85 / 102
84. ウィンディーネ様が変だ!
しおりを挟む
(シロム視点)
「ご主人様、いきなり湯に飛び込んでは身体に毒ですよ。お湯に浸かる前に掛け湯と言うのをした方が良いと聞きました。」
「そ、そうなのですね。」
「もっとも精霊仲間から聞いただけで自分では体験したことは無いのですけれど。」
「ウィンディーネさんはお風呂に入ったことがないのですか?」
「はい、精霊には必要ないですので。実体化を解けば身体に付着した汚れは落ちてしまいます。」
「一度入ってみますか?」
「まあ、嬉しいです。」
僕の後で入ってみますかと言ったつもりだったのだが、ウィンディーネ様がそう言った途端、着ていた湯浴着が消えた。もちろんその下には何も身に着けていない。
「ウィンディーネさん、ふ、服が....。」
不味いと思ったが、あまりに見事なその裸体に目が釘付けになった。ウィンディーネ様は僕に見られていることを全く気にすることなく、自分が言った様に掛け湯をしてから湯船に入って来る。幸い湯船は大きく2人でも余裕で入ることが出来る。
「ご主人様と2人でお風呂に入れるなんて嬉しいです。」
そう言って身体を寄せて来るウィンディーネ様。その時になって漸く気付いた。いつもの慎み深いウィンディーネ様と明らかに違う。そう言えばジョジュル皇子は僕の悪口を言っただけで危うく殺されるところだった。いつものウィンディーネ様ならもう少し手加減してくれていた気がする。
<< チーアル、ウィンディーネ様が変だ...。>>
<< 今頃気付いたの? 鈍いわね。>>
僕の精神世界に入っているチーアルに念話で呼びかけると直ぐに返事があったが、念に笑いが含まれている。面白がっている様だ。
<< 精霊はね、それを構成する妖精の数が減るとそれに連れて知能レベルと精神レベルが下がるの。今のウィンディーネ様は皇帝を探させるために何千という妖精に指示を与えるのに多くのリソースを使っているから更にレベルが下がっているわ。早い話が今のウィンディーネ様は精神的に幼くなって子供の様に感情のままに動いているってことよ。>>
<< それって....。>>
<< ウィンディーネ様はシロムが好きで一緒に居たいということね。普段なら我慢しているけど精神が幼くなった今は自分を抑えられないのよ。まあ好かれているんだからいいじゃない。>>
そう言えば、以前闇の精霊アルガ様がチーアルについて同じようなことを言っていた様な気がする。
<< シロムだって嫌じゃないくせに。さっきウィンディーネ様の裸をガン見していたものね。>>
い、いや否定はしないけどそれにしても困った。
<< なによシロムはウィンディーネ様が好きなんでしょう。だったら親密になる良い機会じゃない。ウィンディーネ様も嫌がってないわ。裸の付き合いなんて滅多にできないわよ。>>
そうかもしれないけれど、ウィンディーネ様が元に戻った時に恥ずかしがるのじゃないだろうか。ウィンディーネ様がこんな状態であることに付け込むなんて、女の人が酔っぱらっていることを良い事に何かするみたいで良くない気がする。
どうしよう、どうしよう、どうすればいい....思い悩むが結論は出ない。何も出来ないまま時間だけが経って行く。
「ご主人様、大丈夫ですか? お顔が真っ赤です。そろそろ身体を洗われてはいかがでしょう、お背中を流させていただきます。」
「だ、大丈夫です。も、もう少しこのままで....。」
浴槽の外に出たらウィンディーネ様にまともに裸を晒すことになる。今の股間を見られたらきっと恥ずかしくて死んでしまう。
だがその内に何だか頭がぼんやりして来た。心臓がドキドキして何だか息苦しい。それに熱くて堪らない。これは不味いと思いウィンディーネ様に背中を向けて立ち上がろうとしたが、その途端目の前が暗くなった。
意識が朦朧となった僕はウィンディーネ様に抱かれてベッドまで運ばれた。その後ウィンディーネ様は濡れている僕の身体をタオルで拭いてくださり、さらにパジャマを着せてくださった。もちろん身体を拭く時にはウィンディーネ様に全身くまなく見られました。
しばらくして体調が回復した僕が起き上がると、ウィンディーネ様が安心した様に抱き付いて来た。
「心配いたしました。ご主人様は熱いお風呂に長く浸かり過ぎたのです。今の私にはご主人様を回復させる力はありません。もしものことがあったらと思うと不安でたまりませんでした。」
僕に抱き付いたウィンディーネ様のおっぱいが顔に押し付けられて息が出来ない。
「ウ、ウィンディーネ様、ふ、服を....。」
「まあ、失礼しました。でもご主人様が心配させるから悪いのです。服の事なんて忘れていました。」
そう言ったウィンディーネ様の身体がいつもの水色のワンピースに包まれた。
その夜は遅くまでウィンディーネ様から色々な話を聞いた。水の泡から生まれたウィンディーネ様が大精霊となるまで、精霊王様との出会い、アキュリス皇子との出会いとその後。でも僕にとって何より衝撃だったのは3000年前の魔族との戦いの話だ。なんと本当の敵は異世界からやって来た魔族ではなく、魔族から魂の力を奪う方法を聞き出した人間だったのだ。魔族の人達は魂の力を奪うのはレイスのみと決めているある意味節度を持った存在だったのだが人間達はそうではなかった。そして何百、何千もの魂の力を奪い取り力を付けた人間達は神や精霊の魂にも手を延ばし始めた。それからはそれらの人間も含め魂の力を奪う者達を魔族と呼ぶようになった。ウィンディーネ様の配下の精霊も沢山犠牲になったらしい。その話をしてくださった時とても悲しそうな顔をしていた。
神と精霊は手を組んで魔族への戦いを始めた。戦いは一進一退を続け100年以上の長きにわたり続いたが、神々が行った新しく生まれてくる人間の身体に精神世界を加えて魂を防御するという戦法が功を奏し、魂の力を奪えなくなった魔族は遂に滅びた。その時に異世界から来た魔族も全員滅びたと思われていたのだが、カルミさん達がひっそりと生き残っていたわけだ。彼女達が持っていた神器は彼女達が生きて行ける様にと親から譲り受けたものらしい。もっとも当時カルミさん達は子供だったから戦いの事はほとんど覚えていない。
「ご主人様、いきなり湯に飛び込んでは身体に毒ですよ。お湯に浸かる前に掛け湯と言うのをした方が良いと聞きました。」
「そ、そうなのですね。」
「もっとも精霊仲間から聞いただけで自分では体験したことは無いのですけれど。」
「ウィンディーネさんはお風呂に入ったことがないのですか?」
「はい、精霊には必要ないですので。実体化を解けば身体に付着した汚れは落ちてしまいます。」
「一度入ってみますか?」
「まあ、嬉しいです。」
僕の後で入ってみますかと言ったつもりだったのだが、ウィンディーネ様がそう言った途端、着ていた湯浴着が消えた。もちろんその下には何も身に着けていない。
「ウィンディーネさん、ふ、服が....。」
不味いと思ったが、あまりに見事なその裸体に目が釘付けになった。ウィンディーネ様は僕に見られていることを全く気にすることなく、自分が言った様に掛け湯をしてから湯船に入って来る。幸い湯船は大きく2人でも余裕で入ることが出来る。
「ご主人様と2人でお風呂に入れるなんて嬉しいです。」
そう言って身体を寄せて来るウィンディーネ様。その時になって漸く気付いた。いつもの慎み深いウィンディーネ様と明らかに違う。そう言えばジョジュル皇子は僕の悪口を言っただけで危うく殺されるところだった。いつものウィンディーネ様ならもう少し手加減してくれていた気がする。
<< チーアル、ウィンディーネ様が変だ...。>>
<< 今頃気付いたの? 鈍いわね。>>
僕の精神世界に入っているチーアルに念話で呼びかけると直ぐに返事があったが、念に笑いが含まれている。面白がっている様だ。
<< 精霊はね、それを構成する妖精の数が減るとそれに連れて知能レベルと精神レベルが下がるの。今のウィンディーネ様は皇帝を探させるために何千という妖精に指示を与えるのに多くのリソースを使っているから更にレベルが下がっているわ。早い話が今のウィンディーネ様は精神的に幼くなって子供の様に感情のままに動いているってことよ。>>
<< それって....。>>
<< ウィンディーネ様はシロムが好きで一緒に居たいということね。普段なら我慢しているけど精神が幼くなった今は自分を抑えられないのよ。まあ好かれているんだからいいじゃない。>>
そう言えば、以前闇の精霊アルガ様がチーアルについて同じようなことを言っていた様な気がする。
<< シロムだって嫌じゃないくせに。さっきウィンディーネ様の裸をガン見していたものね。>>
い、いや否定はしないけどそれにしても困った。
<< なによシロムはウィンディーネ様が好きなんでしょう。だったら親密になる良い機会じゃない。ウィンディーネ様も嫌がってないわ。裸の付き合いなんて滅多にできないわよ。>>
そうかもしれないけれど、ウィンディーネ様が元に戻った時に恥ずかしがるのじゃないだろうか。ウィンディーネ様がこんな状態であることに付け込むなんて、女の人が酔っぱらっていることを良い事に何かするみたいで良くない気がする。
どうしよう、どうしよう、どうすればいい....思い悩むが結論は出ない。何も出来ないまま時間だけが経って行く。
「ご主人様、大丈夫ですか? お顔が真っ赤です。そろそろ身体を洗われてはいかがでしょう、お背中を流させていただきます。」
「だ、大丈夫です。も、もう少しこのままで....。」
浴槽の外に出たらウィンディーネ様にまともに裸を晒すことになる。今の股間を見られたらきっと恥ずかしくて死んでしまう。
だがその内に何だか頭がぼんやりして来た。心臓がドキドキして何だか息苦しい。それに熱くて堪らない。これは不味いと思いウィンディーネ様に背中を向けて立ち上がろうとしたが、その途端目の前が暗くなった。
意識が朦朧となった僕はウィンディーネ様に抱かれてベッドまで運ばれた。その後ウィンディーネ様は濡れている僕の身体をタオルで拭いてくださり、さらにパジャマを着せてくださった。もちろん身体を拭く時にはウィンディーネ様に全身くまなく見られました。
しばらくして体調が回復した僕が起き上がると、ウィンディーネ様が安心した様に抱き付いて来た。
「心配いたしました。ご主人様は熱いお風呂に長く浸かり過ぎたのです。今の私にはご主人様を回復させる力はありません。もしものことがあったらと思うと不安でたまりませんでした。」
僕に抱き付いたウィンディーネ様のおっぱいが顔に押し付けられて息が出来ない。
「ウ、ウィンディーネ様、ふ、服を....。」
「まあ、失礼しました。でもご主人様が心配させるから悪いのです。服の事なんて忘れていました。」
そう言ったウィンディーネ様の身体がいつもの水色のワンピースに包まれた。
その夜は遅くまでウィンディーネ様から色々な話を聞いた。水の泡から生まれたウィンディーネ様が大精霊となるまで、精霊王様との出会い、アキュリス皇子との出会いとその後。でも僕にとって何より衝撃だったのは3000年前の魔族との戦いの話だ。なんと本当の敵は異世界からやって来た魔族ではなく、魔族から魂の力を奪う方法を聞き出した人間だったのだ。魔族の人達は魂の力を奪うのはレイスのみと決めているある意味節度を持った存在だったのだが人間達はそうではなかった。そして何百、何千もの魂の力を奪い取り力を付けた人間達は神や精霊の魂にも手を延ばし始めた。それからはそれらの人間も含め魂の力を奪う者達を魔族と呼ぶようになった。ウィンディーネ様の配下の精霊も沢山犠牲になったらしい。その話をしてくださった時とても悲しそうな顔をしていた。
神と精霊は手を組んで魔族への戦いを始めた。戦いは一進一退を続け100年以上の長きにわたり続いたが、神々が行った新しく生まれてくる人間の身体に精神世界を加えて魂を防御するという戦法が功を奏し、魂の力を奪えなくなった魔族は遂に滅びた。その時に異世界から来た魔族も全員滅びたと思われていたのだが、カルミさん達がひっそりと生き残っていたわけだ。彼女達が持っていた神器は彼女達が生きて行ける様にと親から譲り受けたものらしい。もっとも当時カルミさん達は子供だったから戦いの事はほとんど覚えていない。
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
【アイテム分解】しかできないと追放された僕、実は物質の概念を書き換える最強スキルホルダーだった
黒崎隼人
ファンタジー
貴族の次男アッシュは、ゴミを素材に戻すだけのハズレスキル【アイテム分解】を授かり、家と国から追放される。しかし、そのスキルの本質は、物質や魔法、果ては世界の理すら書き換える神の力【概念再構築】だった!
辺境で出会った、心優しき元女騎士エルフや、好奇心旺盛な天才獣人少女。過去に傷を持つ彼女たちと共に、アッシュは忘れられた土地を理想の楽園へと創り変えていく。
一方、アッシュを追放した王国は謎の厄災に蝕まれ、滅亡の危機に瀕していた。彼を見捨てた幼馴染の聖女が助けを求めてきた時、アッシュが下す決断とは――。
追放から始まる、爽快な逆転建国ファンタジー、ここに開幕!
安全第一異世界生活
朋
ファンタジー
異世界に転移させられた 麻生 要(幼児になった3人の孫を持つ婆ちゃん)
新たな世界で新たな家族を得て、出会った優しい人・癖の強い人・腹黒と色々な人に気にかけられて婆ちゃん節を炸裂させながら安全重視の異世界冒険生活目指します!!
【完結】小さな元大賢者の幸せ騎士団大作戦〜ひとりは寂しいからみんなで幸せ目指します〜
るあか
ファンタジー
僕はフィル・ガーネット5歳。田舎のガーネット領の領主の息子だ。
でも、ただの5歳児ではない。前世は別の世界で“大賢者”という称号を持つ大魔道士。そのまた前世は日本という島国で“独身貴族”の称号を持つ者だった。
どちらも決して不自由な生活ではなかったのだが、特に大賢者はその力が強すぎたために側に寄る者は誰もおらず、寂しく孤独死をした。
そんな僕はメイドのレベッカと近所の森を散歩中に“根無し草の鬼族のおじさん”を拾う。彼との出会いをきっかけに、ガーネット領にはなかった“騎士団”の結成を目指す事に。
家族や領民のみんなで幸せになる事を夢見て、元大賢者の5歳の僕の幸せ騎士団大作戦が幕を開ける。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~
スサノワ
ファンタジー
「ここわぁ、地獄かぁ――!?」
悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、気がつきゃ金糸のような髪の小娘に!?
「えっ、ファンタジーかと思ったぁ? 残っ念っ、ハイ坊主ハラペコSFファンタジーでしたぁ――ウケケケッケッ♪」
やかましぃやぁ。
※小説家になろうさんにも投稿しています。投稿時は初稿そのまま。順次整えます。よろしくお願いします。
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる