セーブして掘られてロードする 〜ドスケベ淫乱勇者・ジークの冒険譚〜

卯月ひすい

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聖騎士ロイ編

第3話 (2/2)

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(そうか、気絶して……記録時点に戻ってきたのか……)

 俺は咄嗟に自分の体を確かめた。

 汗に濡れた肌もない。髪も乱れていない。――もちろん、股ぐらも濡れていない。

 けれど、心臓の鼓動だけがやたらとうるさい。呼吸も荒い。体温が妙に高い。ついさっきまで、確かに“していた”感覚が、全身に残っている。

「どうされました? あ……もしかして魔物にやられて、戻ってこられました?」

 神官の問いに、俺はびくりと肩を揺らした。

“はい! ロイっていう人型魔物に尻穴ぶち犯されて気絶しました!”


 ……言えるか!


 俺は、目を泳がせながら必死に取り繕う。

「あっ、あー……そう、だな。ちょっとばかし、手強い魔物に……」
「やはりそうでしたか。では……『おお勇者よ、倒れてしまうとは情けない!』」
「どうもすみません……気をつけます……」

 形ばかりの会話を交わして、『冒険の書』を受け取る。軽く頭を下げ、くるりと振り返ると――

「なんだ、どこでやられたんだ?」

 ロイが、真剣な瞳で俺を見ていた。

 くそ、タイミング悪っ……! 真っ直ぐすぎて、顔が見れない。

 そう、こいつは真面目だから……毎回、巻き戻りの原因を聞いてくる。いや……でも今回は――

“宿で、お前の凶悪チンポに貫かれて昇天しました! 最高でした!”


 ……言えるかッ!!!


「ま、街を出たところで群れに囲まれてさ……今度はルート変えるよ」

 嘘だ。完全な嘘だ。でも、今の俺にはこれが限界。そのまま、訝しげなロイの目線を避けて教会を後にする。

「意外と、一番油断するところですよね」

 イリアの声が助け舟のように響く。

「出発時は十分注意しましょうね」

 うーん、さすが勇者一行の潤滑油。尻穴にもパーティにも、こういう存在は欠かせない。

「んなことより、早く宿探そうぜ~」

 アッシュが肩をすくめてぼやく。

「今回は全員個室な。オレ、女連れ込むから」
「またアッシュさんはそういうことを……」
「なんだ? イリアちゃんが相手してくれるのか?」
「もぎますよ」

 少し前にも聞いた会話。ああ、なんだか懐かしい。

 ロイの横顔を見ると、笑っていた。その目に、欲望の影は一切なかった。
 あのとき、俺の中にいきりたったチンポを打ち込んでいた男とは、到底思えない。今目の前にいるのは、いつもの誠実で生真面目なロイ――それだけだった。

「……ジーク、俺の顔に何かついてるか?」

 静かにそう言って、軽く笑う。

 ああ、間違いない。何も覚えてない。記憶がある人間の目じゃない。

 俺の記憶では、数分前に俺の精液が顔に飛んでました。ごめんなさい。だけど今のお前は、そんなこと知る由もなく笑ってる。

 俺が突然キスして、フェラして、チンポねだって、セックスしたことを――全部忘れてる。

「……なんでもないよ」


 俺は道を歩きながら、ぼんやりと考えた。

 ……分かってる。こんなやり方、良くないってことくらい。

 ロイは俺のこと、ただの親友として見てる。旅についてきてくれたのも、俺のためじゃなく、あくまで“王命”だからだ。

 だから、多くは望まない。本当は、ちゃんと伝えたかったけど――一度でいい。たった一度でいいから、彼に抱かれてみたかった。

 ロイにとって、聖騎士の称号は夢だった。その誇りを、俺のせいで汚したくない。……だから、全部“戻す”んだ。

 ロイの中から、この記憶は消えた。でも、俺の中には、ちゃんと残ってる。それでいい。俺だけが覚えていれば、それでいいんだ。

 それだけで、今は……満たされてる。

 ……たぶん。


***

 宿の、自室のドアを閉める。ロードされる前と同じ宿、同じ部屋。
 上着を脱いでベッドに身を投げると、ふわりと体が沈んだ。やっぱりフカフカ、幸せ。

(……巻き戻る前は、確かここで……)

 脳裏にぼんやり浮かぶのは、潤滑剤の匂いと、自分の指が作った淫らな音。ベッドで腰を浮かせて、尻穴ほじって……いやいや、思い出すな。

「うーん……ドギツイことしてたな、俺……」

 今は――もう満足した。ちゃんとロイに抱かれて、欲しかったものは全部もらった。

(ちゃんとぶち込んでくれるなんて、最高だよロイ……俺の誘惑、通用して良かったぁ……)

 完全に理性を飛ばしていたロイの様子を思い出し、にんまりと笑ってしまう。

(……それに、ロイのチンポ、やっぱりでっかかったなぁ……)

 なんて、余韻に浸りながら、ゆっくり目を閉じた。満たされた快感が、心地よい眠気を連れてくる。


 ――が。

(……ロイ……本当に、忘れてるよな?)

 ふと不安がこみ上げる。

 教会での笑顔、誠実で変わらない態度――確かに、記憶はないはずだ。

 けど。

(……なんか、微妙に目が泳いでたような……?)

 いや、見間違いかもしれない。でも、でも――

(ていうか俺自身、割と頭ぶっ飛んでたせいで、記憶あんまりないんだよな……)

 突っ込まれて真っ白になって昇天して絶頂して気絶したもんだから、もうラストの記憶が曖昧で……え、あれ、ロイって最後何て言ってたっけ? どんな顔してたっけ?

(あーーーッ!? 思い出せねえ! せっかくの!! ロイとのセックスが!!!)

 頭をかきむしってベッドの上で悶える。

(どうする、もう一回……いやいや、さすがに……!)

 でも、こういうのって、ちゃんと“確認”しないと後々引きずるっていうし。あくまで確認。念のため。俺の精神安定のため。

 ……うん、そう。確認のため。

(よし、ロイの部屋……行こう)

 俺は立ち上がると、ベッドの上に散らばった服を慌てて掴み、さっきよりほんの少しだけ理性のある顔で、部屋を飛び出した。



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