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エピソード6
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俺は泳ぎ続けた。24時間泳ぎ続けた。
「はあはあ 焼きそばパン、キャサリンのために焼きそばパンを買うんだ」
バシャバシャ バシャバシャ
焼きそばパンを買って、早くキャサリンに届けなきゃ。
そうすればキャサリンはきっとこう言うはずだ。
「次郎! 私の大好きな焼きそばパンをありがとう! 次郎大好き! ブチュブチュ ベロベロ チュパチュパ チュパチャップス」
そしてそれから長いチョメチョメ・タイム。
しばらく泳いでいると、筏に浮かぶコンビニが見えて来た。
『セブン・イレてね?』
店長はタコだった。ネーム・プレートには「オクトパス八郎」と書かれていた。
俺はレジ脇にある焼きそばパンを見つけ、うれしさのあまり飛び上がった。
「やったー! この焼きそばパンをひとつ、いや、3つ下さい。PAIPAIは使えますか?」
「はい、大丈夫です。レジ袋は必要ですか?」
「お願いします、濡れるといけないので。ジプロックはありますか?」
「ありますよ、そちらの棚にあるはずです、そこにある人魚のパンティ・ストッキングの隣にあるやつです」
「ああこれですね? ではこれもお願いします」
「こちらをご確認の上、「確認」パネルを押して下さい」
「えーと、これですね? 何々、「半魚人ですか?」? 「YES」と」
「ありがとうございました」
俺は全力で泳いだ。まるでトビウオのように泳いだ。
「はあはあ 買って来たよ、キャサリン! 君の好きな焼きそばパンだ。ハイどうぞ。
ルカー、君もどうぞ、みんなで食べようよ」
ルカーの顔がなぜか悲しそうだった。
「どうしたのみんな? 早く食べないと海水でビショビショになっちゃうよ」
するとキャサリンが焼きそばパンを空に放り投げた。
「ちょっとキャサリン! 何をするのさ!」
その焼きそばパンは、アルバトロスが咥えてどこかへ飛んで行ってしまった。
「何をするんだよ、キャサリン! せっかく命懸けて買って来た焼きそばパンを!」
「メロンパンが食べたい。チョコチップの入っているやつ」
「だって「焼きそばパンが食べたい」ってキャサリンが言うから」
「そんなの知らない。今はメロンパンが食べたいの! 早く買って来て!」
するとルカーが焼きそばパンを食べながら俺に耳打ちをした。
「もぐもぐ おおきに次郎。この焼きそばパン、少し塩っぱい味がするけど美味しいで」
それは海水が付いたからではなく、ルカーの流した涙が焼きそばパンに落ちたからだった。
(イルカが泣くって本当なんだ)
「次郎はキャサリンにからかわれたんやで、ドSの人魚、キャサリンに。
キャサリンはそういう人魚や、そんなことくらいでキャサリンは人魚スパッツを脱いだりせえへん」
「えっ? あれってスパッツなの? けっこうあの尾びれの往復ビンタ、痛かったけど?」
「そうや、そしてたとえ人魚スパッツを脱がせても、次は鋼鉄のパンティを脱がさなあかん」
「アイアン・パンティ?・・・」
「だからはよ行こうや、マラッカ海峡に。ムシャムシャ モグモグ
ここに居ても時間の無駄やでホンマ、次郎」
「俺、メロンパンを買って来る!」
「次郎・・・」
「ちょっと半魚人、アーモンドクランチ・キャラメル・フラペチーノも忘れんなよ」
「わかったよキャサリン」
俺は再び泳ぎ始めた。
キャサリンの人魚スパッツとアイアン・パンティを脱がして、チョメチョメするために。
「はあはあ 焼きそばパン、キャサリンのために焼きそばパンを買うんだ」
バシャバシャ バシャバシャ
焼きそばパンを買って、早くキャサリンに届けなきゃ。
そうすればキャサリンはきっとこう言うはずだ。
「次郎! 私の大好きな焼きそばパンをありがとう! 次郎大好き! ブチュブチュ ベロベロ チュパチュパ チュパチャップス」
そしてそれから長いチョメチョメ・タイム。
しばらく泳いでいると、筏に浮かぶコンビニが見えて来た。
『セブン・イレてね?』
店長はタコだった。ネーム・プレートには「オクトパス八郎」と書かれていた。
俺はレジ脇にある焼きそばパンを見つけ、うれしさのあまり飛び上がった。
「やったー! この焼きそばパンをひとつ、いや、3つ下さい。PAIPAIは使えますか?」
「はい、大丈夫です。レジ袋は必要ですか?」
「お願いします、濡れるといけないので。ジプロックはありますか?」
「ありますよ、そちらの棚にあるはずです、そこにある人魚のパンティ・ストッキングの隣にあるやつです」
「ああこれですね? ではこれもお願いします」
「こちらをご確認の上、「確認」パネルを押して下さい」
「えーと、これですね? 何々、「半魚人ですか?」? 「YES」と」
「ありがとうございました」
俺は全力で泳いだ。まるでトビウオのように泳いだ。
「はあはあ 買って来たよ、キャサリン! 君の好きな焼きそばパンだ。ハイどうぞ。
ルカー、君もどうぞ、みんなで食べようよ」
ルカーの顔がなぜか悲しそうだった。
「どうしたのみんな? 早く食べないと海水でビショビショになっちゃうよ」
するとキャサリンが焼きそばパンを空に放り投げた。
「ちょっとキャサリン! 何をするのさ!」
その焼きそばパンは、アルバトロスが咥えてどこかへ飛んで行ってしまった。
「何をするんだよ、キャサリン! せっかく命懸けて買って来た焼きそばパンを!」
「メロンパンが食べたい。チョコチップの入っているやつ」
「だって「焼きそばパンが食べたい」ってキャサリンが言うから」
「そんなの知らない。今はメロンパンが食べたいの! 早く買って来て!」
するとルカーが焼きそばパンを食べながら俺に耳打ちをした。
「もぐもぐ おおきに次郎。この焼きそばパン、少し塩っぱい味がするけど美味しいで」
それは海水が付いたからではなく、ルカーの流した涙が焼きそばパンに落ちたからだった。
(イルカが泣くって本当なんだ)
「次郎はキャサリンにからかわれたんやで、ドSの人魚、キャサリンに。
キャサリンはそういう人魚や、そんなことくらいでキャサリンは人魚スパッツを脱いだりせえへん」
「えっ? あれってスパッツなの? けっこうあの尾びれの往復ビンタ、痛かったけど?」
「そうや、そしてたとえ人魚スパッツを脱がせても、次は鋼鉄のパンティを脱がさなあかん」
「アイアン・パンティ?・・・」
「だからはよ行こうや、マラッカ海峡に。ムシャムシャ モグモグ
ここに居ても時間の無駄やでホンマ、次郎」
「俺、メロンパンを買って来る!」
「次郎・・・」
「ちょっと半魚人、アーモンドクランチ・キャラメル・フラペチーノも忘れんなよ」
「わかったよキャサリン」
俺は再び泳ぎ始めた。
キャサリンの人魚スパッツとアイアン・パンティを脱がして、チョメチョメするために。
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