【完結】パパはエイリアン(作品250621)

菊池昭仁

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第8話

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 「パンドラ、今日はどこに泊まるつもりだ?」
 「歌舞伎町の西横で適当にエロオヤジを捕まえてラブホにでも泊まるつもり~♪」
 「ダメだダメだ。今日はウチに泊まりなさい」
 「アダムとヤルの? いや~ん、アダムのエッチ、変態中居、ドS松本人志!」
 「私は既婚者だ、妻と娘を愛しているから不倫はしない」
 「な~んだつまんな~い」
 「とにかく詳しい話を港区の私たちのタワマンで聞かせてくれ」
 「お腹空いた~。どら焼き食べた~い」
 「わかったから帰りに買ってあげるから」
 「こし餡はダメだよ、つぶ餡ね?」
 「もちろんだよ、どら焼きは粒あんだよ。かんのやの『ゆべし』と柏屋の『薄皮饅頭』以外はな?」



 アダムはパンドラを絵葉と麻莉亜に紹介した。

 「というわけでパンドラも私と同じどら焼き星から来たエイリアンなんだ」
 「よろしくね? パンドラ」
 「絵葉さんこんにちは。パンドラで~す。よろぴく~♪」
 「パンドラは麻莉亜と同じ部屋で寝るといいわ」
 「パンドラ、私は麻莉亜、よろしくね?」
 「麻莉亜、言っておくけど私はレズビアンじゃないからね?」
 「私もよ。私はパパが大好きだもん」
 「うわ~。出たよ近親相姦? キモいんですけど」
 「そういうんじゃなくて、私はパパがパパとして大好きなの。私、本当のパパをよく覚えていないから」
 「だったら会いに行けばいいじゃん、冥王星に」
 「冥王星?」
 「そうだよ、あの星は「死者の星」だから」
 「そうなんだ」
 「まあ、もうすぐ会えるけどね? 地球人はみんな死んじゃうんだから」
 「もうすぐ死ぬの? 私たち?」
 「そうだよ、1週間後に隕石が衝突してペコポンは滅亡するんだよ」
 「えっ、本当に?」
 「本当だよ、ほら」
 
 パンドラが某国営自民党の犬HKテレビを点けると、東大卒でオッパイがCカップの清楚系女子アナが真っ青な顔でこう原稿を読んだ。

 「自民党の小泉進次郎ポンコツ大臣が田んぼで農家のオッチャンたちとヤラセ談笑中のヨイショVTRの途中ですが、たった今、米国のNASU塩原から緊急ニュースが飛び込んでまいりました!
 隕石が! お月様くらいの巨大隕石が地球に向かって飛んで来ているとのことです!
 今日の財務省エリート官僚との合コンは中止にいたします!」
 
 パンドラはつぶ餡どら焼きをドラ子ちゃんみたいに美味しそうに食べながら言った。

 「ほらね? 本当でしょう? モグモグ」
 「本当だ! あなたなんとかならないの?」
 「無理だ。アルマゲドンみたいにはいかないよ。ハゲマルドンのブルース・ウイルスのようにはいかんのだ」
 「パパ、私たち、みんな死んじゃうの?」
 
 するとパンドラが言った。

 「だってしょうがないじゃない。このペコポンの未来に希望があると思う?
 ロシアのプーチョンとウクライナのゼニクレスキーの戦争。ユダヤ人のアラビア人に対するホロコースト。アメリカのカルタ大統領のやりたい放題の自分ファースト独裁政治。自由の国アメリカに「裸の王様」はいらないわ。
 日本だってそう。国民民主党って何あれ? 元検事のゲス不倫で不倫相手の奥さんを自殺にまで追い込んでおきながら、知れっと政界復帰を狙っている泥棒化け猫の山尾志桜里。そして口だけ女好き不倫党首の玉木雄一郎。何が国民民主よ! 笑わせんじゃないわよ!
 都民ファースト? 今度はチルドレン・ファーストだとのたまう横文字大好き緑のタヌキ、カイロ大学首席卒業だと偽る公職選挙法違反の小池百合子。
 都民ファーストなんて嘘でしょ? 都庁を電通にプロジェクション・マッピングさせたり、全国の篤志家が陛下のために植林した明治神宮外苑の森を破壊して三井不動産にタダ同然で売り渡し、ゴミ売り新聞には築地に巨人のためのドーム球場を作らせるために築地を豊洲に移動させたり、裏金野郎のポーク萩生田光一は霊感商法の韓国統一教会の広告塔だよ。
 そしてそれを見て見ぬふりをする警察と検察、そして裁判所。
 ポンコツ進次郎に「アンタ誰?」的な最悪の総理大臣、吉田茂、じゃなかった慇懃無礼な話し方で国民を愚弄する石破茂。

   「国民のみなさまにおかれましては・・・」

 国民に2万給付ですって? しかも早くて今年中? 何のためのマイナンバーカードと銀行口座を紐付けにしたのよ! 高校生の小遣いじゃないんだからさあ!
 コンビニでおにぎり買ってサンドイッチ買ってナナチキ買ってLOOKチョコレート買ってコーラ買って、デカミン買ってチョコモナカジャンボとスーパーGカップのバニラアイスを買ったらすぐ3,000円だよ!
 スーパーに行ったら1万円なんてアッという間にレジに吸い込まれていっちゃう。
 金持ちはどんどん金持ちになり、貧乏人は貧乏のまま、這い上がるチャンスすら与えてもらえない。
 物価上昇に賃金が追いつかず、増え続けるまるで昔の年貢米のように年々厳しくなっていく税の徴収。
 それを国民に還元することもなく、せっせと外国にばら撒いている与党自民党と創価学会党。
 何のために? 自分が政治家でいたいからでしょう?
 そんな日本、世界なら滅んで当然よ。
 何のために1万発もの原子爆弾が必要なの? バッカみたい!」
 「たしかにパンドラのいう通りかもしれない。今の世界は狂っている。
 あれだけ過去にむごたらしい戦争を経験していながら、人類は一体何を学んだというんだ」

 パンドラは持ってきた「パンドラの匣」を撫でていた。

 「パンドラミちゃん、その箱は何? 大事そうに持っているけど」
 「どうして私の芸名がパンドラミちゃんだって知っているの?」
 「なんとなく、語呂がいいから」
 「そう私の芸名はパンドラミちゃん。そしてこの箱はね? あの有名な『パンドラの匣』の姉妹箱。『パンドラミの箱』なの」
 「ということはつまり、その箱の中には様々な邪悪が潜んでいて、悲しみや苦しみ、嘆きや憎しみが詰まっているということなのね?」  
 「そしてその箱の底には「希望」が隠されているというわけだな?」 
 「ううん、「希望」はパンドラミちゃんの箱には入ってないの」
 「じゃあ何が入っているんだい?」
 「絶望よ。うふっ」

 パンドラミはつぶ餡入りのどら焼きを絵葉に差し出して言った。

 「麻莉亜ちゃんのママさん、これを天ぷらにしてちょうだい。どら焼き天ぷらに」
 「はいはい」

 みんなでつぶ餡のどら焼き天ぷらを食べながら落胆した。
 地球滅亡まであと7日。どうするアダム、そしてどうなるペコポンの運命は?

 
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