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1章 家族になろう
タヌキと家族になったみたい
しおりを挟む目覚ましが鳴る少し前に目が覚めた。
2度寝の誘惑に負けずにしっかり目を開く。
目の前には愛しのタヌキさんが寝ていて優しく頭を撫でる。
「みゅーみゅー。」
可愛い声に小さく笑ってお風呂に向かう。
湯船に浸かりながら昨日の事を思い出す。
「家族か。」
恥ずかしくなって笑ってしまう。
いや、本当に恥ずかしいわ、まー半分寝ぼけてたみたいだし朱花は覚えてないだろ。
それでいいんだ、俺だけ大事に覚えてるからさ。
「あたしも入るなうな。」
全裸の狸が風呂場に入って来た、美少女の姿で。
「!?」
驚いた俺は反射的にお湯の中に頭を突っ込む、俺は何も見てない何も見てない!
胸は決して大きくない、でも身体の全てが計算して作られたみたいに均整がとれてて綺麗で、綺麗で!
って、本当に入って来やがった!
俺の足の間に何かある!
くそっ、俺の肺活量ナメるなよ! すでに限界なんだぞ!
「ぶはっ!!なんでその姿なんだよ!!狸で来いよ!!」
想像以上に顔が近くにあって怯みながらもそれだけ言って目をそらす。
っていうか、胸見えてるんだよ!! 凄い白くて凄いピンクだし!
「なんで見ないなうか! こっち見るなうな!」
朱花が言いながら俺に手を伸ばしてくる、っていうか膝の上が柔らかいんだけど、俺の膝に座ってないか!?
「何意味わかんない事言ってんだよ!いいから一回狸になれよ!!」
思わず怒鳴ると朱花は手を引っ込めて、
「むーな!!家族になるって言ったなうのに!!バカなう!!」
弾ける様に狸の姿になると風呂場を飛び出した。
覚えてたのか。
「意味分かんないって。」
身体も拭かずに腰にタオルだけ巻いて後を追う。
狸は俺の服の山で丸くなってた。
「あのさ・・・、」
くそ、意味が分かんないからなんて言えばいいのか分からない。
「かじってやるみゅう!!」
ええ!! 牙を剥いて飛びかかってきやがった!
とっさの事に動けない俺、朱花の口がタオルを奪っていった。
「・・・なう!」
「・・・。」
時が止まる。
見られた、俺の大きくなったのが見られた。
「しか、仕方ないだろ!急に裸で迫って来られたから・・・。」
何を言ってるんだろ、俺は。
っていうか、ガッツリ見過ぎなんだよ!!
「俺、身体洗って来るから・・・どっかに行ったりしないでくれよ。」
本当はもっとちゃんと話をしないといけないのかもしれないけど、なんて言ったら良いのか分からなくて。
こんな事しか言えなくて。
1人静かに湯船に浸かり直す。
その筈だったけど俯いた狸が紛れ込んで来た。
「ほら。」
手を伸ばすと舐めてくるから、持ち上げてお風呂に入れてやる。
「一緒に入るみゅう、家族だからみゅーみゅう。」
「そうだな、家族だもんな。さっきは悪かった。」
やっぱり朱花は可愛くて俺は大切だと確認しながら頭を撫でる。
「みゅう。」
「でも、風呂は狸の姿だけな。」
「みゅー!家族なのにミャウ!」
「関係ないだろ!」
「みゅー!!」
睨んで来てもダメ、かっこ悪いなと思いながら俺はため息を吐く。
「仕方ないだろ、刺激が強すぎるんだよ。」
ホントかっこ悪い。
でも、本当にかわいくて綺麗で・・・あー! また大きくなった! せっかく大人しくなってたのに。
この後、朱花の身体を洗いながら思い出してまた大きくなった。
ううー~、もうかっこ悪すぎて消えたい。
仕事からの帰り俺の両手は荷物で塞がっていた。
炊飯器にフライパン、エトセトラ、要は調理器具一式だ。
今までは1人だから部屋で料理したりはしなかったんだけど・・・家族が一緒だから。
作ってみたいって思ったんだ、美味しいって喜ぶ顔がみたいなって。
「ただいま。」
「おかえりなう!見てみるなう!これが魔王油おじさんの真の姿なう!!」
嬉しそうに俺の目の前に突き出されたのは大きくなった俺のの絵だった。
リアルでそしてデカい。
なんでこういう絵だけ上手いんだよ!!
って凄いいっぱい描いてある!!
・・・こいつ、一日中俺のを描いてやがったな。
「なうな!衝撃的な魔王の姿!読者もきっと喜ぶなう!!」
はーもう、本当かわいいな。
純真な妖精の様だ。
「とりあえずもう二度と描いちゃダメ。」
「なんでなうな!!」
なんでって言われても・・・。
「とりあえずご飯作るから、片付けといて。」
「油おじさんが作るなうか?」
「うん、少し待っててな。」
「なうな。楽しみなう。」
小さい口を尖らせて嬉しそうに笑う。
ああ、本当に幸せをありがとう。
でも、その絵を壁に貼ろうとするのはやめて。
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