一寸先は闇

北瓜 彪

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第5章 わな

つり橋の向こう

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 涼しい向かい風が、わたしとわたしを囲む緑をどこまでも撫でていく。右手は排水管の穴が等間隔に並ぶコンクリートブロックの斜面、左手は道の下に遠くまで広がる初々しい水田。コンクリートブロックの上からせり出している笹林の葉は、枝垂しだれて車道の端にかかっている。
 わたしは自転車のハンドルを切って、果てしなく続く白いガードレールを曲がる。少し顔を上げると、水彩画で描いたような澄み切った空と刷毛で塗ったような身軽な雲がはるか彼方まで広がっていた。雲たちはわたしと同じ方向に、気ままに流れていく。すると今度は左から風が吹き、山の木々がサァアーッ…と唄った。


 「ただいまー。」
わたしは倉庫の板戸のそばに自転車を置いて玄関の引き戸を開けた。
「お帰りぃ、お昼ごはん出来てるわよ。」
玉すだれの向こうで、おばあちゃんが手を洗いながら返事した。
「あっ!えーこれ何?このゼンマイみたいなの。」
「それは砂肝。ケイコにはちょっと早いかなー。」
「へー!初めて見たー。ね、もう食べていい?」
「もちろん。その前に、手を洗ってきなさい。」
おばあちゃんが優しく言った。
 
 「いただきます。」
わたしとおばあちゃんの声が、朱色の笠を被った白熱電球が照らす小さな食卓に重なって響いた。
 2ヶ月前、わたしのお母さんとお父さんの仕事先が一時的に地方の支店に変わり、その間わたしはこのおばあちゃん家に預けられることになったのだ。今まで見たことない自然あふれる景色のとりこになって、わたしは実家から持ってきた自転車に乗って近くをサイクリングするのが日課になった。
 「ねぇ、おばあちゃん。あそこの国道から降りるところの分かれ道のもう一方、森に続いてる方あるでしょ。あの先って何があるの。」
 「ああ、あそこはね、行っちゃいけないよ。あの先には絶対に入っちゃならない。」
「え‼︎え⁉︎そんなに危ないところなの⁉︎」
「うん、本当に危ないところよ。あの道の先にはつり橋があってね、それはもう深い深い、気の遠くなるような谷の上にかかってるの。そのつり橋を渡って戻ってきた人は、1人もいない。」
「その人達って、神隠しにあったの?」
「分かんない。でも、そうなんじゃないかって言われてるわ。それも昔の話、もう何十年も誰も入ってないから、おばあちゃんもよくは知らないんだけどね。」
「じゃあさじゃあさ、もしあの道に入っても、つり橋を渡らなければいいってこと?」
「そんなの分かんないさぁ。でも、触らぬ神に祟りなし、あそこには近づかないのが一番だよ。」
 分からない。ってことは、おばあちゃんも、本当につり橋を渡っちゃいけないかどうかは知らない、ってことだよね。森に続く分かれ道、その先にある1本のつり橋。「神隠し」という噂は、そんなにはぴったりの要素だった。
「とにかく、あの道の先には絶対に立ち入っちゃいけないよ。大体、サイクリングのついでだからって、まだ来たばっかりの土地をあれこれ探検して回っちゃダメよ。」
おばあちゃんの昔話の語りみたいな言い方が、ますますわたしの興味をそそる。わたしはおばあちゃんの話もうわの空で、さっき見たばかりのどこか不気味な森の入口を思い出していた。


 「えっ?また行くのかい?」
「うーん!」
 わたしは自転車にまたがると同時にペダルを漕ぎ出した。お昼ごはんを食べ終わったらすぐに、サイクリングコースに顔をのぞかせる「神隠しのつり橋」に行く。わたしの頭はそのことでいっぱいだった。5月の風も、眩しい緑も、今日2度目のわたしには少しばかりしつこい。全力で1人、一本道を駆け抜け、向かい風がびゅううびゅううと通り過ぎていくけど気にしない。
 「あっ!」
おばあちゃん家のある住宅地への道がすなわちもう1つの分かれ道なので、いつもは行きは気にしないで過ぎていったが、その分岐点はここにあったのだ。
 入口の前に立つと、いつもサイクリングの帰り道に横目で見る不気味な風景が視野の真ん中にきて、少しの身震いを覚える。
「ここかぁ…。」
木の葉や草が無秩序に生い繁っているように見えるが、それらは確かに奥に架かるつり橋への道を挟んでいる。
 わたしは自転車を降りた。

 「ザザッ、ザザッ、ザザッ、ザザッ」
ムッと薫る草と土の匂い。足に当たる雑草の冷たさ。冷えて湿った木々の呼吸。来たな、という感じがする。
「この先入るべからず」
入口から半分くらいのところに看板が立っていた。白いペンキ塗りに黒の字でそう書いてある。
「こーんなの、誰でも立てられるじゃん。」
わたしがちょっと大きな声でそう言ったのは、もう橋の目の前に来た時だった。
 ギッ、とつり橋全体が軋んで僅かに揺れた。
「渡らないでどうするの!」
どうせ何もないだろう、という気持ちもかなりあった、本当に。橋を渡るだけ、それだけなら大丈夫だろう。行方不明になった人たちは、きっとそこから先の場所に進んでいって、帰り道が分からなくなってしまったのだ。わたしは、大丈夫。絶対に橋から先には行かない。


 「ギイィ、ギイィ、ギィ、ギィイ」
細い綱の手摺を手繰りながら、わたしはつり橋を渡り始めた。下は真っ暗で何も見えない。
(落ちたら即死だろうなあ…)
まさか、みんなここから落ちて死んでいったのではあるまいか。渡っている途中に、下から声が聞こえて、招かれるように橋の下に……。
(いやいやいや、そんなのあり得ない)
いっそ走って一気に渡り切ってしまおうとも思ったが、足がすくんで速く動けない。
 (あと少し、あと少し…)
既に体は冷や汗に包まれ、爪先は靴の中で滑る。
 (は…………)
 右足と左足が地面に着いた。
 渡ってしまった。


 向こうには、わたしが入った入口と同じような出口があった。そこから相変わらず澄み切った青空がのぞく。
「ザッザッザッザッザッザッザッザッ」
わたしは橋を渡る前よりも速い足取りで出口に向かう。
(神隠しの里は、どんなところなんだろう)
 やがて視界は明るさを取り戻し、木々が途切れて周囲が開けた。




 そこには…この場所へ来た時と同じような田舎の風景が広がっていた。わたしは分岐点を背にして立っている。
 水彩画で描いたような澄み切った空と刷毛で塗ったような身軽な雲。左手は排水管の穴が等間隔に並ぶコンクリートブロックの斜面、右手は道の下に遠くまで広がる初々しい水田。道を挟んで果てしなく続く白いガードレール。ただ、決定的に違うところがあった。それは、水田の向こうに見える小さな家々が、どれもこれも大災害の後のようにボロボロに朽ち果てて崩れているということである。
 「……………。」

 あの辺りは、水田の持ち主である農家の人たちの家だったはずだ。よく見ていたかと言われれば素直に頷ける訳ではないが、こんなにもひどい辺境の荒地に来た訳ではないことは、わたしの意識の全てが肯定している。
 森1つ、つり橋1本を越えただけで、こんなに景色は変わるものだろうか。いや………何かがおかしい。
 向きを変えてもう一方の分かれ道の先を見ても、状況は同じだった。
 ……え?…ということは、おばあちゃん家も、あの廃屋の集落の中に埋もれているのだろうか…。
 冷静に考えれば、そんなことはあり得ないはずだった。なぜならここはつり橋の向こう、橋を渡る前とは違う地点にいるはずだからだ。
 例えば、昔この地で恐ろしい大災害があって、あの橋を渡って逃げようとした人たちがいた。その災害はここで発生して、当時の家々は全てめちゃくちゃに破壊されてしまった。逃げ延びた人々は橋の先の場所、つまり今おばあちゃん家とかがあるところに移り住み、災害の爪痕が残る地には誰も近づかないよう警告した………。
 「危ないからやめなさい」。つまりそういうことだと納得することもできたのだ。
 しかしわたしには、どうもそんな風には思えなかった。そればかりかわたしは、本当にあの家々の中にわたしの知っているおばあちゃん家があると確信していた。

 わたしは分岐点の前に止めておいた自転車にまたがり記憶をたどった。いつもならスーッと自然に走って行く帰路がとても長い道のりに感じられたのは、目印となる角や家が原型を留めていなかったからだけではないだろう。それでもわたしはこの先のおばあちゃん家を目指した。好奇心というのは恐ろしいものだと思う。


 そしてわたしは帰るべき場所に着いた。ボロボロだが、確かにおばあちゃんの家である。何も、何も考えたくなかった。ただおばあちゃんが無事であるかどうかだけが知りたかった。
 「おばあちゃアーん!」
インターホンを押して、中へ呼びかける。いつものように引き戸を開けて入ってしまえばいいものを、わたしにはその勇気がなかった。
「おばあちゃアーん!」
もう一度呼びかける。呼んでも出てこないことを分かっていて言ったのだが、その通りであった。何度もインターホンを押し、引き戸の前で足踏みしたが、いつまでたってもおばあちゃんの姿は現れなかった。
 もしや、わたしは違う人の家の前にいるのではなかろうか。1歩、1歩、つり橋の時のように踏み出してインターホンの前まで戻った。インターホンと反対の、右側の塀に付いている表札の名前を確認する。
「井波」
確かにおばあちゃんの苗字だった。でも、その表札は苗字の真ん中、ちょうど「井」と「波」を分断するかのようにーーいや、そこまで綺麗にじゃなかったかもしれないがーーピキッと亀裂が入っていた。
 わたしは全身に異様な悪寒が走るのを感じた。
 次の瞬間にはもう自転車を漕いで、今来た道を逆走していた。


 もう片方の分かれ道に入り、自転車のままつり橋を渡り、もう片方の分かれ道に行って住宅地があるのを確認し、あとはもう、自然と体が動いた。

 倉庫の板戸の傍に自転車を置いて、勢いよく玄関の引き戸を開けた。
「おばあちゃん、ただいま!」
「どうしたのぉ、そんなに慌てて。」
 果たして、玉すだれの向こうでおばあちゃんが驚いた顔をしていた。
 その顔を見て、どっとわたしの心に安心感が降り積もった。もうおばあちゃんの言うことを聞こう。知らないところに勝手に行かないようにしよう。それから、それから……色々な思いが、わたしの胸に去来した。



 「…そぉんなに慌てて、どこ行ってたの?」
「…はあー、おばあちゃん、わたしね、つり橋渡ってきたんだよ。神隠しの里に行ってきたの。そしたらね、わたし分かったんだよ。あそこは神隠しなんて起こってない。ただあそこはこっちと違って危ないから、もう入っちゃいけません、って、ねぇ、そういうことなんでしょ!」
「………ケイコぉ…そうよ、あそこはほんっとに危ないところなの。あそこの家々はね、火事でみーんな焼けちゃったのよ。1軒の炎が周りの家に燃え移って、そのまた隣にも燃え移って、そうしてそうして、あの辺り一帯はもう、見るも無残なものだったでしょう?」
「うんうん、ほんっとにひどかった。わたしね、もう二度とあんなところには行かないよ。絶対に、絶対に行かない。おばあちゃんと約束する!」
「そうね、本当にそうね。ケイコが帰ってきて、本当に良かった。」
わたしはおばあちゃんの一言一言を、麦茶を飲みながらゆっくりと噛みしめた。

 「あれ、おばあちゃん、今日の夕飯も砂肝使うの?」
わたしは疲れたので、あとは落ち着いておばあちゃんの夕飯の支度の様子を見ているだけでよかった。
「そうよ、今夜は肝汁作ろうと思ってるんだけど、あー………材料が足りないみたいなのよ…。」
「わたしが買ってきてあげよっか?まだ暗くなるまで時間あるし。」
「でもなんか曇ってきたわよ。それに、その必要はないわ。だってケイコが帰ってきてくれたんだから。」
 え?と思って後ろを振り向いたわたしは、頭から2本の角を生やして目を金色に光らせたおばあちゃんに出刃包丁を向けられていた。

 「お………おばあちゃん?」
 わたしはぎょっとして椅子から立ち上がった。
「だからつり橋の向こうに行っちゃいけないよって言ったじゃないか。橋を渡ったら、終わりなんだよ。でも、ケイコがちゃんとこっちの世界に帰ってきてくれて本当に良かった!もしあっちでなんかあってくれちゃあ、生き肝の肝汁が作れなくなっちゃうからねぇ。」
 おばあちゃんの金色の目が、白熱灯の下でぎらぎら光った。出刃包丁も白熱電球の光を反射して、びかんびかんと前後に光っている。
「いひひひひひひ、いひひひひひひ、さあさ、こっちにおいでェ!」
「いやッ、イヤッ!!」
 わたしはすくむ腰を引ッ上げて、玉すだれをかき分けた。


 「まあァてえェ!まあァてえェ!」
 あれはもう、おばあちゃんではない。おばあちゃんみたいな顔をした、本物の鬼だ。鬼婆だ。
「まあァてえェ!まあァてえェ!」
 走りながら、自転車を使わないで逃げ出してきてしまったことを後悔した。向かい風はわたしを押し倒そうとし、長く続くガードレールは分岐点までの道のりを異常に引き伸ばし、そして空はおばあちゃんの鬼婆が言っていた通りの曇り空だった。
 「やッ、ヤッ、来ないで、来ないで!」
「まあァてえェ!まあァてえェ!」
わたしは走り続けた。分かれ道の森の入口まで。

 ガサンガサンガサンガサン!
足に下草が絡みつき、不規則に盛り上がっている地面につまずきかけた。左右の木を左右の手でつかんで、前へ、前へと進む。
 「あ!橋‼︎」
わたしは全速力でつり橋を駆け抜ける。ズサンズサンズサンズサン、つり橋が大揺れして転びそうになるが、綱の手摺へ腕を伸ばしながらスピードを緩めずに向こうへ走る。
「まあァてえェ、まあァてえェ、まあァてえェ!!」
橋を渡り切った先には、曇り空がのぞいていた。そこで一瞬だけ、後ろを振り返る。
「まあァてえェ、まあァてえェ!!」
おばあちゃんは、本物のおばあちゃんでないことを証明するかのように、揺れに揺れるつり橋を追いかけて来る。
「まあァてえェ、うアァ‼︎」
 その時、「ぶちっ」と音がして、橋が形を失って縮んだ。鬼婆が、金色の目を大きく見開いて、おばあちゃんが朝から着ていたのと同じ褐色のちゃんちゃんこの袖が宙にぶわっと浮いて、
「ガラガラガラガラガラガラ!!」
わたしの隣で、橋を結んでいたのであろう棒きれか何かが谷底に落ちていった。



 でもね、今、わたしはどうしていると思う?
 鬼婆から助かって、もとの世界で平和に暮らしていると思う?それは、違う。だってわたしは、また、あのつり橋を渡ってしまったのだから。
 つり橋の向こうの世界は、幸いもとのままだった。左手は排水管の穴が等間隔に並ぶコンクリートブロックの斜面、右手は道の下に遠くまで広がる初々しい水田。道を挟んで果てしなく続く白いガードレール。水田の向こうに見える、ボロボロに朽ち果てた小さな家々。
 でも、そこでわたし1人が何ができるっていうの?
 田んぼを耕す?でもって、稲が育つのを待ってたらわたしはうえ死にしてしまう。
 人を探す?もしもその人がまたあの鬼婆だったら?
 もっと遠くへ行く?でも、まずはおばあちゃん家で一休みしなきゃ。
 わたしは表札の割れた家へ行って冷蔵庫を開けたけど、そこには麦茶と大量の砂肝の作り置きしかなかった。つまり、もうわたしはこの家で何も食べられないかもしれない。

 ねえ、好奇心って、恐ろしいものだよね。臨海学校の時に先生が言ってたけど、「大人の言うことは守らなきゃいけない」んだね。「何かあってからじゃ遅い」んだね。でも、でも……ねぇ、そりゃそうなんだけどさあ…それをちゃんと守ろうとできる人って、そんなにいっぱいいるのかなぁ。取り返しがつかなくなってからじゃ遅い、って、わたしは、わたしは、戻ろうとしたよ…………。
 例えばさ、こうは考えられない?つり橋を渡ってこっちの世界に来た人たちが、わたしと同じように戻って、鬼婆に襲われて、こっちの世界の家に戻って、もう駄目だってなって、自分の家に自分で火を放って、そういうことが重なって、辺り一帯は火の海になっ………………。
 ねぇ、ちょっと?誰か、誰か、誰かいないの?
 誰でもいいから、ほんとに誰でもいいから、鬼婆でもいいから、誰か来てくれない?ねえ、わたし、わたしここにいて、このままで大丈夫かなあ、ここにいれば助かると思う?こんなところで、わたしどうやって生きてけばいいの?

 ざらざらざらざらざら。
 縁側から入ってきた5月の風が、玉すだれをわずかに靡かせたようだった。


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