目が覚めたら恋人の大嫌いなΩになりました。

Shizukuru

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5 ユージーン殿下のお気に入り

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 エルドレッド様に魔法を習えるのは嬉しい。この魔力を上手く使いこなせるようになるのなら、それが厳しいものでもかまわない。夢だった王宮魔法師になるための近道になる。自分の姿ではないけれど、あの制服を着てみたい。

 でもまさか、レティスがエルドレッド様を陥れようとしていたことになっているなんて。なんでそんな噂になっているんだろう?
 
 あの夜会の日、リリック・コナー男爵令息に、エルドレッド様の色を身につけていたことを指摘された。
変に絡まれたことを思い出す。
 優秀なアルファの傍にいたのが、気に入らなかったんだろうけど、命を落としたレティスに対して言う噂ではない。

 悪評があろうがベータだろうが、リリックの立場では批判などしてはいけないのだ。マナーがなっていない子だった。

綺麗に着飾り、オメガとして甘やかされてきたのかな?  ただの男爵家の子息である限り、社交界では通用しない。あの自信はどこから来ていたのだろう?

 そんなオメガがいるせいで、すべてのオメガが悪く言われてしまうのは良くない。もしもオメガでも、王宮魔法師になれたなら、きっと認めてもらえる。

 本当に嫌な噂ばかりだ。淫乱オメガか……。
  
 ラシェルは、本当にあの時よりきれいになった。そのせいか第一王子を誘惑したと悪い噂が流れている。レティスより少しだけ濃い菫色の瞳だった。それ以外は、なにひとつ似ても似つかないきれいな顔は、常に悪意の中にさらされている。

 何も悪いことしてない子なのに。美しいから嫉妬した? でも顔は隠してたんだよね……。義兄のせいかな?

「ああもう。この顔に慣れそうにないよ……殿下がくれた服、レースとかすごいんだけど。全然趣味じゃない……」

 殿下が後見人になってくれたのは、助かってる。服のセンスだけは、いただけない。十八歳になるのは、もう少し先だ。
 成人として扱われるので、婚約者がいてもおかしくないし婚姻できる。場合によっては爵位も継げる年齢だ。だから、こんなに可愛い服は、勘弁して欲しい。
 エルドレッド様のような、かっこいい魔法師になりたいんだから。

『お互い、きちんと抑制剤飲んだら大丈夫だよ。君は、私に全然興味がないだろう? ただ、他のアルファの魔法師たちの中には、君の外見に惹かれ始めている者がいる。念のためにレティスが作った魔法巻紙スクロールを持たせるよ。君の避難場所に転移できるようにしておこう』
 
『はい。ユージーン殿下ありがとうございます』

『こそこそするより、堂々と訓練場で教わった方がいいな。そういえば、休暇を一日欲しいって言ってたね。数日まとめてあげるから、その前に早めに、何度か訓練を受けて欲しい。エルドレッドに伝えておく』

 僕の頭に手をおくと、掻き撫でてくるので髪型が崩れてしまう。ちょっとムッとした顔をすると、なぜか嬉しそうにして、さらに乱されてしまう。最近は頭を撫でられても仕方がないなと、呆れて笑うようになってしまった。

 きっと小柄なラシェルを、小動物か何かと思っているんだ。

 補佐に付いた時から、殿下は僕に対して嫌悪感がない。もともと公平な方だったから、アルファじゃなくても、採用されたんだと感謝しかない。殿下が上司で良かった。

 エルドレッド様と何度か顔を合わせたが、会話は最低限だった。それでも、魔法を教わるのは、少しずつ楽しみになっていた。顔に出さないように気をつける。

 ぎこちないながら、必死についていった。休みをもらえたのは、しばらくしてからだった。
 
 ほぼ、魔塔で過ごしているが、とりあえず王宮事務官のオメガ用の個室を借りている。
あの集合住宅アパートメントに空きがでたみたいだから、僕の部屋かと思ったけど、あの部屋は契約中のままだった。兄上が、まだ片づけきれずにいるのかもしれない。

 思い出もあるので、レティスの部屋が空いたら借りようと思っていた。それを待っていたら、仲介の人から隣室が空くと連絡が来たのだ。
明日、部屋の確認をしよう。できれば契約までして、それから教えてもらったレティスのいる教会に行きたい。

「いつまでも、殿下に甘えたままではだめだ。ラシェルの噂もどうにかしたいし、自立しないと」

 だから、自分レティスに会いに行こう。

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