悪役令息攻略ルート !? ~ループ後の好感度が変です~

Shizukuru

文字の大きさ
36 / 37
4.学園生活・春

10

しおりを挟む
 授業は淡々と過ぎて、あっという間に放課後になった。

 サークルの勧誘もあれば、自らサークル活動用の教室に行く生徒もいる。
すでに、仲良くなっている者同士で話し合っている姿もチラホラ見えた。
でも、今日は使い魔の卵のこともあり、みな卵ケースを片手に、少し興奮しているように見える。

特に殿下とライラックの金色の卵は、その中でも注目の的だ。

 ジェラルドの卵は、ゲーム内では闇色だった。ループ前は、孵化する前に割れてしまった。
もしかしたら、禍々しいモノが生まれてこないように、護ってくれたのかも知れない。

 今回は、本当に美しいサファイアブルーの卵なので嬉しくて、早くメイナードに見せたかった。
悪役令息の立場上、外で見せて卵が割れてしまうリスクは、絶対に避けたい。

(ちゃんと、育てるから)

 精霊召喚士のジョーカーズ先生なら、ジェラルドを護るように背中を支えてくれた人が見えている可能性もある。

水の……精霊じゃないのかな?
無事に回復してくれてたら嬉しい。

 それにサークルの申し込みは、明日までだから急ぎたいのだ。
クラスメイトの視線が、こちら側に向けられている。きっと今日の召喚のことを、殿下に聞きたくてたまらないのだろう。

 きっかけさえあれば、殿下や側近になる彼らとお近づきになりたい、そんな熱い視線だ。

 この席だって、彼らに譲りたいくらいなのに。ジェラルドは、今回は婚約者でも候補にも入っていない。
それなのに、こんなところにいるのだから、嫌でも注目をあびてしまう。

 今の殿下は、もしかしたら……
ゲームの変な強制力の影響が、残っているだけのような気がする。

(ジェラルドとの、婚約がない影響なのかな?)

 ライラックとか、イアン……はBクラスだけど、さっさと仲良くしたらいいのだ。

 教科書を鞄に入れていると、殿下たちの周りに生徒が集まり始めた。

「クリス殿下! 卵を見せて欲しいです」
「ずるい。僕も」
「サイラス様のも、見せてください!」
「ライラック様。金色なんて……きっと光属性の使い魔ですよね。これから仲良くしていただけませんか? ちなみにサークルはどこに決めたんですか?」

メインキャラたちは、流石に人気ものだ。

殿下と視線があった。

「──それでは、お先に」
「ジェラルド? 待って話がしたいんだ」
「みんな……が、殿下と話したいみたいです。僕は、邪魔になるので。サイラス様、レナード様も、さよなら」

今日は、先生と会う予定だから、早くここを出たい。
卵とサークル、精霊の話もしたい。

「悪い……サイラス。レナード。彼らの相手をしてくれ」
「は? 殿下何を言って」
「クリス殿下、仕方がないですね。連絡は取れるようにしててくださいね」

突然、クリス殿下から手を握られてしまう。サイラスは驚いているが、レナードは比較的冷静に対応している。

「え、ちょっと……殿下?僕は……」
「話がしたいと言ってる。露骨に避けられているんだ。このまま、ずっと逃げるんだろう?」

怖いから、逃げたくなるのだ。
「ずっと、嫌ってたじゃないですか。今さら!」


「だから話をしたいんだ。ここじゃ話にならない。寮に転移する」
「教室での魔法は……それに、サークルが」
「お前の従者には、レナードから連絡させる。サークルは、もう決めているんだろう? ジョーカーズ先生のところに」

「そ、れは」
殿下に抱き寄せられる。
「しっかり捕まってくれ」
捕まらなくても、逃げられないくらいに抱きしめられている。
視界がぐらりと搖れて、せり上がってきそうな気持ち悪さがあった。

そして、意識が途切れた。







しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

妖精です、囲われてます

うあゆ
BL
僕は妖精 森で気ままに暮らしていました。 ふと気づいたら人間に囲まれてました。 でもこの人間のそばはとても心地いいし、森に帰るタイミング見つからないなぁ、なんて思いながらダラダラ暮らしてます。 __________ 妖精の前だけはドロ甘の冷徹公爵×引きこもり妖精 なんやかんやお互い幸せに暮らします。

推し様たちを法廷で守ったら気に入られちゃいました!?~前世で一流弁護士の僕が華麗に悪役を弁護します~

いつく しいま
BL
下級兵の僕はある日一流弁護士として生きた前世を思い出した。 ――この世界、前世で好きだったBLゲームの中じゃん! ここは「英雄族」と「ヴィラン族」に分かれて二千年もの間争っている世界で、ヴィランは迫害され冤罪に苦しむ存在―― いやっ僕ヴィランたち全員箱推しなんですけど。 これは見過ごせない……! 腐敗した司法、社交界の陰謀、国家規模の裁判戦争――全てを覆して〝弁護人〟として推したちを守ろうとしたら、推し皆が何やら僕の周りで喧嘩を始めて…? 「俺のものになって」 「ちょっと、この子を独占しないでよ」 「お前こそ」  ちょっと困るって!   これは、法的事案だよ……! *** ※男主人公をめぐる逆ハーレムあり ※法廷・ミステリーパートの描写あり(基本理解できる範囲になっております) 以前こちらで投稿していた作品を、2章の構成を整えて再投稿します。以前読んでくださっていた方、本当にありがとうございました。36話まで1日3回(11時半、15時半、19時半)予約投稿済みです。

聖女を演じた巻き添え兄は、王弟殿下の求愛から逃げられない

深嶋(深嶋つづみ)
BL
谷口理恩は一年ほど前、妹と一緒に異世界に転移してしまった。 聖女として魔術の才を開花させた妹・世奈のおかげもあって、二人はアルゼノール王国の大教会に保護され、不自由のない暮らしを送ることができている。が、最近は世奈の奔放さに理恩は頭を抱えることもあった。 ある日、世奈の仕事を肩代わりした理恩は、病に臥せっている幼い第二王子・イヴァン王子のもとに参じることに。 ――「僕が大人になったら、僕の妃になってくれませんか」。 何度も謁見を重ねるうちに理恩に懐いた彼は、目の前の聖女が偽者であることに気付かぬまま、やがて理恩に求愛する。 理恩は驚き、後ろめたい気持ちを抱きながらも、「大人になっても同じ気持ちでいてくれたなら」と約束を交わした。 その直後、何者かの陰謀に陥れられた世奈の巻き添えとなり、理恩は辺境の地へと飛ばされてしまい……。 ――数年後、アルゼノール王国を出て世界中を巡っていた理恩は、とある国で偶然、王弟・イヴァンと再会する。 傷心の旅をしているのだという彼は、どういうわけか理恩との交流を持ちたがって――?

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

辺境伯は嵌められた元令息から目が離せない

コムギ
BL
冤罪により、辺境の地へ追いやられた元侯爵令息ユベール。 だが彼は、あまりのことに気を病んで――はいなかった。 野山を駆け回り、虫を捕まえ、草花をスケッチし、のんびり釣りをする。 それはすべて、侯爵家の跡取りとして縛られていた頃には許されなかった自由だった。 そんな生活から一年。 冤罪を証明できそうだと、幼なじみの王太子から報せが届く。 ――王都へ戻れる。 だがそれは同時に、あの窮屈で冷たい場所へ戻るということでもあった。 迷うユベールの前に現れたのは、これまで静かに見守るだけだった辺境伯ラドヴァン。 「ならば、ずっとここにいろ」 「俺と婚約すればいい」 不器用に、しかし真っ直ぐに差し伸べられた手。 優しく(時に暑苦しく)包囲してくる辺境伯と、元侯爵令息の恋物語。 ※他サイトにも掲載しています。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

イケメンダブルセンターとアンチ>ファンな平凡な俺

スノウマン(ユッキー)
BL
アイドルグループ【オーバーウェルミング】は圧倒的な歌唱力の深山影月、圧倒的なパフォーマンス力の漣陽太、そして圧倒的な平凡力な俺間桐真緒の3人で結成されている。  大人気の二人と違いアンチしかいない俺だが、メンバーからもファンからも愛される日が果たしてくるのか!?

処理中です...