あなたは微笑む

茶々

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謁見

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「して、夫人の様子はどうじゃ?」

陛下との謁見が終わる筈だったが、どうやらそれだけで終わらすつもりは無かったらしい。それもそうだ。キャサリンとの婚姻は陛下が決めた事だ。

「はっ、相変わらず意味の無い言葉しか発せず、まるで夢の中を彷徨う様な有り様です。」
「あの娘を、そちに任せたのは間違いであったかのう・・・」

陛下の憂いの帯びた表情を見て、ふと思い出す。
そう言えばキャサリンの母親は陛下がまだ王女だった頃の侍女だった。
陛下はことのほかお気に入りで、常に側に置きたがっていた。侯爵家へ嫁ぐ時には散々ごねて侍女を困らせた程だった。

「くっ!だからあの様な者の所へ等!妾は反対だったのじゃ!」

だが貴族の婚姻は政治が絡む。侯爵家と王家の軋轢を危惧した宰相が自分の娘を差し出す形で均衡を保とうとしたのだった。
暫くは平穏だった。翌年にはキャサリンが産まれ更に2年後には弟も産まれた。
夫婦は睦ましい様子だったが、ある時母娘が王宮へ運ばれて来た。母親は血まみれで虫の息だった。娘の方は怪我はしているものの命には関わらなかった。母親の手には侯爵の謀反の証拠の書類が握られていた。その中には自分の子供達への慈悲を願う手紙を添えられていた。

「もうよい。下がれ。」
「はっ、」

私は礼をして陛下の前から下がった。

元侍女の死に陛下の嘆きは凄ましかった。結果侯爵家一族はキャサリンと弟を除き皆殺しにした。そして取り潰しになった。侯爵領は宰相が預り、後に宰相の息子が引き継ぐ事となった。


『ダリウス、キャサリンと結婚してくれないか?』

キャサリンとの養子縁組みをした宰相がそう言ってきた。

『あの子は私の養子になったとはいえ、反逆者の子供だ。普通の貴族の所へとはやれん。その点お前は子爵だが養子。しかも陛下の懐刀。これ以上は望めん。』
『私には選択の余地は無いのでしょう?」
『嫌、駄目であるなら修道院と言う手もある。』
『畏まりました。1度会って決めたいです。』



・・・随分と幼い・・・



初めて会った感想はそれだけだった。それもそうだろう。貴女は6歳、私は22歳。結婚をするには後10年は必要だ。
宰相の後ろに隠れ、私を恐れているようにも見える。

『さぁ、キャサリンご挨拶をしなさい。』

宰相に促されやっとの思いで私の前に出て来た。
震えながら淑女の礼カーテシーをした。

・・・歳の割には綺麗な礼をする・・・

そして顔を上げた貴女の瞳を良く見ようと私は彼女に膝間付きじっと見つめた。

・・・あぁこの様な目は良く見る。絶望をした暗い、暗い、闇夜の様な目だ・・・

『宰相様、この婚姻を受けます。』

私が貴女の支えになれれば良い。兄の様に慕ってくれれば良いと願いながら。

それから半年して陛下に拝謁する事になった。陛下は暫く私を睨み、そして、はぁ・・・と深い溜息をした時に

お主おぬしは幼女趣味なのか?』
『へ、陛下っ!お戯れを・・・!』
『・・・ふん、冗談じゃ。あの子は、妾の大事な侍女の忘れ形見じゃ!大切にいたせよ?』

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