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魔術師アッシュ編
第15話 (2/2)
しおりを挟む魔物を倒し、渓谷近くの村へ向かうと――案の定、大勢の村人が出迎えてくれた。
「本当に……ありがとう! まさか、勇者様に来ていただけるとは思わなんだ……!」
人ごみをかき分けて出てきたのは、皺だらけの村長。感極まったように、深々と頭を下げてくる。
「いえ、そんな……当然のことをしただけです」
そう言いつつ、こうして感謝されるのは素直に嬉しい。任務の報酬とは別の、“意味ある行動だった”という手応え。
「こんな小さな村……これまで誰に頼んでも断られて……。
それが、まさか勇者様ご一行に来ていただけるとは……!」
「大したものはありませんが、せめておもてなしを……。宴の席を用意させていただきました!」
……まずい。
この流れ知ってる。何度か経験がある。
(これ、宴が深夜まで続いて、そのまま「泊まっていってください」ってなるやつじゃん……)
そんで納屋とかで雑魚寝して、寝返り打った拍子にアッシュと肘が当たってムラムラしたけど寸止めで終わるやつ。もしくはロイの寝顔に見惚れて息止まりかけて終了のやつ。
(違うんだ……今日はそんな日じゃないんだ……!)
本当は街に戻って、宿でロイと静かに“しっぽりちんぽタイム”する予定だったのに……。
「アッ、ハイ……ぜひとも……」
口では笑顔で答えながら、心の中ではすでに村長に五発くらいビンタを喰らわせていた。
――その時だった。
「そうそう、宴の前に……。村の外れに、昔から湧いている温泉がありましてな」
「……温泉?」
「これが実に良い泉質でしてな。湯冷めもしにくく、身体の芯から温まると評判なのですよ。宴の準備の間にでも、ぜひお入りくださいな」
村長の言葉に、ぴたり、と世界が止まった気がした。
温泉。
つまり――風呂場。
風呂場ということは、裸。
(それはッ――ちんぽ交差点ッ……!!)
一気に脳内がフル回転を始めた。
だが、同時に――ある一点が俺の中で、猛烈に存在感を増していく。
(……そういや……アッシュの裸、俺まだ見たことなくね……!?)
思い返してみれば、アッシュはいつも一人でシャワーを済ませてるし、街中の公衆浴場に行くときも「先に帰ってるわ」とか言って絶対に入ってこない。寝間着も分厚いローブ着っぱなし。夜中に寝返り打ってチラ見えとかも一切なし。
徹底してるんだよ。徹底的に、裸を見せないスタイル。
(やっぱり……あいつ、めちゃくちゃエロい身体してるのでは……!?)
色白の肌に、締まった腹筋。肩幅は広めで、でも細腰で……。
尻がちょっとプリッとしてて、濡れると透ける銀髪が……うなじに、ぴた……。
(うわっ、だめだだめだッ、これ以上想像したら勃起する)
もしアッシュが今日、温泉に入ってくるとしたら――それは、人類未発見ゾーンの解禁。
未知の領域、伝説のちんぽ解禁イベント!!
(ちょっと、世界救うより貴重な機会じゃね!?)
だが――
(……いや待て、冷静に考えろ。アッシュが素直に温泉なんて来るわけない)
あの男の徹底した裸回避スキルは、伊達じゃない。露天風呂ごときで無防備な姿を晒すような、そんな浅い男じゃないのだ。
むしろ、この流れだからこそ「今日は体調が~」とか言って全力で回避してくるのがあいつ。
(……クソッ!)
俺は拳を握りしめた。
(アッシュのちんぽは……まだ遠い……)
だが、希望はまだ残されている。
――ロイがいる。
(逆に考えろ。アッシュが来ないなら、それはそれでロイと二人きりの濃厚風呂タイムだ!!)
湯気に包まれた中で、無防備な素肌。うっすら火照った頬。俺の隣に座り、照れ臭そうに「……気持ちいいな」とか言ってくれるロイ。
(そのまま、俺が「背中流そうか?」って言って……ふっ、ふひ……ふふふ……♡)
泡と全身使って、背中どころか敏感な所まで丹念に洗い上げて、途中でロイの息が漏れて、気づいたらフル勃起してて、
『……っ、ジーク……』
『だいじょぶ、温泉だから』
みたいな、意味不明な理屈でそのままイチャイチャちんぽタイム突入コースッ!! チョロいロイだからこそ成せるルート!
(え、やばくない? どっちに転んでも勝利確定じゃん!?)
アッシュが来れば初・全裸ちんぽ観測会。
来なければロイとの湯けむり濃厚交尾。
(もはやこれは……風呂ではなく、運命の選択肢!)
一人でフルスロットルの妄想を爆走させながら、俺は無意識に拳を握っていた。
「ジーク……? 顔怖いけど、大丈夫か……?」
ロイが怪訝そうに見ていた。
「あ、ああっ! だいじょうぶ! ぜんぜん元気ッ!」
にっこり笑ってごまかしながら、俺は心の中で村長と温泉の神にガチ感謝していた。
(今夜……俺のちんぽ運命が、動く……ッ!!)
そして夕暮れ、俺たちは湯けむりに包まれた山道を歩いていた――
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