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1・堅物公爵令息ープロローグ
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俺はガイディス・ブレイトン。
ブレイトン公爵家の次男だ。
俺は幼い頃から「次男」だということを
常に言い聞かされて育った。
つまり、次期当主の兄の足を引っ張るな。
優秀な兄の補佐をしろ。
次期公爵の座を狙うな。
兄の縁談が決まるまでは結婚するな。
すべては公爵家のため。
次期当主の兄のため。
俺がこのようなことを
言い聞かされていることに
気が付いた兄は両親に憤った。
兄は俺に自由に
生きていいのだと言ってくれた。
だが、俺は両親の言いつけに
反する気は無かった。
公爵家を守ることは当たり前だし、
両親の期待を一心に背負い、
努力をしていた兄を
尊敬していたからだ。
次期当主になるために
寝る間も惜しんで努力する兄を
俺は支えたいと思っている。
それが無理でも、
せめて足を引っ張るような
真似はしないと心に誓っていた。
爵位を告げない次男以降の者は、
自力で食べていく必要がある。
文官になり城に勤めるか、
騎士になるか。
だから俺は貴族院を
卒業した後は
騎士団に入団した。
俺は兄よりも体格も良かったし、
剣の腕前にも自信があったからだ。
我がブレイトン公爵家は、
曾祖母が王家の姫だったとかで、
王家とも縁がある。
領地はさほど広くなく、
いつ枯れるかわからない
鉱山を所有しているぐらいで
自慢できるものは何もないが、
王家の姫が嫁いだという
威光は何年経っても消えないらしい。
まぁ、そんな理由から
俺の一族では王族の側近や
護衛騎士になる者も多かった。
実際俺も幼い頃から
顔見知りのだった2つ年上の
第二王子殿下から側近への
誘いも受けた。
ただ俺は騎士団に入ることを
決めていたし、
この第二王子殿下はなんというか、
軽い……いや、本心が掴めない方で
どちらかと言えば
苦手な方だったため、
その誘いは断った。
……のだが。
第二王子殿下は俺の返事を
「じゃあ、手が空いてる時だけでいいや」
と、笑って受け入れた。
そのせいかどうかはわからないが、
俺は周囲からは第二殿下の側近と
思われていて、騎士団にいても
「殿下が呼んでいる」と呼び出されては、
執務が辛い、婚約者が決まらない、と
愚痴を聞かされている。
騎士団とはそんなに甘い場所ではないのだが、
文官、騎士、城の重鎮たち、
『氷の悪魔』と評される騎士団長までも
この殿下の所業を黙認しているので
王族と言うのは多少の我が儘は
許されていると言うことだろう。
羨ましい限りだ。
ただ、この【殿下の側近】という
立場は、俺にとって僥倖だったこともある。
何故なら、美しい淑女たちの裏の顔を
目の当たりにすることができたからだ。
俺は殿下のそばで、
美しいドレスを着た令嬢たちの
恐ろしい戦いを見て来た。
それは「体が弱い儚げなご令嬢」が
殿下の前でなければ、
扇をバシバシ鳴らして
侍女たちを𠮟りつけているとか、
ご令嬢たちが笑顔で嫌味を言いながら
長いドレスの裾から足を伸ばして
気に入らない相手の足を
ひっかけようとしていたりとか。
表情と動作のちぐはぐさに、
俺は【女】と言うものが怖くなった。
もちろん、社交界では
感情を出さないのがルールだ。
感情を隠し、うわべだけでも
仲の良いふりをしながら
腹の中を探り合うのが普通だ。
だが。
ご令嬢たちは、腹の中を
探り合う前にすでに戦っている。
しかも笑顔で。
自分が欲しいものを手にするために
貪欲に、他者を蹴落とし、
淑女を演じて。
俺はご令嬢たちを見て、
結婚は無理だと思った。
怖すぎる。
だが、それを兄や第二王子殿下に
相談したのがまずかったのだろう。
俺が19歳になった時、
隣国の姫を紹介された。
明らかに政略結婚だと感じた。
姫は、俺か第二殿下のどちらかと
結婚する予定でこの国に
外交にやってきたのだと思った。
だから俺はできるだけ
殿下に姫を押し付けた。
のに。
のに、だ。
その日の夜、俺が殿下の
執務室の隣の部屋で
仮眠を取っていると部屋に誰かが
入ってくる気配がする。
殿下はまだ執務室にいる時間のはずだ。
そしてここは特別な者しか
入ることができない
王族のための宮だった。
俺は刺客だと思った。
息をひそめ、眠ったふりをして
すぐそばに置いてあった剣を握る。
「あらぁ、ほんとに仮眠してたのね」
そんな俺に、ねっとりとした女性の声がした。
「ふふ、私の誘いを断るものだから
殿下の護衛とか、仮眠とか
嘘だと思ったわ」
隣国の姫だ、と思った。
手に握った剣を俺はどうしていいか迷う。
切りつけるわけにはいかない。
俺が迷っている間も
姫は楽しそうに言葉を紡ぐ。
「寝てる間に、いただいちゃおうかしら。
姫の私が、寝てる間に奉仕してたなんて
気が付いたらどんな顔をするんでしょうね。
ふふふ。
考えただけでも、涎がでちゃうわ。
あの堅物の顔が、驚きと
羞恥にまみれるでしょうね。
でも、しょせんは男だもの。
強引にでも進めてしまえば、
快楽には逆らえないわ。
もちろん、姫である私にも」
じゅるり、と聞こえたのは
姫の涎でないことを俺は祈った。
怖い。
怖すぎる。
「堅物だって聞いてたし、
きっと初めてでしょうね。
優しくしてあげなくっちゃ。
優しく舐め上げて、
吸ってあげるわ。
でも痛みに堪える顔も
見てみたいから、歯を立てて
咬みついてあげようかしら」
クスクス笑う声に手が震える。
どんな相手にも心だけは
屈したことが無い俺が、
すでに心が恐怖で押しつぶされそうだった。
「ねぇ、堅物の公爵令息さま。
あなたの苦痛と快感に歪む
美しい顔を見せて……」
どんどん近づく声に
俺は冷たい汗を流した。
「キャ! な、なに!?」
だが、暗い部屋がいきなり
明るくなった。
驚いて剣を握ったまま
身体を起こすと、
多くの騎士達と第二王子殿下が
揃って姫を取り押さえている。
「やぁ、ごめんよ。
せっかくの仮眠の時間だったのに」
殿下は手早く騎士に指示をして
姫を連行していく。
「いやぁ、彼女の素行には
隣国の王家も手を焼いていたようでね。
僕が手を貸すことにしたんだよ」
「……俺を囮に使ったんですね」
それなら最初から話してくれれば……と思ったが、
「話をしてたら、女慣れしてない君は
挙動不審になってただろ?」という。
「それに君、私にあの姫を
押し付けようとしていたし」
ほんとは自分が囮になっても
良かったんだけどねー。
と笑った顔は、どうみても
「嫌がらせしてやったぜ」と喜ぶ
子どものような顔だった。
「まぁ、実害はなかったし、
隣国に大きな貸しも作れたし。
よかったでしょ」
と第二王子殿下はにこやかに笑ったが。
実害はあった。
俺はこの日を境に、
【不能】になってしまったのだ。
そう。不能だ。
あの姫の印象が強烈だったのだろう。
可愛い顔で舌なめずりをして
俺の男根を狙っていた姫の声に
俺は恐怖から勃起できない身体になってしまったのだ。
男としては屈辱的な症状だが、
これで縁談を持ち込まれることは
ないだろうと思い、俺はこのことを
家族と、第二王子殿下に伝えた。
殿下は責任を感じたようで
慌てて医者を寄越してくれたが、
俺の心に根強く残った恐怖を
取り払うことはできなかった。
そして俺は社交界で
『女嫌いの堅物令息』と呼ばれるようになった。
おかげでご令嬢たちからは遠巻きにされている。
ある日、父に「このままでいいのか?」と聞かれた。
恐らく、結婚の話をしているのかと思い、
俺は首を傾げる。
「俺は次期公爵家の当主である
兄を支えるための存在です。
結婚できない、もしくは
結婚しても子どもができる可能性が
全く無い今の俺の状態は、
当主争いが起こる危険性が無く、
父上にとっても一番良い状況なのでは?」
無理に婚約者を探す必要はないだろうと
示唆したつもりだったのだが、
父は何故か辛そうな顔をした。
だが、俺は平穏無事な日々に
満足をしている。
ましてや公表してないものの
不能の俺に来る縁談を
父が受けるわけがない。
俺は今のまま、
騎士を続けて生きていくのだ。
そう思っていた俺は約1年後、
思いもよらなかった人生を歩むようになる。
俺は妖精に出会ったのだ。
ブレイトン公爵家の次男だ。
俺は幼い頃から「次男」だということを
常に言い聞かされて育った。
つまり、次期当主の兄の足を引っ張るな。
優秀な兄の補佐をしろ。
次期公爵の座を狙うな。
兄の縁談が決まるまでは結婚するな。
すべては公爵家のため。
次期当主の兄のため。
俺がこのようなことを
言い聞かされていることに
気が付いた兄は両親に憤った。
兄は俺に自由に
生きていいのだと言ってくれた。
だが、俺は両親の言いつけに
反する気は無かった。
公爵家を守ることは当たり前だし、
両親の期待を一心に背負い、
努力をしていた兄を
尊敬していたからだ。
次期当主になるために
寝る間も惜しんで努力する兄を
俺は支えたいと思っている。
それが無理でも、
せめて足を引っ張るような
真似はしないと心に誓っていた。
爵位を告げない次男以降の者は、
自力で食べていく必要がある。
文官になり城に勤めるか、
騎士になるか。
だから俺は貴族院を
卒業した後は
騎士団に入団した。
俺は兄よりも体格も良かったし、
剣の腕前にも自信があったからだ。
我がブレイトン公爵家は、
曾祖母が王家の姫だったとかで、
王家とも縁がある。
領地はさほど広くなく、
いつ枯れるかわからない
鉱山を所有しているぐらいで
自慢できるものは何もないが、
王家の姫が嫁いだという
威光は何年経っても消えないらしい。
まぁ、そんな理由から
俺の一族では王族の側近や
護衛騎士になる者も多かった。
実際俺も幼い頃から
顔見知りのだった2つ年上の
第二王子殿下から側近への
誘いも受けた。
ただ俺は騎士団に入ることを
決めていたし、
この第二王子殿下はなんというか、
軽い……いや、本心が掴めない方で
どちらかと言えば
苦手な方だったため、
その誘いは断った。
……のだが。
第二王子殿下は俺の返事を
「じゃあ、手が空いてる時だけでいいや」
と、笑って受け入れた。
そのせいかどうかはわからないが、
俺は周囲からは第二殿下の側近と
思われていて、騎士団にいても
「殿下が呼んでいる」と呼び出されては、
執務が辛い、婚約者が決まらない、と
愚痴を聞かされている。
騎士団とはそんなに甘い場所ではないのだが、
文官、騎士、城の重鎮たち、
『氷の悪魔』と評される騎士団長までも
この殿下の所業を黙認しているので
王族と言うのは多少の我が儘は
許されていると言うことだろう。
羨ましい限りだ。
ただ、この【殿下の側近】という
立場は、俺にとって僥倖だったこともある。
何故なら、美しい淑女たちの裏の顔を
目の当たりにすることができたからだ。
俺は殿下のそばで、
美しいドレスを着た令嬢たちの
恐ろしい戦いを見て来た。
それは「体が弱い儚げなご令嬢」が
殿下の前でなければ、
扇をバシバシ鳴らして
侍女たちを𠮟りつけているとか、
ご令嬢たちが笑顔で嫌味を言いながら
長いドレスの裾から足を伸ばして
気に入らない相手の足を
ひっかけようとしていたりとか。
表情と動作のちぐはぐさに、
俺は【女】と言うものが怖くなった。
もちろん、社交界では
感情を出さないのがルールだ。
感情を隠し、うわべだけでも
仲の良いふりをしながら
腹の中を探り合うのが普通だ。
だが。
ご令嬢たちは、腹の中を
探り合う前にすでに戦っている。
しかも笑顔で。
自分が欲しいものを手にするために
貪欲に、他者を蹴落とし、
淑女を演じて。
俺はご令嬢たちを見て、
結婚は無理だと思った。
怖すぎる。
だが、それを兄や第二王子殿下に
相談したのがまずかったのだろう。
俺が19歳になった時、
隣国の姫を紹介された。
明らかに政略結婚だと感じた。
姫は、俺か第二殿下のどちらかと
結婚する予定でこの国に
外交にやってきたのだと思った。
だから俺はできるだけ
殿下に姫を押し付けた。
のに。
のに、だ。
その日の夜、俺が殿下の
執務室の隣の部屋で
仮眠を取っていると部屋に誰かが
入ってくる気配がする。
殿下はまだ執務室にいる時間のはずだ。
そしてここは特別な者しか
入ることができない
王族のための宮だった。
俺は刺客だと思った。
息をひそめ、眠ったふりをして
すぐそばに置いてあった剣を握る。
「あらぁ、ほんとに仮眠してたのね」
そんな俺に、ねっとりとした女性の声がした。
「ふふ、私の誘いを断るものだから
殿下の護衛とか、仮眠とか
嘘だと思ったわ」
隣国の姫だ、と思った。
手に握った剣を俺はどうしていいか迷う。
切りつけるわけにはいかない。
俺が迷っている間も
姫は楽しそうに言葉を紡ぐ。
「寝てる間に、いただいちゃおうかしら。
姫の私が、寝てる間に奉仕してたなんて
気が付いたらどんな顔をするんでしょうね。
ふふふ。
考えただけでも、涎がでちゃうわ。
あの堅物の顔が、驚きと
羞恥にまみれるでしょうね。
でも、しょせんは男だもの。
強引にでも進めてしまえば、
快楽には逆らえないわ。
もちろん、姫である私にも」
じゅるり、と聞こえたのは
姫の涎でないことを俺は祈った。
怖い。
怖すぎる。
「堅物だって聞いてたし、
きっと初めてでしょうね。
優しくしてあげなくっちゃ。
優しく舐め上げて、
吸ってあげるわ。
でも痛みに堪える顔も
見てみたいから、歯を立てて
咬みついてあげようかしら」
クスクス笑う声に手が震える。
どんな相手にも心だけは
屈したことが無い俺が、
すでに心が恐怖で押しつぶされそうだった。
「ねぇ、堅物の公爵令息さま。
あなたの苦痛と快感に歪む
美しい顔を見せて……」
どんどん近づく声に
俺は冷たい汗を流した。
「キャ! な、なに!?」
だが、暗い部屋がいきなり
明るくなった。
驚いて剣を握ったまま
身体を起こすと、
多くの騎士達と第二王子殿下が
揃って姫を取り押さえている。
「やぁ、ごめんよ。
せっかくの仮眠の時間だったのに」
殿下は手早く騎士に指示をして
姫を連行していく。
「いやぁ、彼女の素行には
隣国の王家も手を焼いていたようでね。
僕が手を貸すことにしたんだよ」
「……俺を囮に使ったんですね」
それなら最初から話してくれれば……と思ったが、
「話をしてたら、女慣れしてない君は
挙動不審になってただろ?」という。
「それに君、私にあの姫を
押し付けようとしていたし」
ほんとは自分が囮になっても
良かったんだけどねー。
と笑った顔は、どうみても
「嫌がらせしてやったぜ」と喜ぶ
子どものような顔だった。
「まぁ、実害はなかったし、
隣国に大きな貸しも作れたし。
よかったでしょ」
と第二王子殿下はにこやかに笑ったが。
実害はあった。
俺はこの日を境に、
【不能】になってしまったのだ。
そう。不能だ。
あの姫の印象が強烈だったのだろう。
可愛い顔で舌なめずりをして
俺の男根を狙っていた姫の声に
俺は恐怖から勃起できない身体になってしまったのだ。
男としては屈辱的な症状だが、
これで縁談を持ち込まれることは
ないだろうと思い、俺はこのことを
家族と、第二王子殿下に伝えた。
殿下は責任を感じたようで
慌てて医者を寄越してくれたが、
俺の心に根強く残った恐怖を
取り払うことはできなかった。
そして俺は社交界で
『女嫌いの堅物令息』と呼ばれるようになった。
おかげでご令嬢たちからは遠巻きにされている。
ある日、父に「このままでいいのか?」と聞かれた。
恐らく、結婚の話をしているのかと思い、
俺は首を傾げる。
「俺は次期公爵家の当主である
兄を支えるための存在です。
結婚できない、もしくは
結婚しても子どもができる可能性が
全く無い今の俺の状態は、
当主争いが起こる危険性が無く、
父上にとっても一番良い状況なのでは?」
無理に婚約者を探す必要はないだろうと
示唆したつもりだったのだが、
父は何故か辛そうな顔をした。
だが、俺は平穏無事な日々に
満足をしている。
ましてや公表してないものの
不能の俺に来る縁談を
父が受けるわけがない。
俺は今のまま、
騎士を続けて生きていくのだ。
そう思っていた俺は約1年後、
思いもよらなかった人生を歩むようになる。
俺は妖精に出会ったのだ。
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