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聖騎士ロイ編
第5話 (3/3)
しおりを挟むぐったりと木箱にもたれかかったまま、俺の体はずるずると崩れ落ち、裏路地の地面に沈んでいった。尻に残る余韻、熱、そしてゆるやかに広がる痺れ。
おっさんは、荒い息を整えながら、ひとつ大きく息を吐いた。ぶらぶらとした手でシャツの裾を引っ張り、前を閉じ、ゆるくズボンを引き上げていく。
しばらく沈黙が続いたあと――
「……兄ちゃん、金は?」
低く掠れた声が、静けさの中に落ちた。
「いらねーよ……そういうんじゃないし……」
俺は振り向きながら、気だるく答える。おっさんは一瞬驚いたように目を見開き、それから苦笑した。
「おいおい、まじかよ兄ちゃん。そんなエロいケツして……。
……また気が向いたら来てくれや」
そう言い残して、くたびれた背中を小さくさせながら、裏路地の向こうへと消えていった。油と埃と発汗の匂いだけが、俺の身体にまとわりつく。
脳にこびりついた快楽の余韻が、ようやく薄れてきた頃。俺はスカートの裾をぎゅっと握りしめたまま、乾いた地面をぼんやりと見つめていた。
「はー……勇者が女装して、路地裏で初対面のおっさんにヤられるとか……」
思わず漏れた言葉は、笑いにもなりきらず、ただ空気に滲んで消える。
背徳感の極み。
もう“勇者の誇りを守る”みたいな意識はとっくに無くなっている。これは、ただの快楽と堕落の記録――いや、“冒険”だ。
「ロイちんぽほどの伝説感はなかったけど……
……かなりキたな……こりゃあ、ハマりそうだ……」
そう呟きながら、俺は尻に手を添え、そっと穴を押し広げた。
ぐちゅ。
中から、さっきの濃い精液がとろりと滲み出てきた感触に、ゾクッと背筋が震える。
「……ごめんなぁ、ロイ……お前専用に育ててた穴……その辺のおっさんに寝取られちまった……」
無意識に、ぽつりと呟いたその一言。
――しかし、ふと我に返った。
「……まてよ。昨日のロイとのセックスは、記録を巻き戻したから無かったことになってるわけで……」
脳内で、妙に冷静な声が響く。
「つまり俺は実質処女だったから……寝取られじゃないじゃん」
……え、なにこの理論。
でも、納得してしまっている自分がいた。
確かに、“冒険の書”の秘術は、あらゆる出来事が“なかったことになる“。だったら、ロイとはまだ何もしていない――この尻も、純潔のままだったのだ。
「おいおい……つまり今回は、その辺のおっさんに処女捧げただけってことかよ……」
思わず苦笑が漏れる。
スカートの皺を手で払いながら、立ち上がった。脚ががくつくけど、尻の奥にぬるっとした温もりがまだ残っているのが、なんか……やけに心地いい。
「……なんかこう……もう一声、魂を汚すようなヤバさが欲しかったな……」
乱れていたスカーフを一度外し、巻き直す。まだ体温が高いままだ。脚の間を風が通り抜けるたびに、妙な快感がぶり返す。
でも、もう次を探し始めていた。
(さっさと巻き戻すのもいいが……折角だし、もう少し遊んでみるか)
軽く体を伸ばして、裏路地から表通りへと足を向ける。
もう、誰かに見つかっても平気だ。いや、ちょっとドキドキするけど……それもまた、興奮の材料になりつつある。
もう俺の性癖は止められない。
次はどんなチンポに出会えるか。どんな快感を、俺の中に刻み込めるか。
そう思って細い路地を抜けた、その瞬間――
「……ジーク?」
空気が、止まった。
耳が、拒絶するように音を遠ざけて――だけど、はっきりと聞こえてしまった。
この声を聞き間違うはずがない。
俺の初恋であり、今もずっと想ってる人。あの、真面目で、優しくて、騎士団一のイケメンの――
「……ろっ、ロイ……?」
声のしたほうを向くと、そこには本当にロイがいた。
いつもの聖騎士の鎧を外した、清潔感ある旅装。端正な顔。見慣れた茶色の髪と、琥珀色の瞳。
「ジーク、どうしたんだこんな所で……? それに――」
彼の瞳が、俺の足元を通って、揺れるスカートの裾へ移った。
「その、格好は……?」
……女装、見られた。
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