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手紙屋☆伝えたい想い
4.
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ガラスの破片と、こぼれた水。
インターホンが鳴って、真っ青な顔をした彼女は立ちつくしたままだ。
呼吸が、おかしい。
「あの? 大丈夫?」
ヒューヒューと変な音。
「ちょっ、痛っ……た」
散らばったガラスの破片の幾つかが、寧々子の足に傷をつけた。破片も細かく散らばっていていて動くのに躊躇ってしまう。スリッパは用意されていなかったので靴下のままで部屋に上がってしまったからだ。
彼女の顔色は血の気がなくなり、体が傾き始めた。
顔面から倒れたら大変だ。顔に傷がつくより、私の足の方がましだからと、一歩踏み出して抱き止めると、重みで破片が足裏に深く刺さったみたいだ。
「あ、いだっ……ううう」
水に濡れたせいで、血が思ったより床を赤く染めていく。痛いでも、倒れるのはもっと不味い。
ガタガタと音がした後に鍵が開く音がして、金髪の人がリビングに顔を出す。
「きちゃだめ。ガラスが落ちてるから!」
ピアスは相変わらずで、ブルーのカラコンのせいか瞳はキラキラだった。少し怒ったような顔だが、璃桜だと認識したものの何故ここにいるのか分からない。
「──やっぱり、ストーカー?」
さらに眉間に皺がよったのだけは分かった。
「違う。それに靴のままだから、俺は問題ない。その子から、動かすから黒猫は少し耐えてて」
(黒猫? 何言って? もしかして、私?)
そばに来た璃桜が 彼女を肩に担ぎソファの方へと避難させる。一人分軽くなったとしても、自身の体重がかかっているのだ。痛いのに動けない。
足の裏はジンジンとしびれ始めている。動けないまま二人を様子を見ていると、真っ白い塊が彼女のお腹辺りにポスんと収まっている。
「猫? だい……福? 」
また璃桜が寧々子の方へやって来た。そして───まさかの姫抱っこで抱えられた。
「ちょっと、なんで、肩担ぎしないの?」
「誤解するなよ? 前側に破片の傷が多い、それだけだ」
「な、なるほど?」
「それより良くないって言わなかったか?」
聞きたい事は山ほどあるけど、今は倒れた三葉の状態が問題である。
「今は、そんな事よりも」
「ああ彼女は、今大福が側にいるから大丈夫だ。闇には飲み込まれない。それより、ガラス片を踏んでる黒猫の手当が先だ」
「黒猫って、変な呼び方が気になるんですけど。とにかく手当てっ言っても人様の家だから勝手に出来ないです。この部屋の状態で帰るとかも……不味い気がするし。手紙は駄目になってしまったから。縁さんを……」
だんだん声が小さくなって行く。どう対処するのがいいのか分からないから。
寧々子で良いって、縁さんが言ってくれたのに。縁さんを呼ぶべきだと思うのに。寧々子は、上手く話す事が出来ないでいる。
「多分、大丈夫だ」
玄関ドアの開閉音がした。
「三葉!!」
四葉の方に似た人が、三葉のそばに駆け寄った。
呼吸や脈を測っているみたい、母親にみたいだけど、もしかして看護師さんだろうか?
「連絡した鴉間神社の者です。ガラスが割れていたので……土足で申し訳ありません。三葉さんは倒れただけだと思うのですが……」
「ごめんなさい慌ててしまって。連絡してくれてありがとう。気を失ってるだけみたい。三葉が、また暴れたのね。お友達の黒須さんかしら? あ、貴方の方が怪我してるじゃないの!!」
テキパキと璃桜に指示を出して片付けたり、手当てをしてくれるのは流石だった。
寧々子が何をどう話したらと迷う暇もなく、双子の母親は今までの経緯を話してくれたのだ。
インターホンが鳴って、真っ青な顔をした彼女は立ちつくしたままだ。
呼吸が、おかしい。
「あの? 大丈夫?」
ヒューヒューと変な音。
「ちょっ、痛っ……た」
散らばったガラスの破片の幾つかが、寧々子の足に傷をつけた。破片も細かく散らばっていていて動くのに躊躇ってしまう。スリッパは用意されていなかったので靴下のままで部屋に上がってしまったからだ。
彼女の顔色は血の気がなくなり、体が傾き始めた。
顔面から倒れたら大変だ。顔に傷がつくより、私の足の方がましだからと、一歩踏み出して抱き止めると、重みで破片が足裏に深く刺さったみたいだ。
「あ、いだっ……ううう」
水に濡れたせいで、血が思ったより床を赤く染めていく。痛いでも、倒れるのはもっと不味い。
ガタガタと音がした後に鍵が開く音がして、金髪の人がリビングに顔を出す。
「きちゃだめ。ガラスが落ちてるから!」
ピアスは相変わらずで、ブルーのカラコンのせいか瞳はキラキラだった。少し怒ったような顔だが、璃桜だと認識したものの何故ここにいるのか分からない。
「──やっぱり、ストーカー?」
さらに眉間に皺がよったのだけは分かった。
「違う。それに靴のままだから、俺は問題ない。その子から、動かすから黒猫は少し耐えてて」
(黒猫? 何言って? もしかして、私?)
そばに来た璃桜が 彼女を肩に担ぎソファの方へと避難させる。一人分軽くなったとしても、自身の体重がかかっているのだ。痛いのに動けない。
足の裏はジンジンとしびれ始めている。動けないまま二人を様子を見ていると、真っ白い塊が彼女のお腹辺りにポスんと収まっている。
「猫? だい……福? 」
また璃桜が寧々子の方へやって来た。そして───まさかの姫抱っこで抱えられた。
「ちょっと、なんで、肩担ぎしないの?」
「誤解するなよ? 前側に破片の傷が多い、それだけだ」
「な、なるほど?」
「それより良くないって言わなかったか?」
聞きたい事は山ほどあるけど、今は倒れた三葉の状態が問題である。
「今は、そんな事よりも」
「ああ彼女は、今大福が側にいるから大丈夫だ。闇には飲み込まれない。それより、ガラス片を踏んでる黒猫の手当が先だ」
「黒猫って、変な呼び方が気になるんですけど。とにかく手当てっ言っても人様の家だから勝手に出来ないです。この部屋の状態で帰るとかも……不味い気がするし。手紙は駄目になってしまったから。縁さんを……」
だんだん声が小さくなって行く。どう対処するのがいいのか分からないから。
寧々子で良いって、縁さんが言ってくれたのに。縁さんを呼ぶべきだと思うのに。寧々子は、上手く話す事が出来ないでいる。
「多分、大丈夫だ」
玄関ドアの開閉音がした。
「三葉!!」
四葉の方に似た人が、三葉のそばに駆け寄った。
呼吸や脈を測っているみたい、母親にみたいだけど、もしかして看護師さんだろうか?
「連絡した鴉間神社の者です。ガラスが割れていたので……土足で申し訳ありません。三葉さんは倒れただけだと思うのですが……」
「ごめんなさい慌ててしまって。連絡してくれてありがとう。気を失ってるだけみたい。三葉が、また暴れたのね。お友達の黒須さんかしら? あ、貴方の方が怪我してるじゃないの!!」
テキパキと璃桜に指示を出して片付けたり、手当てをしてくれるのは流石だった。
寧々子が何をどう話したらと迷う暇もなく、双子の母親は今までの経緯を話してくれたのだ。
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