【本編完結】 美形魔王の弱点は、僕。

Shizukuru

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79.妖精の足飾り⑤

 足元が光、右の足首が熱を帯びる。
『 遅い。シェリル、私のものになれ。力を貸してやる』

 ──クロの傷口が、綺麗に消えてしまった。

 シャランと音がする。繊細な銀のチェーンが何本か重ねられていてリングにより束ねられている。リングの中央には、琥珀を薄めたような透明度の高い輝石がついていた。

 力を貸すって、癒しの力?

 これって……。

「妖精の足飾りアンクレット?」

「なんで、魔族の傷を塞ぐんだ。魔族を退治する力なんだろう? 葬る奴らを助けるとかありえない」

『私が間違っていると? なら、お前なら私を受け取れるのか?シェリルは、黒飛竜ブラックドラゴンと契約した者だぞ?』

 精霊族の彼と聖遺物レリックが言い合った後、一瞬で右足から銀のチェーンが消えた。

「ぐぁぁぁぁぁ……ひぃ、外して!外してくれっ!!痛いっいだぃいぃぃぃぃ」

 地面を転がるように暴れまわっている。足首の銀のチェーンを外す為に手をかけようとするが、痛みのせいが触る事が出来ないみたいだ。

『分かるか? 心の美しさで私は選ぶんだ。相応しく無い者には、私を手に入れる事は出来ない。それに、勝手にねじ曲げるべきではない』

「もう、許して下さいいいい」

『ならお前は二度と、シェリルの人生に関わるな。幻影兎ラビィア達は、シェリルを護る者として役に立つ。私が惹かれるのは、心の美しい者シェリルなんだから』

 魔法陣が浮かび、精霊族の男が消え地面に妖精の足飾りアンクレットだけが残っていた。

『──邪魔が入ったな。シェリル……私はお前を選んだんだが? 』

 聖遺物レリックのそばまで行き、膝をついた。手を伸ばしかけ、一旦手を戻した。

『シェリル?』
「あの……」

『ああ、聞かれたくないのだろう? 遮音はする、映像だけはそのままにしておこう』

 暖かな空気に包まれた事が分かる。これで、カイル様達には音声が届かない。だから、思っていた事を口にする。

「僕を選んでいいのですか? 僕は……勇者様達に嘘をついてます。彼らはティムした幻影兎ラビィアではありません」

『まあ、そうだろうな。だが、他の聖遺物レリック達が、拒んではいないのは何故だ? 勇者が、敵と思っていないのは何故だ?何を迷う?敵の敵は……味方になると思わないか?』

「なるほど、さすが聖遺物レリックと言ったところでしょうか?」

 レノアがいつの間にか白兎に戻って隣りにいる。

『魔族の全てが悪とは、思っていない。それでも最優先はシェリルだからな』

 そう言うと、瞬時に右足首に移動してきた。

『すごいな。これ程……美しい魂はないな。お前達が惹かれるのも……』

「煩い。本当に、人間も聖遺物レリックも面倒だ」
 聖遺物レリックの言葉を遮って、文句を言うとクロも黒兎姿になって、僕の背中に張り付いた。

「クロは、抱っこするから前にきて」
 前に回ってきたクロをギュッと抱きしめた。
(良かった。レリックはクロ達に酷い事をしない)

『一体……二人は?  いたッ』

 何事かと足首を見ると、レノアがチェーンを噛んでいる。

 「レノア?」
 「この人、煩いので……躾ですよ」
 「あ、聖遺物レリックだから、その噛んだりしないで」

、レリックだな」
クロもやめて、怪我治してもらったのに!それ以上、話せないようにギュッと抱きしめた。

 「とは失礼だな。正真正銘本物の聖遺物レリックだからな。お前ら……怖いもの知らずか、ふっ。気に入った。それより、さっさと戻るか」

その一言で、大きな魔法陣が浮かび……一瞬で皆の所へ移動したのだった。






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