【本編完結】イケメンの皆様、主人公はあちらですよ。

Shizukuru

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第5章 学園編☆入学

2☆スピカ

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制服の補正は間に合ったけど、今度は逆に小さめになった。
何で、こんな事に……
長期休みまではこのままかな?
入学式の間、キツくなった制服に耐える。

救いは、挨拶する殿下の見目麗しい姿をようやく目にする事が出来た事だ。

護衛の氷華の騎士シリウス様も見える。レグルス殿下より背が高い。決して殿下が低いわけではないし、今からもっと身長が伸びるはず。そのうち並ぶだろうとその姿を想像して、ニヤけそうになる。

超美形の先生も見えた。
あんなキャラいたかな?隠しキャラ?それとも美形でも、モブなんだろうか?
大人の色気を感じる。
かっこいい。

んー、でも制服が、きつくて早く解放されたい気持ちになって、殿下達を堪能したいのに集中出来ない。

あー、もう代わりの制服がないか、先生に聞くべきかな?

それにしても流石は、王立学園で設備も充実していて感動する。
それにBL設定だけあって、男子校だ。少し離れた所に女子学園がある。この学園と交流がたまにあるみたいだけど、なんて言うか、この女子学園ほど要らない設定だったと思い出す。
男同士も認められた世界だから、まぁ悪役令嬢スパイスとして存在しているのかも知れない。悪役令息の記憶がないから、こっちかな?この辺の事は曖昧過ぎるから考えても仕方がないのかも。

今の俺にとってもここは現実の世界。きっと女子学園に婚約者がいる貴族子息はいるはず。
もしかして……殿下やシリウス様にも婚約者が既にいるとか?


思い出してから7年位になるけど、こっちの世界の記憶が増えて行くから、小説の事も細かな部分はボヤけてきている。でも、流石にこのイベントはあるよね?
ああ、ようやく式が終わりそう、いよいよかな?なんて気持ちがウキウキした頃、ありえない事態が起きた。
なんだ、この土砂降りの雨と雷……

入学式後、クラス発表が貼り出される。その後、寮に戻っても良いけど学園の庭園で新入生同士が会話したり交流する時間があるはずだった。

それがイベントのキッカケになるはずだった。

庭に出れないなんて……

クラスは、殿下と同じだったし攻略対象のソレイユ様、カストル様もいた。担任もあの美形のアルデバラン先生だ。

もしかして、クラスが違うのかもって不安に思ったけど……流石にそれは無くて良かった。本当に。


トボトボと寮に戻る。


そして、庭のライラの花が雨と風により全て落ちた事にショックを受ける。

俺、殿下とのイベント無いのかも。

そう、諦めの気持ちになった頃……

「危ない!」
誰かの声が聞こえた。

は?何?

階段を誰かが踏み外したようで、目の前に大きな影が見える。

嘘。落ちてくる?

咄嗟に、風魔術で受け止めようとするが、上手く出来ない。
無理って尻餅をつきそうになった時、嫌な音がした。誰かが俺を引っ張った。
その誰かが片手で俺を抱き寄せて、もう片方の手で落ちてきた生徒を止めた。魔術を使ってくれたのだ。

ゆっくりとその生徒を立たせて事なきを得る。

良かった~。誰も怪我しなかった。

そう、はしなかった。

だけど、キツキツの制服のズボンのお尻の部分が、裂けてしまったのだ。あの嫌な音って、これだ。


恥ずかしい。どうしょう。帰りたい。
上着を後ろに少し引っ張る。
早くお礼を言って、部屋に戻ろう。
「あ、ありがとうございます。大丈夫なので……」

「大丈夫じゃ、ないね」
ひ、バレてる?クスクスと笑い声が聞こえる。
真っ赤になっただろう顔で思わず、助けてくれた人を見上げた。

背の高い人だ。カストル・ローランド様だった。濃紺・紺眼のクールなイケメンだ。

一気に心拍数が上がる。

「あ」
何話せばいい?
どうしょう。焦るばかりでオロオロしてしまう。

「気にしなくていい。俺も1年で同じクラスだよ。ピンク色の髪色でピンクの瞳は、1人だけだった。グレンジャー子爵子息のスピカ君で合ってる?」

かっこいい。

あ、尻が破れてる。

早く、退散しなければ。

「あの、おれ、あ、僕」

「知っている。破れたんだろ?代わりの制服を一緒に取りに行こうか?」

うわー。うわー。
いいの?

「た、助かります。よろしくお願いします」
頭を下げたら、ビリッて音がまた聞こえた。

真っ赤な顔が真っ青になったと思う。なんで、出会いがこんななの?涙が出そうになる。俺、やっぱりバチが当たってるんだ。もう、関わらずに逃げようと後ずさる。

突然、カストル様が上着を脱ぎ始めた。

俺の腰の所に巻いて、抱きかかえられる、所謂お姫様抱っこだ。

「へ?」

「入学式で下着が見えたりしたらさ、一生笑い種にされるからね」そう、耳元に話しかけられて運ばれていく。

恥ずかしい。とてつもなく恥ずかしいけど……大雨に、自分の運の悪さにがっかりしてたのに、気持ちが浮上してきた。

俺、単純。

「首のとこ、つかまってくれる?バランス悪いから」

ああ。ここで一生の運を使い切った。そう思わずにはいられないくらいの出来事が起きていた。









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