
『何いってんの。自分の姉。塾だの遅い時は迎え指令が親からあったから』
『ふ~ん。まあいいや。ありがとう。わたしの家、ここ。
ひとりで駅まで戻れる?送っていこうか』
『方向感覚は自信があるから。道も覚えてる。
それに、送ってきたのに、また送らせるのはおかしい』
『あはは、それもそうだね。』
『はい』
小さな紙を渡された。
『帰ったら必ず連絡してね。ありがと。また明日。バイバイ』
あ、という間もなく、門扉を開けると玄関につながる小径を走っていってドアの向こうに消えた。飼っているであろう犬がワンワンと吠えていた。
紙にはいつ書いたのか『9時に必ず電話するんだぞ、なければ、しばく。by結月♡』と走り書きされていた。
そうやって始まった恋だから、あっという間に転げ堕ちた。
朝、一緒に学校に通い、毎日の電話、向こうのお母さんや妹とも仲良くなって、僕のほとんどの初めての人になっていった。
夢中だったと思う
夢中、夢の中。夢の中にいたのだろう。
現実を見ていなかった。否。
現実とか周りとか見る余裕なんてない。
ずっと結月を見ていたかった。
重荷だったのかな
そうじゃなくて、ただ飽きたともいえる
とにかく
終わりはあっけなかった。
『最近、前のように、僕の事見てくれていないような気がする。
結月、僕のこと好き?』
『う~ん、そうだなぁ、前ほど好きじゃないかも』
『そう、わかった』
それから、電話をかけなくなって、1週間程後に『松元くんに付き合って、って言われた。いいの?』と聞かれたから
『好きにしたらいいと思う。僕には関係ない』
それで終わった。
結月が、大好きだった。
結月に好きではないと言われて
恋は終わったのだと思った
大好きだから、男は、見送るべきなのだと
思い込んだ。
先へ進めるように、と
好きでいる事をやめることが
結月を大好きだという証明であるかのように
この瞬間が永遠であればいい
そんな景色に出会った時
結月に『ずっと一緒にいようね』と言われた
その後、これが永遠の恋って
『わたしには想えるよ』と言ってくれたのに
僕は永遠という言葉が怖かった
永遠なんてものは
霞と同じ
いつか消えてなくなってしまう
叶わぬ約束
だから約束をしなければいい
僕は約束は出来ないって言った
『そうだね』といった結月の手をとって
離さないようにと
強く握って歩いた
恋は好きになった方が負け
その時から
結月への想いはより強くなって
叶わぬ永遠を夢見てしまったと思う
タカヨシは、突然いなくなってしまった。
『さよなら』もないままだった。
タカヨシは周りに何を言ったのだろう。
松元くんが突然告白してきた。
『別れたんやったら俺と付き合ってくれ』と。
彼は何を考えて告白なんてしてきたんだろう。
わたしは、別れたら、ひと肌恋しいと、すぐに手に入れられるとでも思ったのだろうか。
それはそれで、わたしもかわいそうだ。
『タカヨシに聞いてみる』
松元くんは『何で』と顔に書いていた。
そりゃあ、そうですよ松元くん。
わたしたちは、別れ話なんてしていないのですから。
タカヨシはダメだと言うに決まっている。
バカにするな、と。
わたしをバカにするな、っておこってくれたらうれしいな。
そう思っていたのに。
『僕には関係ない』そう言われた。
何が、そうなって、関係ないになったのだろう。
わたしとタカヨシの間にはもう関係性がなくなっていた。
永遠を求めたからいけなかったのかな
一緒に飛ばないで、歩いていこうって言ったのに
手をつないでくれたのにね
大好きだったのにな
知ってる?
タカヨシ
好きの反対は何か?
キミにはまだ早いかな。
わたしは先に気づいたよ
好きの反対は無関心、なんだよ。
キミ松元くんのこと好きじゃないの知ってるよ
わたしが松元くんと付き合ったら
タカヨシ、無関心でいられる?
きっと、無理だよね
ねえ、ずっと
一緒にいようよ
恋じゃなくてもいいよ
愛だよ
ずっと好きだった
でも
それはやめるね
キミはきっとずっと永遠にわたしのもの
手紙が届く
宛先の文字で結月とわかる
現況報告と
『わたしの事、まだ好きでしょ?知ってるよ。』
末尾にはきっと、そう書かれて終わっている事だろう。
はいはい
好きですよ。ずっと
きっと
永遠にあなたはこころの奥で
こっちにニヤリと
微笑んでる
一緒に歩いていきましょうか
結月
おはよう
それは恋人への想いがピークに達している時か、恋が叶った瞬間に空へと飛んでいく事によってしか、成されないんだと思うんだ。
彼は、あの時そう言っていた。
わたしは、彼が大好きだったから
『そうだね』と
よくわかってもいないのに頷いて
『それなら、飛べない鳥たちは、空を見上げて精一杯歩いて行こう』と言ったと思う。
彼が、どこか嬉しそうに
『そうだね』と言って手をつないでくれたから。
結月に出会ったのは、水泳部の体験入部の時だった。
その年の4月に、地元からの入学は初めてとなる高校に入学した。
当然、元からの知人は誰もいない学校で、一からのスタートだったものの、最初に席が前後ろで仲良くなった高瀬という男が、この学園の幼稚園から、通うというベテランのお坊ちゃんだった事もあり、人間関係の構築は、労せず終了していた。
まあ、受験という篩分けのたまもので、坊っちゃんお嬢さんの集まるこの学校は、大まか皆落ち着いた大人びた生徒の集まりでもあった。
クラブは体験入部も含めて5月の連休明けにあり、水泳に興味のない高瀬を置いて、水泳部の練習に参加した。
男子はもうひとり。受験票を出しに来た日と合格発表の日の両方に偶然会った男だったが、この事もをお互いに口にした事は何故かない。
正直に言うといけ好かなかったからだ。
女子は別のクラスの生徒が3人。一人が内部生で残り2人が外部。
面白いことに、同じプールを使う為なのか、中学生と一体の活動を行っていて、入部してすぐ多くの後輩が出来た。
とはいえ、中学2・3年生は新人でもないので、少しやりづらかった。
逆に中学1年生とはずいぶん仲良くやっていけたと思う。
公立の高校の水泳部の多くは5月には泳いでいるイメージがあった。
少なくとも中学時代でも5月中にはプール掃除があり6月頭には泳いでいたのだが、この学園はそうでもなく、陸上トレーニングという事で、バスケットボール部やバレーボール部の練習を見下しながら、吹き抜け通路のランニングや筋トレのみで練習は終了した。
まず、顧問の先生の指導ではなく、キャプテンを中心に生徒だけの活動ということに驚き、またその活動量の少なさに2度驚いた。
あっという間にクラブ活動が終わって、自己紹介というタイミングで、結月が制服で輪に加わった。
誰だろう、先輩かなぁ、くらいに思っていたら同学年の内部生と一緒に先輩側の列に並び、改めて、といった形で自己紹介をした。
『蒼井 結月です。』
なにより印象に残ったのが、体育館の窓から射し込んだ光で金色に見えるくらい茶色い髪だった。
この頃の常識で考えれば、紛れも無いヤンキースタイルともう言えるくらい。
挨拶の後も男の先輩と対等な感じで慣れた感じで馴染んでいて(そりゃあ付き合いも長いわけだけれど)どこか特別感が漂っていた事もあって、『ないなぁ』そう思っていた。
『こういうタイプの女子は好きじゃない。』
僕は、大人しめの真面目で何より小柄な女子がタイプだったから。
僕の身長は低いというわけでは無いが、平均には届かない。
ただ、結月の身長は男子の平均より高かった。
何故か、この学校の体育の授業においては、整列は背の高い者から前に並ぶ。
そこでは僕は後ろから2番目で結月は先頭だった。ただ、それだけの話。
ところで、恋心において、『好き』の反対は『嫌い』ではない。
この事は、少し考えればわかる事だとしても、それを知るのは悲しい恋をしてからだ。
もちろん、この時は知りもしなかった。
『イヤなタイプ』という印象しかなかったから。
『嫌い』は、簡単にひっくり返って、『気になる存在』になったりする。
『あんな奴』は『あんな女子』に、そこから『あんな子』になるには、あっという時間しか、かからない。
僕は、3日後に、ひっくり返った。
きっかけは、無理やり引っ掛けていかれた事だった。
出会った日の週末の放課後に、結月はうちのクラスに顔を出してきた。
『ゆあさ~』と、教室のドアからうちのクラスの『湯浅』を呼んだ。
『今日、はしもと行くやろ?』
湯浅は、高瀬とも仲の良い、活発な内部出身の女子だった。
この日は、まだ仮入部期間で、クラブ参加は自由だったのだが、参加するつもりでいたので、現役の部員である結月の言動にまず驚いた。
おいおい、サボりかよ、と思いつつも、まあ練習内容通りのクラブ活動内容なのだろう。(真剣にやっている、と感じられる内容ではなかった)
ま、どうでもいいや。こないだも終わった頃にやって来て、インターなんとかクラブと掛け持ちって言ってたし、と、カバンを持って椅子から立った。
『あ、タカヨシ~』と、いきなり結月は手を振ってきた。
湯浅が、知り合い?という顔でこっちを見てから『あんた、たかよしくんと知り合いやっけ?』と結月に聞いている。
『水曜日から知り合い。こいつも水泳部』
『あ、なるほど』と僕の頭越しに会話やりとりをしている。
僕の苗字は高良と書く。『たから』と読み間違えられたり、姓ではなく、名前と間違えられたりもしてきたが、姓であり『たかよし』と読む。
そして湯浅の発音が正しい。
『よし』の呼び方が下がっていれば、名前っぽくは聞こえにくい。
しかし、だ。
『タカヨシ~』と語尾を上げていれば、ほぼ名前にしか聞こえない。不思議なことに。
しかも、その事に生まれて初めて気がついた。
そんな事が脳内を駆け巡っていると
『湯浅、タカヨシも連れて行くけど良い?』
『別にいいよ』
『じゃ、行こか』
『うん』
何かの会話が、頭越しに成立したかと思うと、不意に『ほな、行くで。はよしてや』
『あ、キャプテンには、ちゃんとタカヨシも今日は用事で来ないって、言って来るわ。下駄箱前で待ってて』と、教室の入り口から消えて行った。
何故、こうなったのかわからない。
結局そのまま、結月と湯浅が楽しそうに会話して笑っている後ろを、トボトボついて電車に乗り、梅田のレコード屋でハートマークの入ったCDを選ぶ理由を結月に教えられ、店を出ると湯浅は『バイオリン行くわ~』とその店のバイオリン教室に消えて行った。
そうして、結月を送るべく、山が近くに見える街の細径を2人で歩いていた。
『送ってくれてありがとう』
『いや、ずっとペースにのせられてるだけ』
『でも送ってくれてるやん』
『この時間に女子のひとり帰りはあかんわ』
『ふ~ん、今までも誰か送ってた?』
『お姉ちゃん』
『どこの?』
『何いってんの。自分の姉。塾だの遅い時は迎え指令が親からあったから』
『ふ~ん。まあいいや。ありがとう。わたしの家、ここ。
ひとりで駅まで戻れる?送っていこうか』
『方向感覚は自信があるから。道も覚えてる。
それに、送ってきたのに、また送らせるのはおかしい』
『あはは、それもそうだね。』
『はい』
小さな紙を渡された。
『帰ったら必ず連絡してね。ありがと。また明日。バイバイ』
あ、という間もなく、門扉を開けると玄関につながる小径を走っていってドアの向こうに消えた。飼っているであろう犬がワンワンと吠えていた。
紙にはいつ書いたのか『9時に必ず電話するんだぞ、なければ、しばく。by結月♡』と走り書きされていた。
そうやって始まった恋だから、あっという間に転げ堕ちた。
朝、一緒に学校に通い、毎日の電話、向こうのお母さんや妹とも仲良くなって、僕のほとんどの初めての人になっていった。
夢中だったと思う
夢中、夢の中。夢の中にいたのだろう。
現実を見ていなかった。否。
現実とか周りとか見る余裕なんてない。
ずっと結月を見ていたかった。
重荷だったのかな
そうじゃなくて、ただ飽きたともいえる
とにかく
終わりはあっけなかった。
『最近、前のように、僕の事見てくれていないような気がする。
結月、僕のこと好き?』
『う~ん、そうだなぁ、前ほど好きじゃないかも』
『そう、わかった』
それから、電話をかけなくなって、1週間程後に『松元くんに付き合って、って言われた。いいの?』と聞かれたから
『好きにしたらいいと思う。僕には関係ない』
それで終わった。
結月が、大好きだった。
結月に好きではないと言われて
恋は終わったのだと思った
大好きだから、男は、見送るべきなのだと
思い込んだ。
先へ進めるように、と
好きでいる事をやめることが
結月を大好きだという証明であるかのように
この瞬間が永遠であればいい
そんな景色に出会った時
結月に『ずっと一緒にいようね』と言われた
その後、これが永遠の恋って
『わたしには想えるよ』と言ってくれたのに
僕は永遠という言葉が怖かった
永遠なんてものは
霞と同じ
いつか消えてなくなってしまう
叶わぬ約束
だから約束をしなければいい
僕は約束は出来ないって言った
『そうだね』といった結月の手をとって
離さないようにと
強く握って歩いた
恋は好きになった方が負け
その時から
結月への想いはより強くなって
叶わぬ永遠を夢見てしまったと思う
タカヨシは、突然いなくなってしまった。
『さよなら』もないままだった。
タカヨシは周りに何を言ったのだろう。
松元くんが突然告白してきた。
『別れたんやったら俺と付き合ってくれ』と。
彼は何を考えて告白なんてしてきたんだろう。
わたしは、別れたら、ひと肌恋しいと、すぐに手に入れられるとでも思ったのだろうか。
それはそれで、わたしもかわいそうだ。
『タカヨシに聞いてみる』
松元くんは『何で』と顔に書いていた。
そりゃあ、そうですよ松元くん。
わたしたちは、別れ話なんてしていないのですから。
タカヨシはダメだと言うに決まっている。
バカにするな、と。
わたしをバカにするな、っておこってくれたらうれしいな。
そう思っていたのに。
『僕には関係ない』そう言われた。
何が、そうなって、関係ないになったのだろう。
わたしとタカヨシの間にはもう関係性がなくなっていた。
永遠を求めたからいけなかったのかな
一緒に飛ばないで、歩いていこうって言ったのに
手をつないでくれたのにね
大好きだったのにな
知ってる?
タカヨシ
好きの反対は何か?
キミにはまだ早いかな。
わたしは先に気づいたよ
好きの反対は無関心、なんだよ。
キミ松元くんのこと好きじゃないの知ってるよ
わたしが松元くんと付き合ったら
タカヨシ、無関心でいられる?
きっと、無理だよね
ねえ、ずっと
一緒にいようよ
恋じゃなくてもいいよ
愛だよ
ずっと好きだった
でも
それはやめるね
キミはきっとずっと永遠にわたしのもの
手紙が届く
宛先の文字で結月とわかる
現況報告と
『わたしの事、まだ好きでしょ?知ってるよ。』
末尾にはきっと、そう書かれて終わっている事だろう。
はいはい
好きですよ。ずっと
きっと
永遠にあなたはこころの奥で
こっちにニヤリと
微笑んでる
一緒に歩いていきましょうか
結月
おはよう
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
『後宮に棲むは、人か、あやかしか』
由香
キャラ文芸
後宮で消える妃たち。
それは、あやかしの仕業か――人の罪か。
怪異の声を聞く下級女官・鈴華と、
怪異を否定する監察官・凌玄。
二人が辿り着いたのは、
“怪物”を必要とした人間たちの真実だった。
奪われた名、歪められた記録、
そして灯籠に宿るあやかしの沈黙。
――後宮に棲むのは、本当に人ならざるものなのか。
光と闇が交差する、哀切の後宮あやかし譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる