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第一章
第十五話 ローレンのギルド
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セノンは中にローレンがいるはずのボス部屋の扉を開く。
大きな扉は奥に両開きで開いた。
そして、セノンの視界はその扉の向こうにも広がる。
広いボス部屋。その中の空気は冷たく、水分は壁につき凍っていた。
そして、その中にいるローレンのギルド。人数はセノンが見た限りは六人。しかし、その中の半分の人数はもう体をボロボロにしていた。その中、ローレンは無傷といっていいぐらいであった。
(なんて、無謀なことをさせているんだ……)
セノンは心の中が痛くなる。それと同時にローレンの強さも関心があった。
一方、中で戦っていたローレンはというと、急にボス部屋が開いたことに気づく。
ローレンは目を一瞬扉の方に向けた。そして、中に入ってきたのがセノンだと気づく。
「何しに来た」
ローレンの野太い声はセノンの耳にまで届く声の大きさで話す。
「隣の役場で受付のお姉さんに様子を見てきてくれと頼んなれたもんだから……それよりよそ見はしない方がいいんじゃないか? 仲間の身も少しは気遣ってやれ!」
この時、ボスはもうローレンの目の前にいた。
そのボスはというと、大きなコウモリ。しかし、ただのコウモリではない。ここの階層にいたモンスターが約一千体固まり、一体の巨大モンスターとなっているのだった。
こいつらはもう一体となったため、わかれることはできなくなっている。そのため、各々が一器官として働いていることと同じである。
そのボスモンスター、[ミクスコウノモリ]のいくつかある大きな翼のうちの一つがよそ見をしていたローレンを切ろうとする。
しかし、これにはローレンのギルドメンバーのうちツルギを持った青年が身代わりとなり倒れていく。
「これ……で……どうで……す……かっ……」
倒れた青年はここでローレンは無理やり声に出す。
「悪い助かった。この恩はいつか――」
ローレンはすぐに切り込まれた青年の方に向かい、しゃがむ。
「お前はそんなことをしている場合ではないだろ」
セノンは思わず口に出してしまった。セノンはこの時、戦況によっては見ているだけと思っていた。しかし、そんな場合ではないと分かった。
「セノンもすまない。この恩は必ずどこかで……」
「そんなことを言っている場合か。すぐに殺って、仲間の命を大事にしろ。奴の弱点はあの頭だ」
セノンは反射的に背中にあるライフルを手に持ち、スコープを覗く。
「わかった。しかし、俺の素手での攻撃はあの高いところは届かない。だから、セノンの身を守ることをする」
「そんなことはしなくていい。それより仲間を守ってやれ!」
そういうと、セノンは引き金を一回、また一回と引き続ける。その銃弾一発一発はすべてミクスコウノモリの頭の中枢となるところには小さな赤い点にヒットする。
ヒットするたびにボスは甲高い雄たけびを上げる。
ヒットし続け、暴れまくるボスモンスターは一度高く飛ぶ。しかし、ミクスコウノモリは銃弾から逃げるとき少しずつ上昇をしていた。そのため、大きな翼は天井に力強くぶつかる。
すると、その上から大量の岩が降ってくる。その中のいくつかがローレンのギルドメンバーの頭上に落ちろところだった。しかし、これにはローレンが黙っていない。ローレンは一度地面を強くけり、回復を担当している女性の上の岩を粉々にする。その後あっという間に倒れこんでいたメンバーの上に岩をだれ一人に当てることなく粉々にした。
「助けに来てくれてありがとう。本当に助かった。俺は昔から三十五層に嫌われているしな」
セノンは十数発銃弾を食らわせただけで、ミクスコウノモリを倒すことに成功した。テルルでここに来た時も、ほとんどがセノンの活躍だったのだ。
「反省だけは昔からめちゃくちゃするな」
「本当にごめん。……それで、もしよかったらなんだけど、今度食事でも一緒に行かないか? おごらせてほしい」
「それはやめておく。俺にもギルドがあるしな。それに、お前だって奴を超えようとしているのだろ? そんなんだったら、俺にかまうんじゃなくて仲間と強くなる努力でもしてろ」
セノンは少し詰めたく言ってその場から立ち去った。その帰り道に自分の目の前でミクスコウノモリに吹き飛ばされた青年のところへ足を運んだ。
「お前は強くなる。奴は少し抜けているがいい奴だ。彼について行ってやってくれ。そして、強くなったら、また会える日を楽しみにしている」
「はい!」
セノンが言いうと、青年は元気よく返事をした。しかし、彼のHPもわずかであり、ボロボロになっていたため、決して声が大きかったというわけではなかった。
セノンはその後、静かにその場を立ち去った。
「今日は本当に申し訳なかった……しかし、みんなの誠意はヒシヒシ伝わってきた。これから一緒に戦っていってほしい」
この時のローレンのギルドはまだ、借りのものだったのだ。実はこれはローレンが作成するギルドの入団試験。そのため、身代わりになった青年も命がけでローレンを守ったのだ。
「ローレンさん、これから頑張りましょう。彼とまた会えるように!」
ローレンのギルドで回復魔法を担当していた女が言った。
「本当にごめん」
「リーダーになる人がそんなに誤ってどうするんですか? みんな人間で失敗はつきものなんです。そして、痛みこそありますが、ここは仮想現実なんですから! 楽しみましょうよ! みんなもそう思っていますよ!」
女性が言うと、周りにいたローレンの仲間たちは大きくうなずいた。
「みんな……ありがとう。これからは頑張っていこう! そして、次、セノンに会うときはみんなで助けてやろう!」
「「「「はい」」」」
こうして、ローレンのギルドはスタートを切った。
大きな扉は奥に両開きで開いた。
そして、セノンの視界はその扉の向こうにも広がる。
広いボス部屋。その中の空気は冷たく、水分は壁につき凍っていた。
そして、その中にいるローレンのギルド。人数はセノンが見た限りは六人。しかし、その中の半分の人数はもう体をボロボロにしていた。その中、ローレンは無傷といっていいぐらいであった。
(なんて、無謀なことをさせているんだ……)
セノンは心の中が痛くなる。それと同時にローレンの強さも関心があった。
一方、中で戦っていたローレンはというと、急にボス部屋が開いたことに気づく。
ローレンは目を一瞬扉の方に向けた。そして、中に入ってきたのがセノンだと気づく。
「何しに来た」
ローレンの野太い声はセノンの耳にまで届く声の大きさで話す。
「隣の役場で受付のお姉さんに様子を見てきてくれと頼んなれたもんだから……それよりよそ見はしない方がいいんじゃないか? 仲間の身も少しは気遣ってやれ!」
この時、ボスはもうローレンの目の前にいた。
そのボスはというと、大きなコウモリ。しかし、ただのコウモリではない。ここの階層にいたモンスターが約一千体固まり、一体の巨大モンスターとなっているのだった。
こいつらはもう一体となったため、わかれることはできなくなっている。そのため、各々が一器官として働いていることと同じである。
そのボスモンスター、[ミクスコウノモリ]のいくつかある大きな翼のうちの一つがよそ見をしていたローレンを切ろうとする。
しかし、これにはローレンのギルドメンバーのうちツルギを持った青年が身代わりとなり倒れていく。
「これ……で……どうで……す……かっ……」
倒れた青年はここでローレンは無理やり声に出す。
「悪い助かった。この恩はいつか――」
ローレンはすぐに切り込まれた青年の方に向かい、しゃがむ。
「お前はそんなことをしている場合ではないだろ」
セノンは思わず口に出してしまった。セノンはこの時、戦況によっては見ているだけと思っていた。しかし、そんな場合ではないと分かった。
「セノンもすまない。この恩は必ずどこかで……」
「そんなことを言っている場合か。すぐに殺って、仲間の命を大事にしろ。奴の弱点はあの頭だ」
セノンは反射的に背中にあるライフルを手に持ち、スコープを覗く。
「わかった。しかし、俺の素手での攻撃はあの高いところは届かない。だから、セノンの身を守ることをする」
「そんなことはしなくていい。それより仲間を守ってやれ!」
そういうと、セノンは引き金を一回、また一回と引き続ける。その銃弾一発一発はすべてミクスコウノモリの頭の中枢となるところには小さな赤い点にヒットする。
ヒットするたびにボスは甲高い雄たけびを上げる。
ヒットし続け、暴れまくるボスモンスターは一度高く飛ぶ。しかし、ミクスコウノモリは銃弾から逃げるとき少しずつ上昇をしていた。そのため、大きな翼は天井に力強くぶつかる。
すると、その上から大量の岩が降ってくる。その中のいくつかがローレンのギルドメンバーの頭上に落ちろところだった。しかし、これにはローレンが黙っていない。ローレンは一度地面を強くけり、回復を担当している女性の上の岩を粉々にする。その後あっという間に倒れこんでいたメンバーの上に岩をだれ一人に当てることなく粉々にした。
「助けに来てくれてありがとう。本当に助かった。俺は昔から三十五層に嫌われているしな」
セノンは十数発銃弾を食らわせただけで、ミクスコウノモリを倒すことに成功した。テルルでここに来た時も、ほとんどがセノンの活躍だったのだ。
「反省だけは昔からめちゃくちゃするな」
「本当にごめん。……それで、もしよかったらなんだけど、今度食事でも一緒に行かないか? おごらせてほしい」
「それはやめておく。俺にもギルドがあるしな。それに、お前だって奴を超えようとしているのだろ? そんなんだったら、俺にかまうんじゃなくて仲間と強くなる努力でもしてろ」
セノンは少し詰めたく言ってその場から立ち去った。その帰り道に自分の目の前でミクスコウノモリに吹き飛ばされた青年のところへ足を運んだ。
「お前は強くなる。奴は少し抜けているがいい奴だ。彼について行ってやってくれ。そして、強くなったら、また会える日を楽しみにしている」
「はい!」
セノンが言いうと、青年は元気よく返事をした。しかし、彼のHPもわずかであり、ボロボロになっていたため、決して声が大きかったというわけではなかった。
セノンはその後、静かにその場を立ち去った。
「今日は本当に申し訳なかった……しかし、みんなの誠意はヒシヒシ伝わってきた。これから一緒に戦っていってほしい」
この時のローレンのギルドはまだ、借りのものだったのだ。実はこれはローレンが作成するギルドの入団試験。そのため、身代わりになった青年も命がけでローレンを守ったのだ。
「ローレンさん、これから頑張りましょう。彼とまた会えるように!」
ローレンのギルドで回復魔法を担当していた女が言った。
「本当にごめん」
「リーダーになる人がそんなに誤ってどうするんですか? みんな人間で失敗はつきものなんです。そして、痛みこそありますが、ここは仮想現実なんですから! 楽しみましょうよ! みんなもそう思っていますよ!」
女性が言うと、周りにいたローレンの仲間たちは大きくうなずいた。
「みんな……ありがとう。これからは頑張っていこう! そして、次、セノンに会うときはみんなで助けてやろう!」
「「「「はい」」」」
こうして、ローレンのギルドはスタートを切った。
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