神様の転生物語

kenzo

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1章、ブラームス王国

王との邂逅

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「父上」
「アル、来たか」
今ここは父上の居る場所、約束通り夜中に転移してきた。
それにしてもここは?牢屋?だよね。
一言で言ってスゲーである。
「どうした?アル」
「いえ、世の中の無情さを噛み締めています」
公爵様ともなると容疑者でも待遇は恵まれてるんですね。
「そうか、酷い扱いは受けて無いか?」
「いえ、扱いも何も全くの放置なので」
「放置か、やはりな」
「やはりですか?」
「うむ、奴等にとってお前は捕らえたと言う事実さえあれば良いのだ。
あとはもしもの時の人質位の意味だろうな」
「そ、そうですか。何だか虚しくなりますね」
「クク!だから奴等もお前の事はろくに調べもして無いのだろう。
奴等の最大の誤算はお前って事だ、アル」
「僕が?」
「たかが5才の加護を持たない子供、それが奴等の認識だ。まさかその子供が転移魔法まで使いこなすなど夢にも思うまいて」
「なるほどダークホースですね」
「そうなのか?意味が分からぬが。
それよりもすまないが転移して欲しい場所がある」
「はいどちらへ」
「陛下の寝室だ」
「え?陛下と言いました?」
「言った。出来るか」
「えーと、すみません無理です」
「何故?」
「場所が分からないからです。適当に転移すると何処に行くか分かりませんし」
「しかしお前は私の時、取り調べ室へ」
「あれは父上の気配を探ったのです。
残念ですがお会いした事の無い陛下では気配の分別が出来ません」
「そうか、他の方法を考えねばならんか」
「すみません、僕がその場所を知っているか、察知出来るか何かが・・・」
「ある!あるぞ!アルお前なら確実に察知出来る物が」
「物?物は流石に・・・」
「リリの絵だ」
「確実に察知出来ます、して見せます!」
「であろうな」
「しかし何故リリの絵が陛下の寝室に」
「忘れたのか、陛下はお前達の叔父でもあるのだぞ」
「確かに・・・、でもだからって何故絵が寝室に」
「私が貼った、自慢だ!」
おー、隠れ親バカが居た!
「頼めるか」
「はい」『リリの絵察知』「発見しました」
「は、早いな」
「当然です、では行きましょう!リリの絵を見に」
「あ、ああ、頼むぞ」
「はい」『転移』


ーーー王の寝室ーーー
「ほう、コレがリリの絵、ウーム!」
転移先は勿論王の寝室、リリの絵の前。
「静かにしていてくれよ、私は陛下と話してくる」
「これは父上を描いた物か、このタッチ、力の抜け具合、モデルに拘らない自由さは2才半位の作品かな、うーん、欲しいけどもモデルが・・・悔しいです」

「陛下、兄上、兄上」
「ん、な、なんだ・・・エリウス、エリウスなのか?」
「兄上、お静かに願います」
「む、おおすまん」
「このような夜分に申し訳御座いません 」
「構わん、そんなことより話を聞きたい。
何がどうなって居るのかさっぱりなのだ!
それにどうやってここに?と言うかお前拘束されているはずであろう?何が何だか、何なのだ?」
「兄上落ち着いて下さい。
全て順を追って説明致します」
「ああ、頼む」
「その前に会わせたい者がおります」
「む?他にも誰か居るのか?」
「はい、少々お待ちを」

「いや、この僅かに成長を感じる力の加減は2才8ヶ月か?だとすればこれはとんでも無い希少価値がある。あの頃は作品数自体が少ないからな」
「アル」
「あ、父上!これはとんでもないお宝かも知れません」
「アル、少し良いか」
「しかしここにリリの絵が」
「そうか、至福の時間をすまぬが少し来てくれ」
「うう、わ、分かりました。少しだけなら」
「ああ、すまんな・・・・・・はぁ」

「兄上、これが私の息子アルフォードです」
「何と、お前がアルフォードか」
「陛下、お初にお目に懸かりますアルフォードにございます」
「ふむ、エリウスの言う通り、5才とは思えぬ程確りとしておるな」
「光栄にございます」
「硬くなるな、ここは我ら親族のみ、気軽にせよ」
「はい、お言葉に甘えて」
「してエリウス、これで説明が出来るのか?」
「はい、兄上、では初めてから説明させて頂きます」


「そうか、その様な事があったのか!」
「はい、そして何よりも奴等の真の狙いは王の座、私の断罪もその為の足掛かりに過ぎません」
「父上、一体?」
「私が神の敵の父なら陛下はその父の血を分けた兄弟。我らを神の敵として追い落とし、自分が替わりに王となる。
これが奴等が描いた筋書きだ」
「では僕が全ての起点となったのですね。
僕はどうすれば・・・」
「アルフォードよ、勘違いするな!お前はこの国の浄化の起点となるのだ」
「陛下」
「お前と言う餌に釣り上げられた深海に潜る魚、それが奴等だ」
「父上」

「奴等は必ず民衆の前で私の断罪を行うだろう」
「分かるのですか?父上」
「うむ、本来の裁判であれば必ず確実な証拠が必要となる。例え神のお告げと言えどそれすらも証拠が無いしな。ましてや感情論など論外だ」
「ふむ、しかし確実な証拠など有りもしない」
「なるほど、だからこその民衆ですか」
「ほう、分かるか?」
「その、何となくですが。
あの時、枢機卿の演説の後、馬車に引き摺られる僕に人々は罵声を浴びせ、物を投げつけました。何時もの冷静な人達なら馬車に引き摺られる5才の子供にそんな事が出来るでしょうか」
「お、お前、そんな事までされてたのか?」
あれ?言って無かったかな? 
「それで怪我は?無事な筈無いだろ?」
「いえ、あの、身体を結界で覆って居たのでかすり傷1つ無く、ほら服も全然大丈夫ですし」
「そうか良かった・・・、アルそれが群衆心理ってものだ」
「疫病の話で皆の恐怖心を煽り、神の敵と言う明確な悪役を目の前に提示する。
そして自らを神の使徒と称して彼らの救済者へと収まる。
これこそがあの演説の目的ってことか」
「はい兄上、そしてその様な状態となった者達に理屈は通用しません。それこそが最大の難点でもあります」
「くそ、正式な裁判に持ち込めば奴等などに」
「それはもう無理でしょうね」
「ああ、民が納得するまい」
「父上、その群衆心理ってのを無くす方法は無いのですか?」
「無くはない。一番簡単な方法は時間だ」
「時間ですか」
「うむ、群衆心理とは一種の集団催眠の様なもの、時間をおけば冷静さを取り戻す者達が増えて来るだろう、そうなれば後は崩れて行くだけだ」
「しかし、奴等もその様な事は承知して居よう、必ず数日中には決行する筈だ」
「では他の方法は?」
「うむ、群衆心理の根元を崩す事だな。
今回なら我等が神の敵で奴等が神の使徒である事、それをひっくり返せれば」
「与えられた目標を失った民は自分で考え始める。そうすれば我等の声も届くであろう」
なるほど、つまりはそこなんだね!
だったら
「陛下、父上、その根元を崩す話しは僕に任せて貰えませんか?今は言えませんが僕が必ず崩して見せます」
「いや、それは・・・」
「出来るのか、アル」
「はい、必ず」
「分かった、任せる」
「おい、エリウス、お前何を!」
「兄上、アルはもう一人前の男です。
私はアルが出来ると言うなら信じます」
「エリウス・・・、分かった!すまんが我はアルフォードを信じきる事は出来んがエリウスは信じられる。そのエリウスが信じるなら我も信じよう」
「それと陛下には準備して頂きたい物が」
「何だ、言ってみろ」
・・・・・・
その後も色々と話し合い、僕と父上は各々の牢に帰った。
くそ、父上代わって下さい。


ーーー教会内牢屋ーーー
「もしもーし、アルでーす」
「・・・」
「もしもーし、アルですよー」
「アルなんて知りません」
「もう、やだなぁ、僕だよー、分かってるんでしょ」
「・・・はぁ、何ですか?」
「ちょっとね、手伝って欲しい事があるんだ」
「そんな暇はありません」
「そんなイジワル言わないで、お願い」
「知りません」
「もしお願いを聞いてくれないと僕は近日中に死んじゃうよ」
「・・・」
「後はそっちでずっとゴロゴロしようかな」
「・・・」
「あんな事や、こんな事、色々楽しそうだなぁ」
「・・・はぁ、分かりました。今回だけですよ主様」
「もっちろんだよー」
「・・・はぁ」
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