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第5章 学園編☆入学
4☆レグルス
「呪いの解呪方法は、本当に分からないのですか?」
辺境伯領に度々訪れるようになって、何度となく辺境伯に尋ねた。
この部屋には、防音の魔術が施されている。
学園が、いよいよ来年には始まるという頃に教えてもらったことがある。
「解呪の方法は、あるそうだよ」
「だったら、それを試して下さい」
そう言っても、辺境伯の顔は沈んだままだ。
「方法があるだけで、答えは分からない」
「どういう意味ですか?」
あのイアソ様でも無理ってことだろうか?
人には協力してくれない?
否、四人の精霊もイアソ様も、ルナを大切にしている。助けたいはずだ。
やはり、解呪は精霊でも無理な内容なのか。
「今はまだ解呪の鍵がありません。それを見つけることが出来るのは、ルナだけです。そしてもう1人の協力者もルナが見つけなければならないのです。
それは家族の私たちではない。だからこそ、何も手を貸してあげられないのですよ」
「ではルナに、時間はあるのですか?」
「イアソ様が言うには、学園を卒業するころがリミットのようです。
解けなければ、精霊の森へ連れていかれます。そこが一番安全な場所だと」
辺境最強騎士の辺境伯が、寂しそうに笑う。
「ルナが、生きててくれるなら構わないのです。家族では解呪出来ない以上、見ていることしか叶わないのだから」
だからシリウスとの婚約の話にならないのか? 呪いが解けるか分からない上に、リミットを過ぎれば精霊の森に連れて行かれるから。
あのふたりを認めたいと思う気持ちと、裏腹な気持ちがひしめき合う。
解呪が出来なければ、シリウスのものにはならない。
ならないが、人の世界から離されるのだ──そんなのは、駄目だ。
やっぱり、ルナの幸せを潰しているのは俺なのだ。
鍵とは何だ?
はぐらかされているのは分かる。
ルナしか見つけられない。それは確かなんだ。そして協力者は家族以外が必要。
護ってやることも、助けてやることも出来ない。だったら?
俺に呪いを戻したら駄目なのか?
イフリート様に聞いたが、それは出来ないと言った。
入学式までの間ずっと、考えて答えが見つからずに来たんだ。
◇◇◇◇
初めて訪れたフォレスト領で出会った精霊に、ある意味一目惚れをした。
人外だから、夢の様な存在。
俺の呪いの解呪の為に精霊たちに会った。四人の精霊の美に圧倒される。あの子もそうだと納得した。
結果として、俺の呪いの一部がルナに渡ってしまった。
入学式のあと、急な悪天候には焦った。
ルナは雷が駄目だ。フェルが俺の所にいて、シリウスも離れている。熱が出ているからウンディーネ様が傍にいるはず。そう思うのに顔を見て安心したい。
俺の部屋はシリウスの部屋へと隠し扉で出入りが可能だ。逃げる為の大切な隠し扉だ。
そして、シリウスの部屋からもルナの部屋へ行ける。精霊の加護があるから悪意持ちは近付けない。シリウスがルナの意志を無視して襲うことも出来ないから、その点は俺も辺境伯も安心している。トラウマ持ちのルナを心配してのことだ。
だから、顔を見て安心したかっただけだ。シリウスの部屋に入った所で、叫び声が聞こえた。
なぜか、ルナはひとりだった。
ブランケットにくるまっていた。
慌てて防音をかけ、風魔術でカーテンを閉じる。照明をなるべく明るくして抱きとめる。
震えている。
怖かっただろう。フェルを断ればよかった。
ようやく落ち着いたルナが顔を出した。
大きなエメラルドの瞳。ポロポロとこぼれ落ちていく涙。
ルナだった。あの時の子は、ルナだったんだ。
なぜ、隠していたか──
精霊の加護持ちで、これだけの美しさなら、王国内いや国外の王族からも望まれるからだろう。
それを防ぐ為に、認識阻害をかけたのだろう。
王家から打診をされれば、辺境伯の身分では護りきれないから。隠すことにしたんだ。
亡き奥方のオリヴィ様に似ていると昔、聞いた事がある。
仕草やその存在が可愛いのでそう言う意味でオリヴィ様に似ているのだと思っていた。
顔まで似ているのなら、辺境伯が手離したくないのは当たり前だろう。
だが、結果的に解呪が出来なければ手離すしかない。
隣国の王子が留学して来る話も出ている。見初められたら外交問題になるかも知れない。仮でも、婚約者を置くべきでは?
駄目だ。今婚約者を選ぶなら、必然的にシリウスに決まるだろう。
それは嫌だ。
ルナは、シリウスのことを兄として見ている。ルナの気持ちがシリウスに有るのなら諦めようと思う。
だが、まだ違うのだ。
俺は、どうしたい?
卒業後に、精霊の所に行かせたくない。
ルナがシリウスに気持ちがないのなら──振り向かせたい。諦めたくない。
例えルナが俺を望んでくれなくても、シリウスや別の誰かを望んだとしても、解呪の方法は探す。それを見つけなければ、思いは伝えられない。
イアソ様達に解呪の方法を、本当の事を教えを請うては駄目だろうか?何度でも頼み込みに行きたい。
やはり直接イアソ様に会うしかない。
誰にも、渡したくないんだ。
辺境伯領に度々訪れるようになって、何度となく辺境伯に尋ねた。
この部屋には、防音の魔術が施されている。
学園が、いよいよ来年には始まるという頃に教えてもらったことがある。
「解呪の方法は、あるそうだよ」
「だったら、それを試して下さい」
そう言っても、辺境伯の顔は沈んだままだ。
「方法があるだけで、答えは分からない」
「どういう意味ですか?」
あのイアソ様でも無理ってことだろうか?
人には協力してくれない?
否、四人の精霊もイアソ様も、ルナを大切にしている。助けたいはずだ。
やはり、解呪は精霊でも無理な内容なのか。
「今はまだ解呪の鍵がありません。それを見つけることが出来るのは、ルナだけです。そしてもう1人の協力者もルナが見つけなければならないのです。
それは家族の私たちではない。だからこそ、何も手を貸してあげられないのですよ」
「ではルナに、時間はあるのですか?」
「イアソ様が言うには、学園を卒業するころがリミットのようです。
解けなければ、精霊の森へ連れていかれます。そこが一番安全な場所だと」
辺境最強騎士の辺境伯が、寂しそうに笑う。
「ルナが、生きててくれるなら構わないのです。家族では解呪出来ない以上、見ていることしか叶わないのだから」
だからシリウスとの婚約の話にならないのか? 呪いが解けるか分からない上に、リミットを過ぎれば精霊の森に連れて行かれるから。
あのふたりを認めたいと思う気持ちと、裏腹な気持ちがひしめき合う。
解呪が出来なければ、シリウスのものにはならない。
ならないが、人の世界から離されるのだ──そんなのは、駄目だ。
やっぱり、ルナの幸せを潰しているのは俺なのだ。
鍵とは何だ?
はぐらかされているのは分かる。
ルナしか見つけられない。それは確かなんだ。そして協力者は家族以外が必要。
護ってやることも、助けてやることも出来ない。だったら?
俺に呪いを戻したら駄目なのか?
イフリート様に聞いたが、それは出来ないと言った。
入学式までの間ずっと、考えて答えが見つからずに来たんだ。
◇◇◇◇
初めて訪れたフォレスト領で出会った精霊に、ある意味一目惚れをした。
人外だから、夢の様な存在。
俺の呪いの解呪の為に精霊たちに会った。四人の精霊の美に圧倒される。あの子もそうだと納得した。
結果として、俺の呪いの一部がルナに渡ってしまった。
入学式のあと、急な悪天候には焦った。
ルナは雷が駄目だ。フェルが俺の所にいて、シリウスも離れている。熱が出ているからウンディーネ様が傍にいるはず。そう思うのに顔を見て安心したい。
俺の部屋はシリウスの部屋へと隠し扉で出入りが可能だ。逃げる為の大切な隠し扉だ。
そして、シリウスの部屋からもルナの部屋へ行ける。精霊の加護があるから悪意持ちは近付けない。シリウスがルナの意志を無視して襲うことも出来ないから、その点は俺も辺境伯も安心している。トラウマ持ちのルナを心配してのことだ。
だから、顔を見て安心したかっただけだ。シリウスの部屋に入った所で、叫び声が聞こえた。
なぜか、ルナはひとりだった。
ブランケットにくるまっていた。
慌てて防音をかけ、風魔術でカーテンを閉じる。照明をなるべく明るくして抱きとめる。
震えている。
怖かっただろう。フェルを断ればよかった。
ようやく落ち着いたルナが顔を出した。
大きなエメラルドの瞳。ポロポロとこぼれ落ちていく涙。
ルナだった。あの時の子は、ルナだったんだ。
なぜ、隠していたか──
精霊の加護持ちで、これだけの美しさなら、王国内いや国外の王族からも望まれるからだろう。
それを防ぐ為に、認識阻害をかけたのだろう。
王家から打診をされれば、辺境伯の身分では護りきれないから。隠すことにしたんだ。
亡き奥方のオリヴィ様に似ていると昔、聞いた事がある。
仕草やその存在が可愛いのでそう言う意味でオリヴィ様に似ているのだと思っていた。
顔まで似ているのなら、辺境伯が手離したくないのは当たり前だろう。
だが、結果的に解呪が出来なければ手離すしかない。
隣国の王子が留学して来る話も出ている。見初められたら外交問題になるかも知れない。仮でも、婚約者を置くべきでは?
駄目だ。今婚約者を選ぶなら、必然的にシリウスに決まるだろう。
それは嫌だ。
ルナは、シリウスのことを兄として見ている。ルナの気持ちがシリウスに有るのなら諦めようと思う。
だが、まだ違うのだ。
俺は、どうしたい?
卒業後に、精霊の所に行かせたくない。
ルナがシリウスに気持ちがないのなら──振り向かせたい。諦めたくない。
例えルナが俺を望んでくれなくても、シリウスや別の誰かを望んだとしても、解呪の方法は探す。それを見つけなければ、思いは伝えられない。
イアソ様達に解呪の方法を、本当の事を教えを請うては駄目だろうか?何度でも頼み込みに行きたい。
やはり直接イアソ様に会うしかない。
誰にも、渡したくないんだ。
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