神様の転生物語

kenzo

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1章、ブラームス王国

流行り病

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倉庫の中は綺麗に片付けられ広いワンフロアが形成されている。
そこには等間隔で並べられたベッドと間を遮る様に立てられたパーテーション。
恐らくベッドの数は50は在るだろう、なのに空きは殆どの無い。
これかなりヤバイ状況なんでは?!

「失礼、ゲインさんお見舞いの方です」
「はい、どうぞ」
パーテーションの内側から元気の無い返事が返ってきた。
「失礼します」
「邪魔するぞい」
パーテーションの内側に入るとそこには優しそうな、でも疲れきった虚ろな目の男性がベッドの脇に座っている。
そしてなにより目を奪われたのはベッドに横たわる女性の姿だった。
痩せ細り骨と皮だけと言う表現しか出来ない。
その顔は苦痛に歪み口からは絶えず小さな呻き声が漏れている。

「冒険者ギルド職員のエマです」
「あ、ギルドの」
依頼を出した時に二人は顔を合わせていたらしい。
「今日はどの様な・・・まさか、世界樹の・・・、って、そんな訳無いですよね」
一瞬だけ目に力が入ったゲインさんは直ぐにまた項垂れた。
「すみません、そちらはまだ進展は、
今日は紹介したい方が居てお連れしました」
ゲインさんが虚ろな目のまま僕を見る。
「そちらは?子供?いやご老人?」
不思議そうに見られる。
解せん、完璧な変装なのに。
「こちらは山に籠り数十年、修行に修行を重ね遂には賢者にまで上り詰められたお方です。
たまたまギルドに来られアナタの依頼を目にされ容態を確認したいとの仰せによりご案内しました」
ん、エマさんが僕の背中をツンツンしてる?
何?エマさんを見上げて首を傾げると、
「ん、んー」何?そのわざとらしい咳払い?
あ、あー、そう言う事ですね。
僕はそっと水の入った水筒を差し出した。
キンキンに冷えた水をどうぞ!
「違います。何か言えって事です」
「へ?あ、あーなるほど」
「すみませんゲインさん、長年山に籠ってたもので」
「い、いえ、ではそちらの方が妻の容態を見て頂けると」
「はい、少しでも可能性があればと。
あ、これは私が勝手にしている事なのでお金はいりません」
「は、はぁー、まぁそれなら、宜しくお願いします」
フーと息を吐いたエマさんは水を飲み干した。
結局飲むんかい!
「くーー!!」エマさんがこめかみを押さえる。あ、キーーンって来たんだ。
キンキンだったからね!
「スマンの、可能性の一つとでも思うてくれ、悪くなるような事はせん、それは約束しよう」
「は、はい、少しでも可能性があるなら」
うーん、ああは言ってるけど期待はしていないんだろうな。目に全く力が無いもん。
「取り敢えずは見せて貰うかの」
『レントゲンアイ』
説明しよう!レントゲンアイとは単なる透視である。X線は一切使わないクリーンな力なのだ。
うわ、これは酷い、うげ、内臓がボロボロだ。
でも何か、あれ?傷?火傷?何だろこれ?
腫瘍みたいなのとか壊死?とか腫れていたりとか?そんなのが見当たら無い?って言うか外傷じゃ無いのこれって?
「ちょっとエマさん、協力お願いします」
「え?あ、はい、どうすれば」
「じっとしていて下さい」
『スキャン』
続けてサナさんも
『スキャン』
そして
『比較、二つの差異を検出、但し個体差は除く』
やはり、傷と火傷、外傷のみだ。では
『異物検出、エマさんに無くてサナさんに有るもの』
うーん、寄生虫でも無い
いや、これは?何これ?魔力糸?なんでこんなのが?
ダメだ、分からない!
「どうですか」
うん?あ、エマさん
「状態は分かりました、ですが原因が分かりません。気になる事はあるのですが」
「そ、それは?」
お、ゲインさんが食い付いた。
「すみません、まずは治療をします」
『回復』
うん、傷は直った。
「今までも治療士の方が治療魔法を掛けてくれると楽になる見たいなんです。
しかし時間が経つとまた苦しみ出して」
確かに今のサナさんは穏やかな顔をしている。
「あの、分かった事とは?」
ゲインさんが尋ねてきた。
「おや、お客さんですか」
ん?誰? 
「あ、先生、こちらは賢者様で妻の容態を見て頂いてます」
「け、賢者様?」
うわ、めっちゃ胡散臭そうだ。
「うむ、おぬしが治療士殿かの?」
「ええ、そうです。で、その賢者様がここで何を?」
そんな睨まないで、見た目はお爺さんでも心は5才児なんだから、もうー。
「すみません、私は冒険者ギルド職員のエマと申します。この度縁がありこちらの賢者様を紹介させて頂きました」
「はぁ冒険者ギルドの」
「はい、勝手な事をして申し訳御座いませんが何かお力になれればと」
「そうでしたか、いや、失礼しました。
それで賢者様の見解は?」
「少し席を外そうかの」
治療士さんとエマさんを伴って僕達は外に出た。

「して治療士殿はどう見ておる」
「私達は解らない、としか答えるられません。体内にダメージを受けているのは解るのですが原因が全く。伝染病を警戒してますが病気かどうかも解らないのです」
うん、見解としては同じかな。
「唯一回復魔法を掛ければ楽になるのですが直ぐにまた・・・イタチごっこです」
「あの、賢者様は解った事があると?」
「ほ、本当ですか」
「まぁ原因まではまだ解っておらんがな」
「では解った事とは?」
「うむ、あれは病気では無い」
「病気で無い?」
「うむ、あれは内臓への外傷じゃな」
「外傷?それが病気なのでは?」
「いや、こちらのエマさんとサナさんの体内を比較したのだが傷と火傷以外に違いが無かったのじゃ」
「それはどういう・・・」
「体内に病気の原因があれば、健康なエマさんとの間に何かしらの差異が発生する。腫れていたり、化膿していたり、居る筈の無い虫が居たりな。だが無かった、勿論健康状態の差はあるがな」
「つまり?」
「外傷以外は弱ってはいるが健全な内臓じゃ」
「そんな事が」
「外傷じゃから、回復魔法で楽になる。しかし再び何らかの方法で外傷をおう、まさにイタチごっこじゃな」
「何らかの方法ですか」
「うむ、それが解らん」
「賢者様、先程気になる事があると」
ん、エマさん良く覚えてるね。
「気になる事?それは」
「うむ、サナさんの身体から魔法の・・・」
「ガーーー!」「ギャーーー!」「グガーーー!」
「こ、これはまた来たか、すみません話しはまた後で。取り敢えずは回復魔法を」
「エマさん!」
「はい、行きましょう」
僕達は倉庫に急いだ。

「キャーーー!」「イタイイタイ・・・」「ギャーた、助けて!」「ぐっ!もう、もう殺してくれー」
阿鼻叫喚、まさに地獄だ。
くそっ、何だ、何なんだ!ここに居る全ての患者が叫んでいる。
どういう事だ、良く見ろ、感じろ、何か何か有る筈なんだ。
そうだ、あれは?魔力糸は? 
これは!
「そうか解った!」
「え、解ったんですか?」
「説明は後です。治療士さんは?」
「治療士さん、あ、あそこの患者の所に」
「行きます」

「治療士さん」
「アナタは、すみません今は・・・」
「解りました原因が!」
「な、それは」
「説明は後です。僕が言ったら治療魔法を掛けて下さい」
『魔力糸限定視認』
良しこれだ。
魔力糸を掴む。
『切断』
「今です。治療魔法を」
「は、はい。『癒しの力を与えたまえ、ハイヒール』」
お、遅?!余計な事言って無いで早く魔法使えばいいのに。
「次行きます」
さぁ、どんどん行きますか!

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