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この恋に気づいて
しおりを挟むレオンはサロンへと通した商人の元へと行くと、商人からの挨拶を受け品物を一通り見せて貰っていた。
自分が探しているモチーフの宝飾類があればいいのだが…、とイヤリング、ネックレス等順番に見て行く。
髪飾りとブローチの品辺りで「それ」は見つかった。
花が連なって咲き、花々がきゅっと纏まり繊細そうに見えて実はしっかりと強い花。
物理的な強さで折れ曲げられてもしっかりと花を咲かせるその美しくも強い花のイメージがミュラーにそっくりだった。
髪飾りは紫、ブローチには白とピンクのカラーを手に取る。
繊細な細めのチェーンに花々を模した金属が数箇所止めてあり、花々の間に差し色でホワイトトパーズが使われ、品良く纏められている。
ブローチは可愛らしいピンクの花とホワイトの花を模した様にローズクオーツとムーンストーンが使われ、華やかで立体的なデザインにも繊細な細工が施され、芸術的な品だった。
その品を見た瞬間、レオンは感嘆の溜息を漏らすとこの二品を貰う、と商人に伝えた。
代金の支払い等の手続きを家令に任せ、レオンは自分の執務室へと戻る為サロンから退出する。
そこで前方から歩いてくるアウディから声を掛けられた。
「兄上、ミュラーへの贈り物何にしたんです?」
「ああ、ブローチと髪飾りを一点ずつ贈るつもりだ」
「へえ、それだったら普段使い出来そうだしいいですね。結局なんの花をモチーフにしたんですか?」
そのアウディの言葉に一瞬言葉を詰まらせると、レオンはボソリと呟いてそのまま足早にその場を後にした。
「…リナリアだ」
早歩きで去っていく兄の背中を見ながら、アウディは「え!?」と声を上げる。
リナリアの花言葉を思い出して、アウディは贈ってしまっていいのか心配になる。
だって、ミュラーはまだ成人前だ。
伯爵との約束を破る事になるんじゃないか?とアウディは兄の背中を見つめるが、本人が贈る、と言っているんだし僕が止める事でもないな、と体の向きを戻すと商人がいるであろうサロンへと自分も足を進めた。
兄とミュラーの婚約が整ったら次は自分だし、将来の為に宝飾類を見ておこう、とそのままサロンへと入っていくのだった。
お茶会への返事を書いた、翌日。
ミュラーは舞踏会用に届いたドレスに袖を通し、手直しの必要があるかどうか確認していた。
「うーん、少し腰あたりをお詰めする必要がございますね。」
侍女のラーラがあちこち動き回りながら修正の必要な箇所を羽根ペンで羊皮紙に記載しながら確認していく。
後は袖周りにももう少し刺繍が欲しかったなぁ、とぼやきながら時間的にもう無理ですね、と呟きながらある程度の確認を終えるとドレスを頼んだ店の者に向き直り、記した部分の調整が可能かどうか確認し始める。
その間にミュラーは他のメイドの手を借りて、ドレスを脱いでいくと昼間用のドレスに着替え、ふぅと一息つく。
友人とのお茶会は明後日。
5日後にも友人の家が開く小さめの舞踏会がある為、それに参加する予定だ。
「2週間、あっという間に過ぎそうね…」
その間に届いた釣書を確認して、1人か2人には会える時間を作れそうだ。
釣書を頂いた男性と会う前に、友人たちにそれとなく男性達がどんな方なのか聞いてみて…
と考えていると、ラーラが戻ってきた。
どうやら手直しの件はうまく話がついたようで、客室の扉前で店の者が頭を下げているのが見える。
ミュラーは慌ててお礼を伝えると、そのまま店の者は退出した。
これなら、忙しい毎日でレオンの事を考える暇もなく済みそうだ、とほっと息をついた。
父へも釣書の件で話しをしなければいけない。
今日の夜にでも明日時間を取ってもらえるか聞いてみよう、とミュラーは決めた。
翌日、レオンから明日会いたい、と言う手紙が来るのをミュラーはまだ知らない。
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