迷子になって異世界へ行きました

kenzo

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冒険者に私はなる!!

彼女達の事情

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「ごべんなざい!ずびばぜんでじだ。」
涙と鼻水でドロドロの顔を地面に擦り付けて謝る少女を仁王立ちで見下ろす私。
中々の地獄絵図な気がするわね。
ちなみに少女の首から下は相変わらす麻袋に包まれている。
所謂ミノムシ状態である。
「アナタを生け贄にして御免なさい。一人だけ助かろうとして御免なさい。折角逃げたのにゴブリンに捕まって御免なさい。こんな私を助けてくれて有り難う御座います」
多分第三者がこの光景を見たら私が悪人に見えるんだろうなぁ。
「はぁ、もう良いわよ」
「あ、有り難う御座います」
「じっとしていて、袋を取るから」
「はい、お願いします」
首元を縛っている紐を緩めて袋を引き抜いた。
「あー!やっと自由になれた!」

「私はハルカ、冒険者よ。アナタは?」
「私?私はマリ・・ノエルよ」
マリ?何だか誤魔化された様な、もしかして偽名?まぁいいか、何か事情が有るのでしょう。格好からしても訳有りっぽいし。
私は空気の読める女なのよ。
「そ、ノエルちゃんね、ヨロシク」
「ちゃ、ちゃん・・・?ヨ、ヨロシク、ハルカさん」
「で私は領都に帰るんだけどノエルちゃんは?」
「あ!私も一緒です。ご一緒しても良いですか?」「いいわよ」
何だか信用出来ない子だけど、流石に此処に一人で置いていく訳にもいかないでしょうしね。


「・・・何コレ?」
ボロ屋敷の横穴から出たノエルちゃんが発した一言目がこれだった。
「何って何?」
「何って、この惨状よ!ゴブリンの死体の山じゃないの!・・・って、え?!あ、アレってゴブリンキングじゃない!うそ!」
何やら興奮してキャラ変しているよ。
「え?だってゴブリンが居たら倒さなきゃでしょ?それに全部倒したからノエルちゃん助けれたんだよ」
「いや、てっきり隙を突いて来たんだと・・・、あ!そうか他にも冒険者達が居るのね!で、アナタが救出担当で、他に討伐担当達が居るんだ!そうよ、そうよね!ね!何処に居るの!他の冒険者達は?早く合流しましょ!早く!」
「え?どうしたの急に?ノエルちゃん?」
「何?早くこんな気味の悪い所出るわよ!本隊は何処よ?」
「え?本隊?他の冒険者?どう言う事?」
「だから、他の冒険者よ!何処なの?」
「他の冒険者が居るの?本当に?え?何処?何処?」
やった!助かる!やっと帰れるんだわ!
「で、何処なのよ?早く行くわよ!」
「早く行きましょう!どっちに行ったら良いの?」
「何で私に聞くのよ!」
「私に聞かれても分からないよ」
「・・・」
「・・・」
「え~ハルカ・・・さん?アナタの仲間は?」
「一人だけど?」
「一人?」
「一人」
「本当に?本当の本当は?」
「本当に一人!ひ、と、り」
大体、一人じゃなきゃ迷子にならないわよ。
「・・・じゃあ、このゴブリン達を倒したのは?」
「私よ!」
「一人で?」
「だーかーらー!一人ってずっと言ってるでしょ!」
しつこいなぁ~、プンプンだよ!ホント。
「全部?」
「そ!全部!」
「・・・は!もしかしてアナタは!」
「私は?」
「そんな風に見えて上位ランカーの冒険者なの?」
「え?イヤ普通に星無しだけど」
「まさかの新人?」
「昨日登録して、今日が初依頼だよ」
「しかも今日デビュー!」
「ピッカピッカの一年生よ!」
「何それ?」
クッ!日本の古のいにしえのギャグが通じない。
「今日デビューの新人冒険者が一人でゴブリンの集落を壊滅?!ウソ?信じらんないわ!」
「イヤ~~~、テヘヘ」
「別に褒めて無いわよ!・・・褒めては無いんどけど・・・スゴいわね!・・・アナタ人間?」
「え~~~また~~~!私はれっきとした人間です。もうーーー!」
何で皆して私を化け物扱いしようとするかな!
「また?って事は良く言われているのね」
「・・・ま、まぁね!」
「まぁ良いわ、それよりは早くこの死体を処理しないと」
「・・・処理?」
「処理よ、処理!アナタまさか冒険者の癖に処理も知らないの?」
「・・・?」
「うそ、こんなの冒険者で無くったって常識でしょ!はぁ、いいわ!焼くか地面に埋めるかするの!死体を放って置いたら直ぐに他の魔物が集まって来るでしょ」
・・・
「もしかして、今までやたらと襲われたのってそのせい!」
なんて事なの!そんな事は小冊子には無かったわよ!
「・・・でしょうね」
「それは良く無いわ!早速処理しよう」
どうしようか?焼くか埋めるか。
だったら念の為に穴にゴブリンを放り込んで焼いて埋める?そうね、そうしましょう。
まずは穴ね!大きくて深い穴を敷地の真ん中に!イメージ、イメージ、イメージ
「穴ボコーーー!」ボゴッ! 
「・・・へ?!」
およそ直径10m、深さ5m、これ位在れば大丈夫かな!
続いて、そうだ、あの薬草園での石集めの要領でゴブリンを集めよう!
イメージ、イメージ、イメージ!
「ゴブリン大集合ーーー!」
「・・・な?!」
浮かび上がったゴブリン達が穴に向かって飛んできて穴に落ちていった。
そして燃やす。イメージ、イメージ!
「も、え、ろーーー!」ゴーーー!
「キャッ!・・・な、な、な?!」
凄いわね、良く燃えたわ!見事に骨だけね。
「あれ?アレって魔石?あんなに沢山!でもリュックは一杯だし」
仕方無いわ、諦めましょう。
「穴埋めー「ちょっと待ったーー」ー!」
え?ビックリした。
あ、浮かび上がった土がそのまま落ちたわ。
「ちょっと何するの?」
「何するのはコッチのセリフよ!あんなに大量の魔石を棄てるの?」
「だって仕方無いじゃない!私のリュックの中はもうパンパンなんだから」
「いや、マジックバックは?」
「マジックバック?」
「まさかコレもなの?アナタは一体何処の世間知らず様なのよ」
「それでマジックバックって何?」
「あーもう!マジックバックってのは、魔法で収納容量を拡張した魔道具の事よ」
「魔法で容量を拡張するの?」
「そうよ!大体冒険者なら初心者でもギルドで貸してくれるでしょ」
「へぇ、そうなんだ」
「そうよ!そもそもアナタはマジックバックも持たずに採集の依頼を受けたの?」
「採集?」
「採集よ!受けたのでしょ!採集の依頼」
「受けてないよ」
「え?違うの?じゃあ、何?まさか初心者なのに討伐依頼?もしかして偵察依頼?それはないか!流石にね」
「違うよ、受けたのは薬草園のお手伝い」
「は?」
「お手伝い」
「もしかして街道沿いの薬草園?」
「正解!」
「・・・だったら何で森の中、しかもこんな奥に居るの?」
「・・・ピー、ピー」
「何その下手くそな口笛は!それで誤魔化したつもりなの?どうしてなのかな?」
「・・・それは」
「・・・それは?」
「ま」
「ま?」
「・・・」
「早く言いなさい!」
「迷子です!迷子!依頼が早く終わったから少し散歩って思ってらこんな森の中に来ちゃったの!」
「まさかの迷子!」

それにしてもマジックバックかぁ、欲しいかも!
イヤ、待って!収納容量を拡張するって、それってあの?子供なら誰もが憧れるって伝説のアレよね。
「なんて事なの!やっと助かったと思ったのに!」
あの!『四次元ポケットーーー!』よね!
猫形ロボットの必須アイテム!
なんて事、アレって魔道具だったのね?!
「日が落ちる前に帰ろうって思った所でグレーウルフに出くわして追いかけられて」
残念ながら私のお腹にはポケットが無いけど、だったらこのリュックをポケットに見立ててっと!
リュックの中に無限の広さの倉庫が広がっているイメージよね。
「何とか偶然巻き込まれた女を生け贄にして逃げきれたと思ったら」
そうだ折角だから、冷凍と冷蔵室も作ってと、あれ?待って?腐らない様にするには凍らすよりも時間が停止している方が効率が良いかも!解凍も面倒だしね。
「ちょっと休憩している間にゴブリンに囲まれて拐われるし」
じゃあ、じゃあ、反対に時間を進めるスペースも作ると発酵食品もお手軽に作れるかも!夢が広がるわ!!
良し!早速イメージよ!イメージ、イメージ!
「遂に年貢の納め時って諦めていた時にまさかの助けが来て」
リュックよリュック!イメージ通りのマジックバックになーーーれ!
お、お、おぉーー!急にパンパンだったリュックが萎んだ?!中身は?
「やっと助かって帰れるって思ったのに!」
わ?!何も無い!え?って言うか底が見えないんだけど?手を入れてみよう・・・?うわ!何も無い!何処までも入るわね!
待って!じゃあどうやって取り出すの?思い出すのよ!猫さんはどうやってた?
そうか!欲しい物を呼ぶのね!
でもいちいち声に出すのは恥ずかしいから心の声で呼んでみよう。
「(ゴブリンのまーせーきー!)」
?!
「なのにどうして助けてくれたアナタ自身が迷子なのよ!!」
「やったー!成功だわ!」
「何がよ!!」
「え?実験?」
「何を実験してるのよ!人が一生懸命話しているのに!ちゃんと聞きなさいよ!」
「・・・」
「はぁはぁはぁ!」
「ドンマイ!」
「ムキーーーー!!」








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