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96. シンシアさんとの再会
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(シロム視点)
自宅で久しぶりのチーカ料理を堪能しリラックスしたところで、神域にお帰りになるアーシャ様と別れ神殿に向かう。まずは神官長様にご挨拶しなければならない。再びウィンディーネ様の水球に乗って神官長様の執務室のある建物に向かった。建物の前では神官長様を始めとして上級神官様達が僕達を出迎えてくれた。残念なことに前の神官長様は高齢の為に既にお亡くなりになり、今は立法庁の長官だったエリーゼ様が神官長に就任されている。
僕が水球から降りると、神官様達が驚いた様に僕の前で跪いた。異様な雰囲気に気圧されるが、直ぐに僕の身体から神気が漏れ出しているのだと気付いた。アーシャ様に注意されていたのに自分の家でリラックスし過ぎてうっかりしていた。慌てて水晶に神気を送り込むと神官様達が頭を上げてくれた。
「す、済みません。うっかりしていました。」
「とんでもございません。流石はシロム様でございます。この様に素晴らしい方を預言者としてお迎え出来ることはこの上もない喜びでございます。シロム様に導いていただければこの国は何の心配もございません。」
神気だけで人を判断しては間違えますよと強く言いたい。
「と、とんでもありません。こちらこそよろしくお願いします。」
「シロム様、まずは聖なる山の神様にご帰還のご報告をなされますか?」
供物の間に向かうかどうかの確認だろう。
「いいえ、聖なる山の神様にはアーシャ様からご報告いただけることになっています。神殿に来たのはこれからお世話になる神官の皆様にご挨拶するためです。」
「そうでございましたか。お恐れながら神官達にお言葉を頂くのは明日と考えておりました。 宜しければ今から預言者様の為に用意させていただいたお住まいにご案内させていただきます。まずはお寛ぎになり旅の疲れをお取りください。」
やはり神官全員の前で話さないといけないらしい....。僕としては神官長のエリーゼさんに挨拶したからいいよねと期待していたのだが....。やはりマジョルカさんに頼るしかなさそうだ。
その後はエリーゼ様の案内で僕のために建てられた屋敷に向かう。僕が出かける前はまだ建築中だったので印象が薄かったが、とてつもなく大きくて立派な建物でまるで貴族様にでもなった様だ。立っている場所も一般の人の立ち入りが禁止されている神殿の最奥部だ。
「この様な小さな建物で恐縮です。もっとお大きくしたかったのですが、何分神殿の敷地に余裕が無くこれが精一杯でした。」
「と、とんでも有りません。」
これ以上大きくしてどうしろと言うのだろう。広い庭も付いた立派な屋敷だ。敷地に入ると玄関前に10人くらいの男女が整然と並んで僕達を出迎えてくれた。
「この屋敷でシロム様のお世話をさせていただく者達でございます。こちらはメイド長のシンシア、シロム様にご面識があるとのことで選ばせていただきました。」
「シンシアさん!」
今は無きモンコール王国の王女で、僕の勧めでこの国に移民したシンシアさんだ。
「シロム様、お久しぶりでございます。メイド長として精一杯務めさせていただきます。」
そう言って頭を下げるシンシアさん。元王女様にメイドをさせるなんて.....。
「シンシアさんはピアノ教師をされていると思っていましたが?」
「まあご存知でしたか。それも考えていたのですが、マーク様のお屋敷で働いていている間に私にはメイドの方が性に合っていると気付いたのです。ですのでシロム様のお屋敷のメイドを募集していると聞いて真っ先に応募させていただきました。それにシロム様はアルムと結婚なされるのですよね。そうなればアルムと同じ屋根の下で暮らすことが出来ます。同郷の者が傍にいるのは嬉しいものです。」
「で、ですがそれで良いのですか?」
確かに僕と結婚したらアルムさんもここに住むことになるだろうが、それはこの館の女主人としてだ。王女様と妹王女の乳姉妹に過ぎなかったアルムさんの立場が入れ替わることになる。シンシアさんは気にならないのだろうか?
「良いのです。カルロ教の第一の教義は『神の前ではすべての人間は平等である』ですよね。元の身分に囚われるなど神の教えに反して自分の未来を狭くするだけですから。」
流石はシンシアさん。元々農民のジーラさん達を自分と同等に考える人だった。本当の聖人というのはシンシアさんみたいな人を言うのかもしれない。
エリーゼ様がお帰りになると僕は緊張した顔で立っている使用人の人達に向き直って頭を下げた。
「み、皆さん、これからお世話になります。よろしくお願いします。」
「シ、シロム様、使用人に頭を下げる必要はございません。」
シンシアさんが慌てて止めようとする。
「『神の前ではすべての人間は平等ですである』ですよね。」
元王女様が僕なんかのメイドになろうというのだ、頭を下げるくらいなんでもない。他の使用人達は戸惑った様に顔を見合わせているが、幾分緊張が和らいだ様だ。
その後はシンシアさんに他の使用人達を紹介してもらった。
「それではご主人様のお部屋にご案内させていただきます。」
「ち、ちょっと待って下さい。せっかく皆さんお揃いなので僕の契約精霊を紹介しておきます。この家で働いてもらうのであれば慣れておいてもらった方が良いので....。まずはこの子ですが、人間の様に見えますが実は闇の精霊でチーアルと言います。」
「チーアルよ、よろしくね。」
僕の隣にいたチーアルがほんの少し地面から浮かびながら挨拶する。それを見た使用人達の目が点になった。
「それから....」
僕がそう口にすると背後で精霊王様とウィンディーネ様が実体化する。突然現れた2人の巨人に怯えた何人かが尻もちを突いた。
「まったく、人の顔を見て腰を抜かすなど失礼な奴だ。以後は気を付けるが良い。」
「こ、こちらは精霊王アートウィキ様です。」
慌てて精霊王様を使用人達に紹介する。
「シロムよ、私はこの国の近くで落ち着けるとこを探すとしよう。ついでに聖なる岩も探しておいてやろう。精霊王の私が自ら探してやるのだ感謝しろよ。」
「あ、ありがとうございます。」
僕がそう応えると、精霊王様は使用人達には目もくれず飛び立った。
「水の精霊ウィンディーネでございます。共にご主人様にお仕えする者としてよろしくお願いします。」
後に残ったウィンディーネ様が優雅な動作で頭を下げる。使用人の人達も慌てて頭を下げている。
「そ、それではお部屋に案内させていただきます。」
シンシアさんがそう言うと、ウィンディーネ様の身体が妖精に分解し、後には僕と同じくらいの大きさになったウィンディーネ様が残る。
「妖精達にこの屋敷を警護させます。私はいつもの様にご主人様のお世話をさせていただきますね。」
ウィンディーネ様はそう口にして僕に付いて来る。使用人の何人か(特に男性)が呆けた様な顔でウィンディーネ様が目の前を通って行くのを眺めていた。気持ちは分かる、人間と同じ大きさになったウィンディーネ様は巨人の時の威圧感がなくなり、とてつもなく美人で魅力的な女性としか思えない。本当は結構天然な所もあるのだけれどそんなこと初対面で分かりっこない。
呆けたようにウィンディーネ様を見つめる男性使用人と、その人達を軽蔑の眼差しで見つめる女性使用人という構図の中を男性陣の嫉妬をヒシヒシと感じながら通り過ぎた。
「ウィンディーネ様とチーアル様にもお部屋をご用意した方がよろしいでしょうか?」
シンシアさんが僕に尋ねるが、ウィンディーネ様が代わって答える。
「その必要はありません。ご主人様の居られる場所が私達の居場所です。それと精霊は睡眠をとる必要はありませんからベッドは不要です。」
「か、畏まりました。」
シンシアさんが慌てて答える。仕事初日から多大なストレスを掛けてしまった.....「御免なさい」と心の中で謝る。本当は周りを飛び回っている僕とウィンディーネさんの子供達のことも話しておこうと思ったのだけど後にしよう。これ以上精神的負担を掛けては可哀そうだ。
自宅で久しぶりのチーカ料理を堪能しリラックスしたところで、神域にお帰りになるアーシャ様と別れ神殿に向かう。まずは神官長様にご挨拶しなければならない。再びウィンディーネ様の水球に乗って神官長様の執務室のある建物に向かった。建物の前では神官長様を始めとして上級神官様達が僕達を出迎えてくれた。残念なことに前の神官長様は高齢の為に既にお亡くなりになり、今は立法庁の長官だったエリーゼ様が神官長に就任されている。
僕が水球から降りると、神官様達が驚いた様に僕の前で跪いた。異様な雰囲気に気圧されるが、直ぐに僕の身体から神気が漏れ出しているのだと気付いた。アーシャ様に注意されていたのに自分の家でリラックスし過ぎてうっかりしていた。慌てて水晶に神気を送り込むと神官様達が頭を上げてくれた。
「す、済みません。うっかりしていました。」
「とんでもございません。流石はシロム様でございます。この様に素晴らしい方を預言者としてお迎え出来ることはこの上もない喜びでございます。シロム様に導いていただければこの国は何の心配もございません。」
神気だけで人を判断しては間違えますよと強く言いたい。
「と、とんでもありません。こちらこそよろしくお願いします。」
「シロム様、まずは聖なる山の神様にご帰還のご報告をなされますか?」
供物の間に向かうかどうかの確認だろう。
「いいえ、聖なる山の神様にはアーシャ様からご報告いただけることになっています。神殿に来たのはこれからお世話になる神官の皆様にご挨拶するためです。」
「そうでございましたか。お恐れながら神官達にお言葉を頂くのは明日と考えておりました。 宜しければ今から預言者様の為に用意させていただいたお住まいにご案内させていただきます。まずはお寛ぎになり旅の疲れをお取りください。」
やはり神官全員の前で話さないといけないらしい....。僕としては神官長のエリーゼさんに挨拶したからいいよねと期待していたのだが....。やはりマジョルカさんに頼るしかなさそうだ。
その後はエリーゼ様の案内で僕のために建てられた屋敷に向かう。僕が出かける前はまだ建築中だったので印象が薄かったが、とてつもなく大きくて立派な建物でまるで貴族様にでもなった様だ。立っている場所も一般の人の立ち入りが禁止されている神殿の最奥部だ。
「この様な小さな建物で恐縮です。もっとお大きくしたかったのですが、何分神殿の敷地に余裕が無くこれが精一杯でした。」
「と、とんでも有りません。」
これ以上大きくしてどうしろと言うのだろう。広い庭も付いた立派な屋敷だ。敷地に入ると玄関前に10人くらいの男女が整然と並んで僕達を出迎えてくれた。
「この屋敷でシロム様のお世話をさせていただく者達でございます。こちらはメイド長のシンシア、シロム様にご面識があるとのことで選ばせていただきました。」
「シンシアさん!」
今は無きモンコール王国の王女で、僕の勧めでこの国に移民したシンシアさんだ。
「シロム様、お久しぶりでございます。メイド長として精一杯務めさせていただきます。」
そう言って頭を下げるシンシアさん。元王女様にメイドをさせるなんて.....。
「シンシアさんはピアノ教師をされていると思っていましたが?」
「まあご存知でしたか。それも考えていたのですが、マーク様のお屋敷で働いていている間に私にはメイドの方が性に合っていると気付いたのです。ですのでシロム様のお屋敷のメイドを募集していると聞いて真っ先に応募させていただきました。それにシロム様はアルムと結婚なされるのですよね。そうなればアルムと同じ屋根の下で暮らすことが出来ます。同郷の者が傍にいるのは嬉しいものです。」
「で、ですがそれで良いのですか?」
確かに僕と結婚したらアルムさんもここに住むことになるだろうが、それはこの館の女主人としてだ。王女様と妹王女の乳姉妹に過ぎなかったアルムさんの立場が入れ替わることになる。シンシアさんは気にならないのだろうか?
「良いのです。カルロ教の第一の教義は『神の前ではすべての人間は平等である』ですよね。元の身分に囚われるなど神の教えに反して自分の未来を狭くするだけですから。」
流石はシンシアさん。元々農民のジーラさん達を自分と同等に考える人だった。本当の聖人というのはシンシアさんみたいな人を言うのかもしれない。
エリーゼ様がお帰りになると僕は緊張した顔で立っている使用人の人達に向き直って頭を下げた。
「み、皆さん、これからお世話になります。よろしくお願いします。」
「シ、シロム様、使用人に頭を下げる必要はございません。」
シンシアさんが慌てて止めようとする。
「『神の前ではすべての人間は平等ですである』ですよね。」
元王女様が僕なんかのメイドになろうというのだ、頭を下げるくらいなんでもない。他の使用人達は戸惑った様に顔を見合わせているが、幾分緊張が和らいだ様だ。
その後はシンシアさんに他の使用人達を紹介してもらった。
「それではご主人様のお部屋にご案内させていただきます。」
「ち、ちょっと待って下さい。せっかく皆さんお揃いなので僕の契約精霊を紹介しておきます。この家で働いてもらうのであれば慣れておいてもらった方が良いので....。まずはこの子ですが、人間の様に見えますが実は闇の精霊でチーアルと言います。」
「チーアルよ、よろしくね。」
僕の隣にいたチーアルがほんの少し地面から浮かびながら挨拶する。それを見た使用人達の目が点になった。
「それから....」
僕がそう口にすると背後で精霊王様とウィンディーネ様が実体化する。突然現れた2人の巨人に怯えた何人かが尻もちを突いた。
「まったく、人の顔を見て腰を抜かすなど失礼な奴だ。以後は気を付けるが良い。」
「こ、こちらは精霊王アートウィキ様です。」
慌てて精霊王様を使用人達に紹介する。
「シロムよ、私はこの国の近くで落ち着けるとこを探すとしよう。ついでに聖なる岩も探しておいてやろう。精霊王の私が自ら探してやるのだ感謝しろよ。」
「あ、ありがとうございます。」
僕がそう応えると、精霊王様は使用人達には目もくれず飛び立った。
「水の精霊ウィンディーネでございます。共にご主人様にお仕えする者としてよろしくお願いします。」
後に残ったウィンディーネ様が優雅な動作で頭を下げる。使用人の人達も慌てて頭を下げている。
「そ、それではお部屋に案内させていただきます。」
シンシアさんがそう言うと、ウィンディーネ様の身体が妖精に分解し、後には僕と同じくらいの大きさになったウィンディーネ様が残る。
「妖精達にこの屋敷を警護させます。私はいつもの様にご主人様のお世話をさせていただきますね。」
ウィンディーネ様はそう口にして僕に付いて来る。使用人の何人か(特に男性)が呆けた様な顔でウィンディーネ様が目の前を通って行くのを眺めていた。気持ちは分かる、人間と同じ大きさになったウィンディーネ様は巨人の時の威圧感がなくなり、とてつもなく美人で魅力的な女性としか思えない。本当は結構天然な所もあるのだけれどそんなこと初対面で分かりっこない。
呆けたようにウィンディーネ様を見つめる男性使用人と、その人達を軽蔑の眼差しで見つめる女性使用人という構図の中を男性陣の嫉妬をヒシヒシと感じながら通り過ぎた。
「ウィンディーネ様とチーアル様にもお部屋をご用意した方がよろしいでしょうか?」
シンシアさんが僕に尋ねるが、ウィンディーネ様が代わって答える。
「その必要はありません。ご主人様の居られる場所が私達の居場所です。それと精霊は睡眠をとる必要はありませんからベッドは不要です。」
「か、畏まりました。」
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