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第10章 夏の階段
漢字ドリル
しおりを挟むさて、突然ですがそこのあなた。
ちょっと漢字の勉強をしませんか?
漢字の中には、大きく分けて4つの種類があります。
1つ目は、その字が表すものを絵にして、それが単純化して字になった「象形文字」。
2つ目は、抽象的なものを記号化して表した「指示文字」。
3つ目は、音を表す「音符」と意味を表す「意符」で成り立つ「形声文字」。
4つ目は、すでにある漢字を複数組み合わせて作られた「会意文字」です。
たとえば、「一」という漢字は、目には見えない「1」という概念を「1本の横棒」で表した「指示文字」です。
「晴」という漢字は、日へんが意符、「青」が音符の「形声文字」です。「青」の音読みが「セイ」なので、「晴」も音読みで「セイ」と読みます。「日」が「晴」の字の意味を表している、というのは、「晴」れているときは「日」が出ているときだから、というのは、簡単に分かりますよね。
「会意文字」の例としては、「森」や「林」が挙げられます。「木」という漢字を2個ならべることで「林」、3個くっつけることで「森」の字ができあがります。
じつは、「了」は「象形文字」なのです。
この漢字、ある漢字から1画引いたものなのですが、何だか分かりますか?
そう、「子」です。
ではなぜ、「了解」の「了」は、「子供」の「子」の横棒を1本引いた字なのでしょうか?
それは、「了」の字が表しているのは、「両腕をなくした子供」だからなのです。昔、子供は、よそ者から見境なくものをもらってきて、外の病気を伝染させてしまうことがあったため、病気の伝染を終「了」させるために、その両腕を切り落としてしまえ、ということがあったというふうにいわれています。
「道」という字にも、怖いなりたちがあります。
この字は一説によると、おはらいのために、生首を持って道を歩いた習慣からできたといわれています。「道」に「首」という字が入っているのは、そういうことなのです。
また、「県」という字にも、怖いなりたちがあります。
この字はもとは、「県」の7、8、9画目を、「巡」という字の1、2、3画目に置き換えた、「キョウ」と読む漢字だったのですが、その字は、さかさまにした生首の象形文字だったのです。「キョウ」の意味は、「さらし首」。「県」の7、8、9画目に当たる、3本のくの字は、もともとは、さかさまの生首の髪の毛を表していたのです。
ふふふふふふ、ふふふふふふ。
どうしたの、そんなに驚いて。
草むらの中で拾った漢字ドリルが突然大きくなり始めて、そんなに怖い?
こんなところに来るなんて、草むらの中から、女の子の泣き声でも聞こえたの?
幼い、つまり「若い」女の子の。
「若」っていう字はね、神さまの意を問うために踊り狂っている巫女さんを表した「象形文字」なのよ。
あら?逃げないで。
まだお勉強は終わりじゃないわよ。
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