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二日目
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「ん~、朝かぁ」
また一日が始まる。東から昇ったお日様が西に沈むだけなのに、人間は大忙しだ。
「なかなかカッコイイ男だったなぁ」
夢に出てきた不思議な男は、空ばかり見ていた。憧れなのか、何なのかは分からないけど。
今朝も雨だ。昨晩からシトシト降っている。
「雨だねぇ」
「雨だなぁ」
「出て行けないねぇ」
「出て行けないなぁ」
あたしとクロは窓から外を見た。灰色の雲からは、とめどなく雨が零れてる。
「ま、その内やむでしょ」
クロを抱っこしてテーブルにつく。朝食はパンと昨日のスープと玉子焼。小皿にクロの分を載せる。
「あちっ!」
クロはやっぱり猫舌だ。スープは冷ましてスプーンであげる。
「はいアーン」
クロがペロペロすると、スプーンのスープは無くなっていく。
「……旨い」
ん? クロから何か聞こえたけど?
「なんか言った?」
「……いや、何も」
クロはぷいっとソッポを向いた。
「ふんだ、どうせ美味しくないわよ」
「……」
あたしは口を尖らせたけど、クロは黙ったまま。
「なによ!」
「……旨い、と言ったんだ」
クロはソッポを向いたまま、ふてくされた声でそんな事を言った。尻尾がうにょうにょと揺れていた。
「へ~」
あたしはニンマリとしながらクロの尻尾を握った。クロはビクッとして、あたしを見た。
「治療して貰って、一晩世話になってるんだ。世辞くらいは、当然だろう」
クロはまたソッポを向いた。あたしはクロをひょいと持ち上げて、すりすりと頭に頬刷りをする。
頭のモフモフが気持ち良い。
「くっ、勘違いするな!」
「しないわよ~」
猫からでも言われたら、嬉しいのよ。
「あたし仕事に行くから。お昼はこれで、ミルクはここに置いておくからね。雨降ってるんだから、外に出ちゃダメよ!」
「委細承知した」
玄関でクロに手を振ってお見送りをされて、あたしは杖に腰掛けた。
今日は雨だから、大きなポンチョを被っていく。等身大のテルテル坊主ね。傘をさして出勤よ。
雨の中、杖は水しぶきを上げながら進む。傘を差した魔女って、様にならないのよね。下から子ども達があたしを指さしてるし。
「やーっとついた」
時間ギリギリになっちゃった。でもセーフ。
「おはよーございまーす」
挨拶をして研究所にはいる。みなは揃っていて、あたしが最後みたい。
「シーラちゃんオハヨー」
「アカネちゃんオハヨー」
アカネちゃんは昨日と同じ服だ。
お泊まりかぁ、いいなぁ。でもそんな事を聞くほど野暮じゃない。人の恋路は邪魔しちゃダメよね。
「あれ、シーラちゃん、毛が付いてる」
アカネちゃんが、あたしの襟から黒い毛を指で摘まんだ。多分クロの毛だ。
「あー、猫の毛だ」
「シーラちゃん、猫なんか飼ってたんだ!」
「昨晩落ちてきたの」
「へ?」
アカネちゃんが固まっちゃった。
まぁ、落ちてきたとか言われても、何のこっちゃ、ってなるよね。
「あれ、もしかして、恋人?」
アカネちゃんが、にやっとした目になった。
「なら良かったんだけど。雌猫なのよね」
「シ、シーラちゃん、百合なの?」
「あたしはノーマルよ!」
何か勘違いされてる。ただの、しゃべる猫がいるだけなのに。
「あー、シーラ君、この魔法の解析をしてくれたまえ。これはかなり重要な魔法だ。心して取り掛かって欲しい」
禿上司があたしに仕事を持ってきた。手入れが楽そうな頭で良いわねぇ。
「えーと、この魔法ね」
お、凄い。緻密に組まれてて、無駄がない。
「この魔法を創った人は凄い!」
「その魔法は、ランドが創ったらしいの」
アカネちゃんがコッソリ教えてくれた。
ランドって言うのは、若いのに凄腕の魔法使いで、しかも貴族様だったりする、凄い存在。確かあたしよりも歳は下なのよね。才能の差って奴よ。
「へ~、すっごいなぁ~」
一度で良いから会ってみたいなあ。
今日解析を頼まれた魔法は、かなり特殊な魔法だ。まだまだ解析出来てないけど、どうやら変身の魔法みたいだ。
「巧妙に隠されてるわ。まるで芸術ね!」
あたしもこんな魔法を創ってみたいな。
「でも、そのランドが一昨日から行方が分からないんだって」
アカネちゃんがそっと耳打ちしてきた。アカネちゃんのお父さんは新聞社に勤めてて、情報には強い。
「まじ?」
「自由が欲しい、って書き置きがあったらしいの」
アカネちゃんの顔が曇った。あんまり良くない情報なのね。
「自由、ねえ」
お金も地位もあったら、自由だってあると思うんだけど。偉い人は考えも違うのね。
定時の時間になればダッシュで帰る。クロがいるから夕食を作らないと!
「シーラちゃん、今日空いてる?」
「ごめーん、猫が待ってるの!」
「なんだぁ、やっぱり恋人なんじゃないの~?」
「物申す猫なのよ!」
「ナニソレ?」
ハテナ顔のアカネちゃんを置いてけぼりに、あたしは杖を持った。
「お先に失礼しまーす!」
雨は小降りにはなっていたけど、杖で飛ぶと粒が痛い。でも傘をさすと速く飛べない。
「あ~もう~じれったぁい!」
傘なんか閉じてポンチョだけになる。
「雨粒なんか避ければ良いのよ!」
訳の分からない精神論を盾に、あたしは家路を急いだ。誰かが家で待ってるなんて、今までなかった事だ。何となく、あたしは嬉しかった。
矢よりも速く飛んでボロアパートに着いた。アワアワしながらも急いで鍵を開ける。
「ただいま!」
あたしを迎えるように、クロが頭にタオルを乗せて、ちょこんとお座りしていた。
「びしょ濡れだなぁ」
「急いだもん!」
「ほら、タオルだ」
「ありがとー」
クロの頭の上のタオルを取って、わしわしと顔と頭を拭く。
「はぁ、すっきりした」
「おかえり」
ぶっきらぼうなクロの声に、顔が緩んでいく。
「わーい」
クロを抱き上げてお腹のモフモフに顔を突入させる。
「ちょっ、やめっ、くすぐっ、あのっ」
クロの悶える声が聞こえるけど、モフモフは止まらないのだ!
「モフモフは後でさせてやる。風邪をひくから着替えてこい!」
クロの怒号が狭い玄関に鳴り響いた。
「傘を持って行ったろう」
クロの呆れた声があたしを責める。
「だって、クロが待ってるって思ったら、急がないとってなるじゃない!」
あたしは夕食を作りながら応戦する。今日は野菜炒めだ。
「そりゃ有り難いけどな。化粧は崩れてるわ、頭は鳥の巣になってるわ。シーラは女の子だぞ?」
クロは器用にも皿を用意してる。クロの分だけど。
「わーい、女の子扱いされたぞー」
「そこ、喜ぶとこじゃない!」
今まで家でこんな会話をした事は、ない。なんだか楽しい。
「そう言ってくれる人もいないしさ~」
恋をしたことが無いって訳じゃないけど、大分前の事だしね。
「まぁ、人の事は言えないけどな」
「何か言った?」
炒めてる音がうるさくて良く聞こえない。
「あー、何も言ってないぞ」
「ふーん」
ちょうど炒め物も出来た。
味良し、見た目良し。あたしにしては上出来だ。
「さぁ、夕食にしよう!」
「いただきまーす」
「いただきます」
うん、我ながら美味しく出来てる。野菜もシャキシャキしてるし。
「あっちぃ!」
クロはやっぱり猫舌だ。野菜炒めもダメか。
「ほら、冷ましてあげるから」
「……すまん」
クロは済まなそうに下を向いた。
未だに雨は止まない。随分長い雨だ。久々に長雨だ。
「クロは昼間は何してたの?」
風呂の刑を強制執行したあと、膝の上に乗せて毛をふわふわにしている。
ブラシで艶々の黒毛が完成よ。
「窓から外を眺めてた」
「雨降ってたでしょ」
「それでも見てた」
「……外に行きたい?」
クロは黙ってしまった。やっぱり出て行きたいのかな……晴れたら出て行っちゃうのかな?
「まぁ、晴れたらな」
クロはポツリと零した。
外は未だに雨音が鳴り続けていた。
また夢を見た。昨日と同じ男の人が、やっぱり空を見上げていた。青い瞳は、羨ましそうに、じーっと空の蒼を見つめていた。彼は誰なんだろう?
また一日が始まる。東から昇ったお日様が西に沈むだけなのに、人間は大忙しだ。
「なかなかカッコイイ男だったなぁ」
夢に出てきた不思議な男は、空ばかり見ていた。憧れなのか、何なのかは分からないけど。
今朝も雨だ。昨晩からシトシト降っている。
「雨だねぇ」
「雨だなぁ」
「出て行けないねぇ」
「出て行けないなぁ」
あたしとクロは窓から外を見た。灰色の雲からは、とめどなく雨が零れてる。
「ま、その内やむでしょ」
クロを抱っこしてテーブルにつく。朝食はパンと昨日のスープと玉子焼。小皿にクロの分を載せる。
「あちっ!」
クロはやっぱり猫舌だ。スープは冷ましてスプーンであげる。
「はいアーン」
クロがペロペロすると、スプーンのスープは無くなっていく。
「……旨い」
ん? クロから何か聞こえたけど?
「なんか言った?」
「……いや、何も」
クロはぷいっとソッポを向いた。
「ふんだ、どうせ美味しくないわよ」
「……」
あたしは口を尖らせたけど、クロは黙ったまま。
「なによ!」
「……旨い、と言ったんだ」
クロはソッポを向いたまま、ふてくされた声でそんな事を言った。尻尾がうにょうにょと揺れていた。
「へ~」
あたしはニンマリとしながらクロの尻尾を握った。クロはビクッとして、あたしを見た。
「治療して貰って、一晩世話になってるんだ。世辞くらいは、当然だろう」
クロはまたソッポを向いた。あたしはクロをひょいと持ち上げて、すりすりと頭に頬刷りをする。
頭のモフモフが気持ち良い。
「くっ、勘違いするな!」
「しないわよ~」
猫からでも言われたら、嬉しいのよ。
「あたし仕事に行くから。お昼はこれで、ミルクはここに置いておくからね。雨降ってるんだから、外に出ちゃダメよ!」
「委細承知した」
玄関でクロに手を振ってお見送りをされて、あたしは杖に腰掛けた。
今日は雨だから、大きなポンチョを被っていく。等身大のテルテル坊主ね。傘をさして出勤よ。
雨の中、杖は水しぶきを上げながら進む。傘を差した魔女って、様にならないのよね。下から子ども達があたしを指さしてるし。
「やーっとついた」
時間ギリギリになっちゃった。でもセーフ。
「おはよーございまーす」
挨拶をして研究所にはいる。みなは揃っていて、あたしが最後みたい。
「シーラちゃんオハヨー」
「アカネちゃんオハヨー」
アカネちゃんは昨日と同じ服だ。
お泊まりかぁ、いいなぁ。でもそんな事を聞くほど野暮じゃない。人の恋路は邪魔しちゃダメよね。
「あれ、シーラちゃん、毛が付いてる」
アカネちゃんが、あたしの襟から黒い毛を指で摘まんだ。多分クロの毛だ。
「あー、猫の毛だ」
「シーラちゃん、猫なんか飼ってたんだ!」
「昨晩落ちてきたの」
「へ?」
アカネちゃんが固まっちゃった。
まぁ、落ちてきたとか言われても、何のこっちゃ、ってなるよね。
「あれ、もしかして、恋人?」
アカネちゃんが、にやっとした目になった。
「なら良かったんだけど。雌猫なのよね」
「シ、シーラちゃん、百合なの?」
「あたしはノーマルよ!」
何か勘違いされてる。ただの、しゃべる猫がいるだけなのに。
「あー、シーラ君、この魔法の解析をしてくれたまえ。これはかなり重要な魔法だ。心して取り掛かって欲しい」
禿上司があたしに仕事を持ってきた。手入れが楽そうな頭で良いわねぇ。
「えーと、この魔法ね」
お、凄い。緻密に組まれてて、無駄がない。
「この魔法を創った人は凄い!」
「その魔法は、ランドが創ったらしいの」
アカネちゃんがコッソリ教えてくれた。
ランドって言うのは、若いのに凄腕の魔法使いで、しかも貴族様だったりする、凄い存在。確かあたしよりも歳は下なのよね。才能の差って奴よ。
「へ~、すっごいなぁ~」
一度で良いから会ってみたいなあ。
今日解析を頼まれた魔法は、かなり特殊な魔法だ。まだまだ解析出来てないけど、どうやら変身の魔法みたいだ。
「巧妙に隠されてるわ。まるで芸術ね!」
あたしもこんな魔法を創ってみたいな。
「でも、そのランドが一昨日から行方が分からないんだって」
アカネちゃんがそっと耳打ちしてきた。アカネちゃんのお父さんは新聞社に勤めてて、情報には強い。
「まじ?」
「自由が欲しい、って書き置きがあったらしいの」
アカネちゃんの顔が曇った。あんまり良くない情報なのね。
「自由、ねえ」
お金も地位もあったら、自由だってあると思うんだけど。偉い人は考えも違うのね。
定時の時間になればダッシュで帰る。クロがいるから夕食を作らないと!
「シーラちゃん、今日空いてる?」
「ごめーん、猫が待ってるの!」
「なんだぁ、やっぱり恋人なんじゃないの~?」
「物申す猫なのよ!」
「ナニソレ?」
ハテナ顔のアカネちゃんを置いてけぼりに、あたしは杖を持った。
「お先に失礼しまーす!」
雨は小降りにはなっていたけど、杖で飛ぶと粒が痛い。でも傘をさすと速く飛べない。
「あ~もう~じれったぁい!」
傘なんか閉じてポンチョだけになる。
「雨粒なんか避ければ良いのよ!」
訳の分からない精神論を盾に、あたしは家路を急いだ。誰かが家で待ってるなんて、今までなかった事だ。何となく、あたしは嬉しかった。
矢よりも速く飛んでボロアパートに着いた。アワアワしながらも急いで鍵を開ける。
「ただいま!」
あたしを迎えるように、クロが頭にタオルを乗せて、ちょこんとお座りしていた。
「びしょ濡れだなぁ」
「急いだもん!」
「ほら、タオルだ」
「ありがとー」
クロの頭の上のタオルを取って、わしわしと顔と頭を拭く。
「はぁ、すっきりした」
「おかえり」
ぶっきらぼうなクロの声に、顔が緩んでいく。
「わーい」
クロを抱き上げてお腹のモフモフに顔を突入させる。
「ちょっ、やめっ、くすぐっ、あのっ」
クロの悶える声が聞こえるけど、モフモフは止まらないのだ!
「モフモフは後でさせてやる。風邪をひくから着替えてこい!」
クロの怒号が狭い玄関に鳴り響いた。
「傘を持って行ったろう」
クロの呆れた声があたしを責める。
「だって、クロが待ってるって思ったら、急がないとってなるじゃない!」
あたしは夕食を作りながら応戦する。今日は野菜炒めだ。
「そりゃ有り難いけどな。化粧は崩れてるわ、頭は鳥の巣になってるわ。シーラは女の子だぞ?」
クロは器用にも皿を用意してる。クロの分だけど。
「わーい、女の子扱いされたぞー」
「そこ、喜ぶとこじゃない!」
今まで家でこんな会話をした事は、ない。なんだか楽しい。
「そう言ってくれる人もいないしさ~」
恋をしたことが無いって訳じゃないけど、大分前の事だしね。
「まぁ、人の事は言えないけどな」
「何か言った?」
炒めてる音がうるさくて良く聞こえない。
「あー、何も言ってないぞ」
「ふーん」
ちょうど炒め物も出来た。
味良し、見た目良し。あたしにしては上出来だ。
「さぁ、夕食にしよう!」
「いただきまーす」
「いただきます」
うん、我ながら美味しく出来てる。野菜もシャキシャキしてるし。
「あっちぃ!」
クロはやっぱり猫舌だ。野菜炒めもダメか。
「ほら、冷ましてあげるから」
「……すまん」
クロは済まなそうに下を向いた。
未だに雨は止まない。随分長い雨だ。久々に長雨だ。
「クロは昼間は何してたの?」
風呂の刑を強制執行したあと、膝の上に乗せて毛をふわふわにしている。
ブラシで艶々の黒毛が完成よ。
「窓から外を眺めてた」
「雨降ってたでしょ」
「それでも見てた」
「……外に行きたい?」
クロは黙ってしまった。やっぱり出て行きたいのかな……晴れたら出て行っちゃうのかな?
「まぁ、晴れたらな」
クロはポツリと零した。
外は未だに雨音が鳴り続けていた。
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