攻略済みのゲームに転生した

あぷりこっと

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やきもち

アルバート編

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一つ私は言っておきたいことがある。無自覚なアナスタシア様が可愛い。
今周りに集まっているほとんどが私よりもアナスタシア様に集中している。
白い制服を着こなしてここ数ヶ月で伸びた髪の毛はリボンにより高い位置でポニーテールにしてある。ウサギの尻尾の様にちょこんと出ている髪の毛が可愛いと女子生徒からは人気だ。
季節も暑くなってきており半袖とミニスカートドレスに変化した制服。
私は一目アナスタシア様を見ようと、朝教室に一番にくる予定だったがエリが二番目にきたアナスタシア様を独占していた。
解せぬ。その輪に入り授業が終わってすぐアナスタシア様を散歩に誘った。

相変わらずすごく嫌そうな顔をするアナスタシア様を無理やり連れてきた。
今日は制服衣替え1日目(変えていない人もいる)を記念して校庭に屋台が出ている。好きなものをどれだけ食べても良い。

男子に人気なのが焼き肉定食
女子に人気が苺飴やパフェといったもの

苺飴を食べるアナスタシア様を拝みたくお誘いした。

「アルバート様私はあれを食べたいです。」

急に目を爛々としたアナスタシア様が指差したものは、庶民の料理代表ともいって良い、芋の揚げ物だった。少し細く切ったものを油で揚げ、ソルトで味付けしてあるものだ。
そこは誰も近づいておらず店主が大きな声で呼びかけるのも諦めていた。
アナスタシア様は私の返事を待たずに、芋揚げの屋台まで行ってしまった。

少し遠目で2人のやりとりを見ていた

「これは公爵御令嬢の娘様いらっしゃいませ。ここまで足を運びいただき至極うれしく思います。味は3種類です。知らないと思いますが定番のソルト、変わった味のコンソメ、そして異国から取り寄せております海苔ソルトです。」

アナスタシア様が足を運んだことによりアナスタシア様のファンの子たちが
「どうしてあちらに?」「庶民すぎて馬鹿にしにいったんじゃないか?」「ここに店舗構えるなんて恥よ」「相手の心が折れる一言を」
高貴な方達からはこの様な言葉が

「あらアナスタシア様もあの様なものがお好きなんて親近感だわ」「アナスタシア様は料理に対しても差別をなさらないのね」「私のお勧めは海苔ソルト~」
領土が狭く貧乏に近いものたちからはこの様なことを言われている。
確かに公爵の令嬢が口にする様なものではないことはわかるが、さすがに目に余る言い方をしすぎだ。
アナスタシア様は聞こえていらっしゃるのか?


満面の笑みを浮かべているアナスタシア様は店主に一言

ちなみに量は大盛りでお願いね?小袋分けなくて良いわ勿体無いから一つに混ぜちゃって♡」

語尾に♡が見えたのは私だけではないようで皆んなもぽかんとアナスタシア様を見ている。店主も心のどこかでばかにされていると思っていたのか私たち以上に顔が崩壊していた。店主の後ろに控えていた奥方が大笑いしており、芋を大量に油の海に落としていった。
いまかと今かとウキウキした表情で待っている。


「やっぱり美味しいわーこの味たまんない。私も練習しようかしら。」

むしゃむしゃ、咀嚼するアナスタシア様を高貴な方達は獣を見ているような目をしており、それ以外の方はアナスタシア様に習い、芋揚げを購入し始めていた。
この後学食のメニューにこれが追加されるほどの人気になった。

私は芋揚げに味が気になるが、もらっても良いものか悩んでいる。あんなに美味しそうに食べているものを数多くあるが忍びない…

私の視線に気づいたのか歩みを止めたアナスタシア様が私に袋ごと差し出してきた。

「食べますか?」

いいんですか?と思いながらも私の中では異物に近いものを受け取った。
どんな味がするのだろう…不安である。
一口海苔が付いている芋をもらい、口の中に入れた。

何!?このうまさ!!
アナスタシア様は随分前からこの味を知っているのか、顔を近づけて私の表情を見て「美味いみたいですね」にこりと笑った。
ズイズイと残りのものも私に渡してくる。止まらない旨さ。
これを考案したものは天才だ。
すごく美味しい。

私もすぐに芋揚げの屋台に並ぶ。受け取ったあと、アナスタシア様がニヤニヤしていた。

「アナスタシア様どこでこれを?」

「え?えっと…お父様と一度お忍びで領地に行ったときですわ…」

ギクシャクとした感じで返事をするアナスタシア様。
確かに、お忍びは危ない。だがこれに巡り会えたのは強運だ。
おほほほと顔を隠しながら笑うアナスタシア様。

そうだ!お忍びでデートするのは良いかもしれない!最近兄も騎士の格好をして、一人でお忍びで繁華街を楽しんでいると聞いた。
私も誘われていたが、アナスタシア様以外興味がなく断っていた。
田舎町コーデもきっとアナスタシア様なら着こなしができると思う。
今からでも提案しようか考えあぐねていると。

「Mック思い出すわ。そういえばあいつは元気かしら。」

物憂告に、アナスタシア様は、考えていた。
って誰だろう。
女性にいう言葉遣いではないしましてやアナスタシア様からそのうような言葉が出るのが意外であった。
相当仲が良いか気心しれている相手と思われる。
急にアナスタシア様がどこか遠いところに行きそうな不安と、嫉妬、悲しさが入り混じってしまい、大袋を抱えるアナスタシア様の腕を引っ張って私の胸の中で抱きしめた。

「えっ!アルバート様??どうされました?」

「どこか遠くに行きそうな気がして…」

アナスタシア様は誰にも渡したくない。
もし遠いところにお姿を隠されたら何年でも探し出す。
ついてきてと言われたら国なんて放っぽり出し、付いていく。

許されるならこの国で一緒の家で笑い合って生活したい。子供も何人か欲しい。
どうか私に捕まってください。

クスクス私の胸の中で笑うアナスタシア様がとても愛おしい。

「アルバート様はまだまだお子様ですね。どこにも行きませんわ。」

にこにこと機嫌の良いアナスタシア様を、見つめてまたぎゅーと抱きしめると「あっポテト潰れる…」
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