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最終回
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「取ったどーっ!」
俺はかつての無人島芸人のように海面を出ると叫んだ。
「よし、よくやった。それじゃあそのレインボー・パールを俺に寄こせ」
「その前にキャサリンを放すのが先だ」
ジョーズはキャサリンを開放した。
「次郎!」
キャサリンは一目散に次郎の元へと泳いだ。
「ありがとう次郎! 私のために ううううう」
次郎はレインボー・パールをジョーズに渡した。
「おお、これが何でも願いが叶うという、伝説のレインボー・パールか!
これさえあれば七つの海は俺のものだ!
大奥も作れるぞ!」
ジョーズは大喜びである。
「さあキャサリン。みんなで『シルバー・オクトパス』のタコ焼きを食べようじゃないか?
あのタコの化け物は退治してタコ焼きにしたんだ。
ジョーズも一緒に食べようぜ」
「俺もいいのか? 俺はお前を食べて、キャサリンとチョメチョメしようとしたホオジロザメだぞ!」
「でも今は友だちじゃないか? さあ青のりと鰹節はもうかけてある。
マヨネーズは辛子マヨネーズと普通のマヨネーズがあるけど、どっちがいい?」
「それじゃ普通のやつで」
次郎はジョーズに上手にジョーズの絵を描いた。そうじゃなくてジョーズのタコ焼きに上手にマヨネーズをかけてあげた。
「どうだ? マヨネーズをかけると美味いだろう?」
見るとジョーズは泣いていた。
「泣くほど美味いのか?」
「俺は海の嫌われ者だった。俺は海の生き物の中ではライオンのように強い。
だが人間には敵わねえ。見つかるとすぐに殺されてしまう。
フカヒレを取られてしまうんだ。
そんな嫌われ者の俺に、『シルバー・オクトパス』のタコ焼きをくれるなんて・・・。ううううう」
「そんなに泣いたら海の水が塩っぱくなっちゃうよ」
「次郎はん、もう塩っぱくなってまんがな? 海水なんやから」
「流石は大阪の天保山の海遊館に捕まりかけたイルカだ、良いツッコミだね?」
そしてみんなで仲良くタコ焼きを食べた。
「次郎、あなたが好きよ。大好き」
「俺もだよ、キャサリン」
「抱いて。私のこの人魚スパッツとアイアン・パンティを脱がせてちょうだい。
そして半魚人のあなたの赤ちゃんを産んであげる」
「キャサリンに似て、ジャネーズみたいなイケメン男子か、神楽坂56みたいなカワイイ女の子が産まれるといいなあ」
「半魚人がいいわ。あなたみたいなやさしい思い遣りのある強い半魚人に産んであげる」
「キャサリン」
「次郎」
「それじゃ! そういえばこの先に『ホテル竜宮城』があるさかい、そこでチョメチョメするとええんとちゃうの?」
「ありがとうルカー」
「ほな、もうマラッカ海峡には行かんでもええんやな?」
「うん。俺はここでキャサリンとしあわせな家庭を作るよ、半魚人と人魚のファミリーを」
「そないなると半魚人とマーメイドのハーフが産まれるっちゅうわけやから、もし半魚人の子供が産まれたら、「半々魚人」になるんやろか?」
「なるほど、半々魚人か? それもいいかもな?」
「素敵、半々魚人なんて」
するとジョーズが次郎にレインボー・パールを返してよこした。
「これは君にあげた物だよ」
「いいから受け取ってくれ。俺からの結婚祝いだ」
「これは君との約束だから君が持っていてくれよ。
それに俺はもう願いは叶ったんだ」
「次郎・・・」
「さあ次郎、チョメチョメしに行きましょう!」
「ありがとうジョーズ、そしてルカー。それじゃあみんな、さようなら。いつかまた会おう」
「ああ、必ずな?」
「絶対やで! 次郎はん。ううううう」
「さようならみんなあ」
「サードオフィサー(三等航海士)、当直交代15分前です」
クォーターマスター(操舵手)のキムが起こしに来てくれた。
「ありがとう。了解だ」
どうやら俺は夢を見ていたらしい。
ブリッジ(操舵室)に上がると進路方向に大きな月が出ていた。
満月への黄金の道が続いていた。
チーフオフィサー(一等航海士)との航海当直の引継ぎを終えると、チーフオフィサーが言った。
「この海域には昔、キャサリンという美しいマーメイドがいて、その美貌と美しい歌声で船乗りを誘惑し、船を沈めたという伝説があるらしい。
こんな静かな月夜は要注意だな? それじゃあ、ねがいます」
航海士は業務の交代時に「ねがいます」と声を掛けるのが通例になっている。
「お疲れ様でした」
私はウイングに出て潮風に当たった。
どこからか、煌びやかなソプラノの歌声が聴こえた気がした。
「キャサリン? まさかな?」
キャサリンとルカー、そしてジョーズは次郎の船をいつまでも見送っていた。
月の綺麗な夜の航海だった。
『ドMな半魚人「浦島次郎」と ドSなマーメイド「キャサリン」の恋』完
俺はかつての無人島芸人のように海面を出ると叫んだ。
「よし、よくやった。それじゃあそのレインボー・パールを俺に寄こせ」
「その前にキャサリンを放すのが先だ」
ジョーズはキャサリンを開放した。
「次郎!」
キャサリンは一目散に次郎の元へと泳いだ。
「ありがとう次郎! 私のために ううううう」
次郎はレインボー・パールをジョーズに渡した。
「おお、これが何でも願いが叶うという、伝説のレインボー・パールか!
これさえあれば七つの海は俺のものだ!
大奥も作れるぞ!」
ジョーズは大喜びである。
「さあキャサリン。みんなで『シルバー・オクトパス』のタコ焼きを食べようじゃないか?
あのタコの化け物は退治してタコ焼きにしたんだ。
ジョーズも一緒に食べようぜ」
「俺もいいのか? 俺はお前を食べて、キャサリンとチョメチョメしようとしたホオジロザメだぞ!」
「でも今は友だちじゃないか? さあ青のりと鰹節はもうかけてある。
マヨネーズは辛子マヨネーズと普通のマヨネーズがあるけど、どっちがいい?」
「それじゃ普通のやつで」
次郎はジョーズに上手にジョーズの絵を描いた。そうじゃなくてジョーズのタコ焼きに上手にマヨネーズをかけてあげた。
「どうだ? マヨネーズをかけると美味いだろう?」
見るとジョーズは泣いていた。
「泣くほど美味いのか?」
「俺は海の嫌われ者だった。俺は海の生き物の中ではライオンのように強い。
だが人間には敵わねえ。見つかるとすぐに殺されてしまう。
フカヒレを取られてしまうんだ。
そんな嫌われ者の俺に、『シルバー・オクトパス』のタコ焼きをくれるなんて・・・。ううううう」
「そんなに泣いたら海の水が塩っぱくなっちゃうよ」
「次郎はん、もう塩っぱくなってまんがな? 海水なんやから」
「流石は大阪の天保山の海遊館に捕まりかけたイルカだ、良いツッコミだね?」
そしてみんなで仲良くタコ焼きを食べた。
「次郎、あなたが好きよ。大好き」
「俺もだよ、キャサリン」
「抱いて。私のこの人魚スパッツとアイアン・パンティを脱がせてちょうだい。
そして半魚人のあなたの赤ちゃんを産んであげる」
「キャサリンに似て、ジャネーズみたいなイケメン男子か、神楽坂56みたいなカワイイ女の子が産まれるといいなあ」
「半魚人がいいわ。あなたみたいなやさしい思い遣りのある強い半魚人に産んであげる」
「キャサリン」
「次郎」
「それじゃ! そういえばこの先に『ホテル竜宮城』があるさかい、そこでチョメチョメするとええんとちゃうの?」
「ありがとうルカー」
「ほな、もうマラッカ海峡には行かんでもええんやな?」
「うん。俺はここでキャサリンとしあわせな家庭を作るよ、半魚人と人魚のファミリーを」
「そないなると半魚人とマーメイドのハーフが産まれるっちゅうわけやから、もし半魚人の子供が産まれたら、「半々魚人」になるんやろか?」
「なるほど、半々魚人か? それもいいかもな?」
「素敵、半々魚人なんて」
するとジョーズが次郎にレインボー・パールを返してよこした。
「これは君にあげた物だよ」
「いいから受け取ってくれ。俺からの結婚祝いだ」
「これは君との約束だから君が持っていてくれよ。
それに俺はもう願いは叶ったんだ」
「次郎・・・」
「さあ次郎、チョメチョメしに行きましょう!」
「ありがとうジョーズ、そしてルカー。それじゃあみんな、さようなら。いつかまた会おう」
「ああ、必ずな?」
「絶対やで! 次郎はん。ううううう」
「さようならみんなあ」
「サードオフィサー(三等航海士)、当直交代15分前です」
クォーターマスター(操舵手)のキムが起こしに来てくれた。
「ありがとう。了解だ」
どうやら俺は夢を見ていたらしい。
ブリッジ(操舵室)に上がると進路方向に大きな月が出ていた。
満月への黄金の道が続いていた。
チーフオフィサー(一等航海士)との航海当直の引継ぎを終えると、チーフオフィサーが言った。
「この海域には昔、キャサリンという美しいマーメイドがいて、その美貌と美しい歌声で船乗りを誘惑し、船を沈めたという伝説があるらしい。
こんな静かな月夜は要注意だな? それじゃあ、ねがいます」
航海士は業務の交代時に「ねがいます」と声を掛けるのが通例になっている。
「お疲れ様でした」
私はウイングに出て潮風に当たった。
どこからか、煌びやかなソプラノの歌声が聴こえた気がした。
「キャサリン? まさかな?」
キャサリンとルカー、そしてジョーズは次郎の船をいつまでも見送っていた。
月の綺麗な夜の航海だった。
『ドMな半魚人「浦島次郎」と ドSなマーメイド「キャサリン」の恋』完
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