街中華『ちゃらんぽらん』

菊池昭仁

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その6

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 「ここは外国か? ここは日本だぞ!
 何でもかんでも横文字にしやがって!」
 「あの小沼都知事も横文字が大好きですもんね?
 レジェンドとか都民ファーストとか」
 「んったく! あのババアはキャサリンかってえの! 総理大臣になりたい女タヌキのくせしやがって!
 高市早苗よりはマシだけど」

 山本さんは大工の棟梁さんだ。
 レバニラ炒めでビールを飲んでいる。

 「何なんだよあの「ハラへラメント」って? 鮭のハラスは好きだけどよお。何だよあれ? どういう意味だ?」

 ラオチュウが説明をした。

 「それはハラスメントのことですね? ハラスメントは「嫌がらせ」という意味です」
 「だったら「嫌がらせ」って日本語で言えっつうの!」
 「ハラスメントには色々あります。性的な嫌がらせは「セクハラ」 自分の立場を利用して相手を威圧するのは「パワハラ」 不道徳な精神的脅迫を「モラハラ」と言います」
 「だったら「性的嫌がらせ」とか「職場嫌がらせ」「精神的嫌がらせ」って言えばいいじゃねえか?
 一々なんじゃらハラスメントなんて言うと軽く感じるぜ!
 これもウンコ・テレビの造語か? それからコンニャクアイスってなんだ?」
 「ああ、コンプライアンスのことですね? 企業での法令遵守の事です」
 「大将、アンタ学あるなあ。パンダなのに。
 それから「エビデンス」に「インバウンド」 「インボイス」って何の事だ?」
 「エビデンスは証拠とか根拠という意味です。インバウンドは訪日外国人のことです。
 インボイスは売上金額や税額が書かれた書類のことです」
 「つまりエビデンスは「根拠」、インバウンドは訪日外国人、インボイスは請求書の事なんだろう?
 外人でもねえのに英語にする意味あんのか?」
 「英語にすれば抵抗がなくなり、何となくカッコいいからでしょうね?」
 
 その時、お客とショウ・コウシュが揉めていた。

 「なんでタヌキがホールやってんだよ!」
 「タヌキじゃありません。ボクはレッサーパンダです」
 「うるせえ! タヌキが注文取ってパンダが料理している中華屋なんて、ふざけてんのか!
 土下座して謝れ! ネットに晒すぞ!」
 「それってカスタマー・ハラスメント、「カスハラ」ですよ!
 小沼都知事に言いつけますからね!」
 「何がタヌキ知事だ! 選挙前の話題作りじゃねえか!
 罰則もねえんだぞ!
 今度の都知事はホラン千秋にしろ! ボケッ!」
 「ボクもそう思います」

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