★【完結】ダブルファミリー(作品230717)

菊池昭仁

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第四章

第2話 会社は誰の物か?

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 俺たち三人は、料亭の離れの部屋で食事をしていた。
 庭の水琴窟の音が、俺たちの沈黙を支えてくれた。

 村山も祥子も、酒には手を付けてはいなかった。
 俺からの言葉を待っているのだろう。
 会社を守るための策略を。


 「お前らも飲めよ。遠慮すんな」

 俺は盃をふたりに勧めた。

 「社長。どうするおつもりですか?」
 「村山。会社は誰のためにあると思う?」
 「お客様と株主様、それから業者さんやウチの取引先、そして創業者である社長と、岩倉社長のご遺族のためです」
 「一番大切なものが抜けてるな?」
 「社会のためですか?」
 「それもあるが会社とは、社員のためにある。
 社員は家族だ。いい仕事をして、みんなに喜ばれ、税金を沢山払う。
 それには社員が必要だ。
 社長なんかいなくても、お前ら社員がいれば『イワスギホーム』は安泰だ。
 社長なんて誰がなっても同じだよ。
 できた社員がいればそれでいい。
 俺は社員にカネを配り、適材適所に人を配置し、ゴルフをしておねえちゃんのケツを触っているだけだからな? あはははは。
 それが出来るのも、お前たちのお陰だ」
 
 祥子は吸い物の椀を置いた。

 「会社をあの人たちには絶対に渡したくはありません」
 「そうだな? 課長、お前も飲め」
 「頂戴します」

 祥子は盃を呷った


 「村山、ウチの株価は今いくらだ?」
 「今日の終値で1,380円です」
 「公開買付の予想は1,700円と言ったところか?」
 「おそらく」
 「吉田のことだから戦いを急ぐはずだ。明日には記者会見を開くだろう」
 「一気に売りが進み、向こうに株が流れるでしょうね?」
 「明後日、俺も記者会見をするから段取りを頼む。
 だがそれは木戸常務には言うな」
 「なぜですか?」
 「おそらく木戸は吉田と繋がっている。
 あの証券会社の親会社は、吉田が元いた銀行だからな」
 「なるほど」
 「だから木戸には嘘の情報を流せ」
 「どんな情報を?」
 「それは追って指示する。
 今、俺が持っている株式が20%。岩倉さん一族が20%。そして5%を佐田の婆ちゃんが持っている。
 つまり45%は安泰というわけだ」
 「では増資をお考えですか?」
 「それはしない」
 「ではどのように?」
 「俺の考えはこうだ」

 俺は村山と祥子に計画の概要を伝えた。



 「田子倉課長。吉田の女とお前、同期だったよな?」
 「はい」
 「お前はあの女に俺がかなり参っているので、買収を考え直して欲しいと、泣き言を言っていたと伝えてくれ」
 「かしこまりました」
 「話しは以上だ。課長、酒を頼む」
 「はい、喜んで!」

 その日、俺たちはかなり呑んだ。
 旨い酒だった。




 密談を終え、俺は久しぶりに絹世のマンションを訪れた。


 「今晩、泊めてくれ」
 「ご機嫌ですね? 誰と飲んでいらしたのかしら?」
 「俺のかわいい部下ふたりとな。いい酒だった」
 「どこか他の子猫ちゃんかと思いました。
 それなら大歓迎です」
 「すまんが、風呂を沸かしてもらえるか?」
 「わかりました。少しお待ち下さいね」

 絹世は俺に氷の入った水を差し出してくれた。
 
 「ありがとう。どうだ? 何か困ったことはないか?」
 「毎日楽しいですよ。
 でも最近、あなたがあまり来てくれないのが不満かも?」
 「ごめんな、寂しい思いをさせて」
 「何か召し上がりますか?」
 「いや、何もいらない。お前がいれば」

 絹世は満足そうに微笑んだ。

 
 洗面所に行くと、俺と絹世の歯ブラシが並んでいた。
 入浴剤を入れた白濁した浴槽に浸かり、俺は目を閉じ、溜息を吐いた。

 (俺はしあわせ者だ)

 祥子に村山、直子に遥、そして絹世。
 本当の家族は俺には冷たいが、俺には「他人の家族」がいる。

 バスルームの扉が開き、絹世が様子を見に来てくれた。

 「大丈夫ですか?」
 「ああ。いい風呂だよ」
 「そうですか? あまり長湯しないで下さいね?
 お酒を飲んでいらっしゃるから」
 「もうすぐ上がるよ」
 「下着とパジャマはここに置いて置きましたから」
 「ありがとう」
 

 
 俺は絹世を抱いた。
 酒をかなり飲んだこともあり、あそこは柔らかいままだったが、俺は性技を駆使した。

 絹世を背中から抱き締め、首筋に舌を這わせ、左手は乳房を、そして右手は潤んだ蜜壺へと入れた。

 「うっ、はあはあ、あっ、いや・・・」
 「久しぶりだからな? 溜まっていたのか?」
 「あっ、うっ・・・、もう自分、で、するのは、イヤ・・・」
  
 俺は中心に入れた指で、Gスポットを刺激した。

 「子宮まで、お願い・・・」
 「こうか?」
 「そこ、もっと、早く、あ、あ、んっ・・・」
 
 絹世は弓なりになり、ガクンと落ちた。
 指に内部の収縮が伝わる。



 そのまま俺は、いつの間にか寝落ちしていたらしい。
 時計を見ると午前4時だった。
 酒が抜けた後のペニスはかなり固く、勃起していた。
 俺は眠っている絹世のショーツを下ろし、丁寧にクンニを始めた。

 すると絹世も目を覚まし、シックスナインの体位を取った。

 「ふふっ、硬くて大きくなってる・・・」

 絹世の口の温かい感触、舌が絡み付いて来る。

 「バックでやるぞ」

 頷く絹世。
 絹世の美しい白い尻を抱え、俺は絹世の中に挿入した。
 メリメリと入って行く感覚が心地いい。

 俺はゆっくりと出し入れを継続した。
 それに合わせてベッドが軋み、絹世の喘ぎ声が高まっていった。

 「そのまま、中にお願い、頂戴!」

 俺は絹世の中に精子を放出した。
 短い叫び声をあげ、絹世は果てた。
 
 絹世のそこからは愛液と混じった白濁液が流れて来た。

 絹世はそれを拭こうともせず、俺に抱きつき甘えた。

 俺たちはそのまま朝を迎えた。
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