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第13話
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心細い雪が降っていた。
アンバリッドの前にはお洒落な街灯が真珠のネックレスのように続き、私たちは新雪を踏み締めながら手を繋いで歩いた。
「寒くない?」
「少し寒い。伊作は?」
「僕は温かいよ、とても」
「もっと温めて。雪も溶けてしまいそうなほど」
伊作は立ち止まり、私を抱き締め口づけをした。
それは炎のように熱いキスだった。
「このアンバリッドはね? ルイ14世が創った戦争で負傷した兵士たちの病院施設だったんだ。
あのナポレオンの墓もここにあるんだよ」
「パリは歴史の教科書みたいね?
そんな歴史の中に今、私たちはいるのね?」
「僕と奈緒の歴史も、今ここにあるんだよ」
私は伊作の肩に頬を寄せた。
恋人がいる、愛する人が傍にいる幸福。
これ以上何を望むというのだ。
今までの恋愛はまるで子供のおままごとの様に思えた。
(こんなやさしい気持ちになれるのは、ここが美しいパリだから?)
失恋した寂しさからではない、これは奇跡のめぐり逢いなのだ。
伊作という運命の恋人、偶然から始まった必然。
私は伊作の神秘的な魅力に引き込まれて行った。
移動遊園地のぼんやりとした明かりが見えて来た。
「ここの風景を描いたんだよ、誰もいない夜の遊園地って切ないよね?」
「でも、とても綺麗。そして叙情的。
実際に伊作の描いたあの絵の場所に来ると、絵の素晴らしさが良くわかるわ」
動かないメリー・ゴーランド。
夏の強烈な日差しの中で、少し不安そうに回転木馬に乗る子供たち。
そんな光景が目に浮かんだ。
「この回転木馬って、人の一生みたいだと思うんだ。
木馬が上下して同じところをぐるぐると回り続ける。
嬉しかったり悲しかったり、楽しかったり苦しかったりの繰り返し」
「そうね? 上がったり下がったりが人生なのかも・・・」
今、私は伊作とこの木馬に乗り、あと6日でその木馬を自ら降りようとしている。
期限付きの恋。
「ねえ、キスして」
伊作は私の肩を抱き、顔を傾けキスをした。
私たちは降り注ぐ雪の中で樹氷となった。
私はこの7日間、本気で伊作を愛することを誓った。
アンバリッドの前にはお洒落な街灯が真珠のネックレスのように続き、私たちは新雪を踏み締めながら手を繋いで歩いた。
「寒くない?」
「少し寒い。伊作は?」
「僕は温かいよ、とても」
「もっと温めて。雪も溶けてしまいそうなほど」
伊作は立ち止まり、私を抱き締め口づけをした。
それは炎のように熱いキスだった。
「このアンバリッドはね? ルイ14世が創った戦争で負傷した兵士たちの病院施設だったんだ。
あのナポレオンの墓もここにあるんだよ」
「パリは歴史の教科書みたいね?
そんな歴史の中に今、私たちはいるのね?」
「僕と奈緒の歴史も、今ここにあるんだよ」
私は伊作の肩に頬を寄せた。
恋人がいる、愛する人が傍にいる幸福。
これ以上何を望むというのだ。
今までの恋愛はまるで子供のおままごとの様に思えた。
(こんなやさしい気持ちになれるのは、ここが美しいパリだから?)
失恋した寂しさからではない、これは奇跡のめぐり逢いなのだ。
伊作という運命の恋人、偶然から始まった必然。
私は伊作の神秘的な魅力に引き込まれて行った。
移動遊園地のぼんやりとした明かりが見えて来た。
「ここの風景を描いたんだよ、誰もいない夜の遊園地って切ないよね?」
「でも、とても綺麗。そして叙情的。
実際に伊作の描いたあの絵の場所に来ると、絵の素晴らしさが良くわかるわ」
動かないメリー・ゴーランド。
夏の強烈な日差しの中で、少し不安そうに回転木馬に乗る子供たち。
そんな光景が目に浮かんだ。
「この回転木馬って、人の一生みたいだと思うんだ。
木馬が上下して同じところをぐるぐると回り続ける。
嬉しかったり悲しかったり、楽しかったり苦しかったりの繰り返し」
「そうね? 上がったり下がったりが人生なのかも・・・」
今、私は伊作とこの木馬に乗り、あと6日でその木馬を自ら降りようとしている。
期限付きの恋。
「ねえ、キスして」
伊作は私の肩を抱き、顔を傾けキスをした。
私たちは降り注ぐ雪の中で樹氷となった。
私はこの7日間、本気で伊作を愛することを誓った。
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