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第9話
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私は暗くなる前に東京に戻ろうと、久しぶりの会津ではあったが、早めに会津を出ることにした。
ただ猪苗代湖と磐梯山を目に焼き付けたいと思い、磐越自動車道には乗らず、49号国道を猪苗代まで走って行った。
祥子の艶めかしい顔、声、肌の温もりが蘇る。
私は志田浜でクルマを停め、湖畔の砂浜を革靴のまま独り歩いた。観光客の姿は疎らだった。
昔から比べるとプレジャーボートも増え、湖水は汚れていた。
ここから見る猪苗代湖は瀬戸内海の景色に似ている。猪苗代湖に明るいイメージはないが、見ていると何故か心が落ち着く。猪苗代湖には母なるやさしさと強さがあった。
後ろを振り返えると、悠然とそびえ立つ磐梯山が見える。
猪苗代湖は母であり、磐梯山は父だった。
私は売店でコーヒーを買い、再びクルマを走らせ、猪苗代インターチェンジから高速に乗った。
このまま行けば日暮れ前には都内に入ることが出来るだろう。
長いトンネルが続いた。それは私と祥子の未来のようでもあった。私はアクセルを踏み込み、クルマを加速させた。
祥子は黒沢のメルセデス、S600に乗って仙台に向かっていた。
「久しぶりのクラス会はどうだった?」
「別に」
「お前はいいよなあ、クラス会なんて洒落たもんに誘われて。
俺みたいな奴は呼ばれもしねえ。俺に会いたい奴はいねえからな? お前は恵まれているよ」
「ヤクザに会いたい同級生なんて、いるわけないでしょ」
祥子は吐き捨てるように言った。
「そりゃそうだ、所詮、極道は利用する奴はいても、仲良くなりてえ奴はいねえからな? 鮨でも食って行くか?」
「今日は帰る」
「だったらここでしゃぶってくれよ」
「イヤよ」
「お前、何様だよ」
黒沢はハンドルを握ったまま祥子の髪を鷲掴みにすると、自分の股間に祥子の顔を押し付けた。
「だからイヤだってば!」
「同級生とでもヤッて来たのか?」
「やめてって言ってるでしょ!」
黒沢は仙台南インターを降りると、近くのラブホにクルマを滑り込ませた。
「今日はやめて、お願い」
黒沢は祥子をクルマから引き摺り出すと、祥子の頬を平手打ちし、腹に蹴りを入れた。
うずくまり、苦痛に顔を歪める祥子。それでも祥子は黒沢を睨みつけていた。
「お仕置きがたりねえか? 立て、早くついて来い」
祥子は仕方なく黒沢に從った。
(ごめんなさい、清彦・・・)
祥子は唐沢に心の中で詫びた。
部屋に入ると、黒沢はオーストリッチのセカンドバッグから注射器を取り出した。それは黒沢のセックスの定番だった。
「宇宙食、一緒にやろうぜ」
「いや! やめて!」
「お前、これがないと駄目だもんな?」
黒沢は祥子の細い腕をむんずと掴むと血管を探し当て、手際よく静脈注射をした。
注射器に祥子の血液が少し逆流して来た。どうやら針は静脈を捉えたようだった。
祥子は観念し、抵抗することを諦めた。
祥子は朝まで黒沢に責められ、よだれを垂らしながら我を忘れ、激しいエクスタシーが祥子のカラダを痺れさせた。
「本当にお前はいい女だな? お前以上の女は見たことがねえよ」
祥子は唐沢を思って泣いた。
(さよなら、清彦・・・)
ただ猪苗代湖と磐梯山を目に焼き付けたいと思い、磐越自動車道には乗らず、49号国道を猪苗代まで走って行った。
祥子の艶めかしい顔、声、肌の温もりが蘇る。
私は志田浜でクルマを停め、湖畔の砂浜を革靴のまま独り歩いた。観光客の姿は疎らだった。
昔から比べるとプレジャーボートも増え、湖水は汚れていた。
ここから見る猪苗代湖は瀬戸内海の景色に似ている。猪苗代湖に明るいイメージはないが、見ていると何故か心が落ち着く。猪苗代湖には母なるやさしさと強さがあった。
後ろを振り返えると、悠然とそびえ立つ磐梯山が見える。
猪苗代湖は母であり、磐梯山は父だった。
私は売店でコーヒーを買い、再びクルマを走らせ、猪苗代インターチェンジから高速に乗った。
このまま行けば日暮れ前には都内に入ることが出来るだろう。
長いトンネルが続いた。それは私と祥子の未来のようでもあった。私はアクセルを踏み込み、クルマを加速させた。
祥子は黒沢のメルセデス、S600に乗って仙台に向かっていた。
「久しぶりのクラス会はどうだった?」
「別に」
「お前はいいよなあ、クラス会なんて洒落たもんに誘われて。
俺みたいな奴は呼ばれもしねえ。俺に会いたい奴はいねえからな? お前は恵まれているよ」
「ヤクザに会いたい同級生なんて、いるわけないでしょ」
祥子は吐き捨てるように言った。
「そりゃそうだ、所詮、極道は利用する奴はいても、仲良くなりてえ奴はいねえからな? 鮨でも食って行くか?」
「今日は帰る」
「だったらここでしゃぶってくれよ」
「イヤよ」
「お前、何様だよ」
黒沢はハンドルを握ったまま祥子の髪を鷲掴みにすると、自分の股間に祥子の顔を押し付けた。
「だからイヤだってば!」
「同級生とでもヤッて来たのか?」
「やめてって言ってるでしょ!」
黒沢は仙台南インターを降りると、近くのラブホにクルマを滑り込ませた。
「今日はやめて、お願い」
黒沢は祥子をクルマから引き摺り出すと、祥子の頬を平手打ちし、腹に蹴りを入れた。
うずくまり、苦痛に顔を歪める祥子。それでも祥子は黒沢を睨みつけていた。
「お仕置きがたりねえか? 立て、早くついて来い」
祥子は仕方なく黒沢に從った。
(ごめんなさい、清彦・・・)
祥子は唐沢に心の中で詫びた。
部屋に入ると、黒沢はオーストリッチのセカンドバッグから注射器を取り出した。それは黒沢のセックスの定番だった。
「宇宙食、一緒にやろうぜ」
「いや! やめて!」
「お前、これがないと駄目だもんな?」
黒沢は祥子の細い腕をむんずと掴むと血管を探し当て、手際よく静脈注射をした。
注射器に祥子の血液が少し逆流して来た。どうやら針は静脈を捉えたようだった。
祥子は観念し、抵抗することを諦めた。
祥子は朝まで黒沢に責められ、よだれを垂らしながら我を忘れ、激しいエクスタシーが祥子のカラダを痺れさせた。
「本当にお前はいい女だな? お前以上の女は見たことがねえよ」
祥子は唐沢を思って泣いた。
(さよなら、清彦・・・)
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