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隠蔽
毎年花束を受け取りに来る人。
しおりを挟む今まで黙っていてすまない。いずれ話そうとは思ってたんだ。
…言い訳に聞こえるよな。ごめん。
今から話すことは、全部僕の自己判断で生んだ出来事だ。
両親を責めないでほしい。
まず、僕達には妹がいる。まだ幼かった頃、妹ができたと母さんから知らされたのは覚えてる?でも、結局流産したと打ち明けられた。それが原因で母さんは入院した。
そこなんだ。その一年、母さんは入院していたけど、病気ではなかった。妹が、〇〇がお腹にいたからだ。
妊娠して間もなくして、母さんは体調を崩した。一時的なものであれば、まだ良かった。でも、長期的治療を要する病だった。
両親はきっと、悩みに悩んだと思う。
産んだとしても、育てることができない。
苦渋の決断、果たしてこれで良かったのか。
日に日に母さんは弱っていった。気付けなかった。
母さんは、自分の責任に重さに押し潰されて死んだ。最期まで、優しい人だった。責任感を軽くできなかった。
母さんは、生前僕に話してくれた。僕がお前に話した全てをそのまま話した。
まず、母さんの判断は、お前を混乱させないようにすること。その場凌ぎだろうが、お前に非難の目を向けられたくなかった。そんなこと、しないと分かってても…。
お前なら、分かってくれるだろ?なあ、泣かないで聞いてくれ。
次は僕自身の判断だ。いつ話そうか毎日考えていた。本当だ。
でも、お前が死亡届を出すと言った時、全てを話そうと決めた。かなり時間が掛かってしまった。本当にすまないと思ってる。
お前を、困らせたくなかった。
母さんの判断が間違いだったと、妹を拒んでほしくなかった。
怖かったんだ。母さんも、僕も。
勝手に悲観的になって、被害妄想を膨らませた僕が悪いんだ。
だから、母さんの優しさを、無駄にしないでほしい。
母さんの命日に、毎年花束を受け取りに来てくれる姿は、父さんにそっくりだと思ったよ。特に、後ろ姿がな。
逞しくなったよな、本当に。僕の誇りだよ。今までごめんな。
お前が弟で良かったよ。…いや、別に、言いたくなっただけだ。
それとな、
兄ちゃん、もうそんな持たないかも。
…おいおい、泣くなって。妹を守ってくれるんだろ?
頼んだぞ。
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