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2・10歳の僕と家族
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バーンズ侯爵家には天使が隠れているらしい。
そんな噂があると僕は両親から聞いた。
父も母もクスクス笑いながら僕にその話をしたので
僕はその日からこっそり屋敷の中を探索することにした。
けれど、僕は生まれた時から体が弱くて、
自分の部屋と、食堂と、兄と両親の部屋にしか行ったことが無い。
僕が部屋を出ると言うと、僕の専属侍女のアンナが
いつ僕が倒れても良いようにクッションを持って
後ろからついて来る。
以前、庭に出たいと我が儘を言った時、
庭に出るまでに疲れてしまって、
結局サロンで横になってしまったのだ。
あの事件から家族や使用人たちの
僕に対する過保護が深まったと思う。
そんな病弱で役立たずの僕の名前はエレミアス。
バーンズ侯爵家の次男だ。
年の離れた兄は騎士団に勤めている。
兄の名はフェルナンド。
長男なのに、騎士になってからは、
どんどん出世してるらしい。
侍女たちの話では、兄は物凄く強くて
あと数年も経てば、最年少記録で
騎士団長になるんじゃないか、って言われているらしい。
父はバーンズ侯爵家の当主だが
僕の母は後妻だ。
つまり、兄と僕は異母兄弟になる。
僕が生まれた時は
すでに兄は18歳で成人を
迎えていたから、
僕のことは弟と言うより、
息子のように思っていると思う。
僕を両親と一緒になって
本当に過保護にたいそう甘やかして
育ててくれている。
母は元々、バーンズ侯爵家の
遠縁にあたる伯爵家の娘で、
この家に侍女として
勤めていたところ、
父に見初められたらしい。
先妻は兄が幼いころに
病で亡くなっていたらしく、
以前のバーンズ侯爵家は
女主人がいないせいで、
暗い空気が漂っていたらしい。
年若い母が奉公に来た途端、
「こんな家では、ぼっちゃまに
良い縁談なんて来ませんわ」と
父に言い放ったらしい。
周囲は不敬だのなんだのと
大慌てだったらしいが、
父は自分に強気で発言する母が
たいそう気に入ったらしい。
そこで母の助言を聞き、
屋敷を改装したり、
一人息子の教育に力を入れたり。
そうしているうちに
二人の間に愛が芽生え、
兄が貴族院を卒業したのを機に
正式に籍を入れたのだとか。
そしてすぐに僕が生まれたのだから
二人がどれだけ愛し合ってたのか
わかるというものだ。
兄も幼いころから
そばにいてくれた母が、
侍女から母親になることに
抵抗もなく、僕が生まれたことを
本当に喜んでくれたようだ。
兄は物凄く僕を可愛がってくれる。
忙しくても、僕の話は必ず聞いてくれるし、
悩んだ時だって、兄に話をして
解決できないことは何もない。
そして父も優秀らしく、
お城で宰相をしているらしい。
つまり父も兄も優秀で、
半分しか血がつながってない僕は
病弱なできそこないなのだ。
そんなことを言うと、母が悲しむから
もちろん言わないけれど。
母は……なんというか、
大雑把で、力強くて、考えるより
口が出るタイプなんだと思う。
僕の身体が弱いことがわかったとき、
医者に向かって言った言葉は
「この子が一生元気に生きていけるために
必要なお金はいくらですか?」だったそうだ。
父がこの話を「こんなに前向きで、
力強い妻を娶れて幸せだ」みたいな美談で
僕に話をしてくれたけど。
僕はその「お金」は何に対してのお金だったのか、疑問しかない。
治療費のつもりだったのか、僕の衣食住のお金だったのか。
何にせよ、病気ではなく、身体が弱いだけなので、
そんなこと言われた医者も返答に困っただろう。
しかも、何故お金?
もっと違うことを聞けばいいのに。
そんな母はいつも僕を抱きしめて
「大好きよ、私の可愛いエレ」という。
それは嬉しい。
でも、母はどんなに僕のことを
「大好きよ」と言っても、
夜は一緒に寝てくれない。
母は父と一緒に寝るからダメだという。
夜は急に不安になったり
怖くなったりする。
部屋は真っ暗だし、
本に出てくるお化けは
たいてい夜にでてくるからだ。
そんな時、僕はいつも
兄の部屋に行く。
兄はいつでも僕を出迎えてくれて
いつだって一緒にベットに入ってくれた。
僕は兄が大好きで、
優秀な兄のことを誰よりも信頼していた。
だから僕は「侯爵家の天使」の話を
兄にすることにしたんだ。
僕は今日はお休みだという兄の部屋を
僕は朝から突撃した。
白いシャツにスラックス姿の兄は
蒼い目を細めて、おいで、と両手を広げてくれる。
僕が迷わず兄の胸に飛び込むと、
兄は僕の身体を抱き上げた。
「エレは大きくなったな」
「兄さま、おとといも同じことを言いましたよ」
抱っこされたまま僕は兄に連れられ
庭に近いサロンのソファーに下ろされた。
兄が僕の隣に座ると、
すぐにアンナがお茶の準備をする。
テーブルには小さなクッキーと
サンドイッチが置かれた。
朝食の代わりだと思う。
僕は朝は食が細くてあまり食べないのだけれど、
なにか口に入れるべきだとアンナが言うので
いつもちょっとだけ用意してもらうのだ。
執事のセバスチャンがすぐにやってきて
兄に両親のことを告げる。
「はぁ、あの二人はまた領地にこもる気か」
兄はため息をついた。
そうなのだ。
父は僕が10歳になったら
母と二人で領地に引きこもりたいと
いつも言っている。
そして仕事が休みになると、
母を連れてその準備だと言っては
何日も戻ってこない。
「あの二人はいつまで新婚気分なんだ」
「旦那様は、そろそろフェルナンド様に
家督を譲りたいと」
「そんな簡単にできるわけがないだろう。
まったく。
エレが成人するまで、
せめてあと6年は絶対にダメだ」
そう言って、兄は僕の身体を抱き上げ
膝に乗せた。
「俺が家督を継いでも構わないが、
若輩者の俺が当主であるより、
父が当主であった方がエレの為にも良い。
エレが成人して社交界デビュー……
いや、婚約者を決めるまでは
父に当主でいてもらわねば」
後ろからぎゅうと抱きしめられる。
「まぁ、いい。
エレは私が幸せにすればいいだけだ」
耳元で言われ、僕はくすぐったい。
「兄さま、僕はすでに幸せですよ」
何もできない役立たずなのに、
こうして愛されている。
「嬉しいが、まだまだだ。
エレには世界一幸せに
なってもらわなければな。
……父はすっかり色恋ボケになったが
心配しなくてもいい。
エレには俺がいる」
抱きしめられた後は、
よしよしと頭を撫でられた。
それから、あーん、と
クッキーを口に入れられる。
「エレ、食欲は無くても
少しは食べなさい」
兄にそう言われると
僕は頷くしかない。
僕はもぐもぐしながら、
「兄さま、僕は天使を探したいのです」
と思っていたことを口に出した。
「天使?」
「はい。きっとこの屋敷の
どこかに隠れ住んでいるのです。
僕はあまり沢山歩けないから
兄さま、一緒に探してください」
ダメですか?
と下から兄を見上げると、
兄は優しい顔をした。
「エレの頼みは何でも
聞いてあげたいところだが……」
そう言って兄は僕の頭をなでなでする。
「残念だが、天使は探しても見つからないぞ」
「どうして?」
「天使はここにいるからな」
僕が首をかしげると、
兄は声を殺したように笑う。
「おそらくだが、
社交界で噂されてる
侯爵家の天使というのは、
エレのことだ」
「え? 僕?」
僕は驚いた。
「あぁ、エレはお披露目もしてないからな。
世間ではエレが本当に実在しているのか、
それとも天使なのかわからないのだろう」
兄は言う。
僕は体が弱かったから
お披露目会どころか
誕生日会も家族としかしたことがない。
貴族の子どもは通常、
5歳になったら
同じ派閥の子どもや、
縁付きたい子どもたちを集めて
お披露目会を開いて、
親睦を図るらしい。
たいていはそこで友達を作り、
貴族院に入学する頃までに
高位貴族の子息は側近候補や
婚約者候補を探すのだとか。
でも僕はお披露目会をしていないので
僕には友だちがいない。
寂しいけれど、僕はまだ
沢山の人が集まっている場所に
行ったことが無い。
お医者さんがダメだというから
我慢している。
14歳になって貴族院に通う頃には
元気になると言われているから
それまでの我慢なのだ。
「そうだったんですね」
僕はものすごく残念な気持ちになった。
「エレは天使と会えたらどうするつもりだったんだ?」
「お友達になってもらおうと思いました」
僕はこの屋敷から出れないから、
それなら屋敷に隠れ住んでいる天使と
友だちになれたら素敵だと思ったのだ。
でも、まさかそれが自分のことだったなんて……。
兄は僕の言葉を聞いて、また頭を撫でてくれた。
「そうか。
では、エレに図書室を利用できるよう
父にお願いをしておこう」
「図書室?」
「あぁ、エレは本が好きだろう?
天使はいないが、そこで
好きな本を読むと良い。
今までは家庭教師が勧める本ばかり
読んでいたと思うが、
エレも自分で何かを選ぶ練習を
しても良いころだろう」
その言葉に僕は嬉しくなった。
「ただし、行くのは体調が良い時だけだ」
「はい、兄さま」
僕が元気よく返事をすると、
兄様は「良い子だ」と僕の頭にキスをした。
そんな噂があると僕は両親から聞いた。
父も母もクスクス笑いながら僕にその話をしたので
僕はその日からこっそり屋敷の中を探索することにした。
けれど、僕は生まれた時から体が弱くて、
自分の部屋と、食堂と、兄と両親の部屋にしか行ったことが無い。
僕が部屋を出ると言うと、僕の専属侍女のアンナが
いつ僕が倒れても良いようにクッションを持って
後ろからついて来る。
以前、庭に出たいと我が儘を言った時、
庭に出るまでに疲れてしまって、
結局サロンで横になってしまったのだ。
あの事件から家族や使用人たちの
僕に対する過保護が深まったと思う。
そんな病弱で役立たずの僕の名前はエレミアス。
バーンズ侯爵家の次男だ。
年の離れた兄は騎士団に勤めている。
兄の名はフェルナンド。
長男なのに、騎士になってからは、
どんどん出世してるらしい。
侍女たちの話では、兄は物凄く強くて
あと数年も経てば、最年少記録で
騎士団長になるんじゃないか、って言われているらしい。
父はバーンズ侯爵家の当主だが
僕の母は後妻だ。
つまり、兄と僕は異母兄弟になる。
僕が生まれた時は
すでに兄は18歳で成人を
迎えていたから、
僕のことは弟と言うより、
息子のように思っていると思う。
僕を両親と一緒になって
本当に過保護にたいそう甘やかして
育ててくれている。
母は元々、バーンズ侯爵家の
遠縁にあたる伯爵家の娘で、
この家に侍女として
勤めていたところ、
父に見初められたらしい。
先妻は兄が幼いころに
病で亡くなっていたらしく、
以前のバーンズ侯爵家は
女主人がいないせいで、
暗い空気が漂っていたらしい。
年若い母が奉公に来た途端、
「こんな家では、ぼっちゃまに
良い縁談なんて来ませんわ」と
父に言い放ったらしい。
周囲は不敬だのなんだのと
大慌てだったらしいが、
父は自分に強気で発言する母が
たいそう気に入ったらしい。
そこで母の助言を聞き、
屋敷を改装したり、
一人息子の教育に力を入れたり。
そうしているうちに
二人の間に愛が芽生え、
兄が貴族院を卒業したのを機に
正式に籍を入れたのだとか。
そしてすぐに僕が生まれたのだから
二人がどれだけ愛し合ってたのか
わかるというものだ。
兄も幼いころから
そばにいてくれた母が、
侍女から母親になることに
抵抗もなく、僕が生まれたことを
本当に喜んでくれたようだ。
兄は物凄く僕を可愛がってくれる。
忙しくても、僕の話は必ず聞いてくれるし、
悩んだ時だって、兄に話をして
解決できないことは何もない。
そして父も優秀らしく、
お城で宰相をしているらしい。
つまり父も兄も優秀で、
半分しか血がつながってない僕は
病弱なできそこないなのだ。
そんなことを言うと、母が悲しむから
もちろん言わないけれど。
母は……なんというか、
大雑把で、力強くて、考えるより
口が出るタイプなんだと思う。
僕の身体が弱いことがわかったとき、
医者に向かって言った言葉は
「この子が一生元気に生きていけるために
必要なお金はいくらですか?」だったそうだ。
父がこの話を「こんなに前向きで、
力強い妻を娶れて幸せだ」みたいな美談で
僕に話をしてくれたけど。
僕はその「お金」は何に対してのお金だったのか、疑問しかない。
治療費のつもりだったのか、僕の衣食住のお金だったのか。
何にせよ、病気ではなく、身体が弱いだけなので、
そんなこと言われた医者も返答に困っただろう。
しかも、何故お金?
もっと違うことを聞けばいいのに。
そんな母はいつも僕を抱きしめて
「大好きよ、私の可愛いエレ」という。
それは嬉しい。
でも、母はどんなに僕のことを
「大好きよ」と言っても、
夜は一緒に寝てくれない。
母は父と一緒に寝るからダメだという。
夜は急に不安になったり
怖くなったりする。
部屋は真っ暗だし、
本に出てくるお化けは
たいてい夜にでてくるからだ。
そんな時、僕はいつも
兄の部屋に行く。
兄はいつでも僕を出迎えてくれて
いつだって一緒にベットに入ってくれた。
僕は兄が大好きで、
優秀な兄のことを誰よりも信頼していた。
だから僕は「侯爵家の天使」の話を
兄にすることにしたんだ。
僕は今日はお休みだという兄の部屋を
僕は朝から突撃した。
白いシャツにスラックス姿の兄は
蒼い目を細めて、おいで、と両手を広げてくれる。
僕が迷わず兄の胸に飛び込むと、
兄は僕の身体を抱き上げた。
「エレは大きくなったな」
「兄さま、おとといも同じことを言いましたよ」
抱っこされたまま僕は兄に連れられ
庭に近いサロンのソファーに下ろされた。
兄が僕の隣に座ると、
すぐにアンナがお茶の準備をする。
テーブルには小さなクッキーと
サンドイッチが置かれた。
朝食の代わりだと思う。
僕は朝は食が細くてあまり食べないのだけれど、
なにか口に入れるべきだとアンナが言うので
いつもちょっとだけ用意してもらうのだ。
執事のセバスチャンがすぐにやってきて
兄に両親のことを告げる。
「はぁ、あの二人はまた領地にこもる気か」
兄はため息をついた。
そうなのだ。
父は僕が10歳になったら
母と二人で領地に引きこもりたいと
いつも言っている。
そして仕事が休みになると、
母を連れてその準備だと言っては
何日も戻ってこない。
「あの二人はいつまで新婚気分なんだ」
「旦那様は、そろそろフェルナンド様に
家督を譲りたいと」
「そんな簡単にできるわけがないだろう。
まったく。
エレが成人するまで、
せめてあと6年は絶対にダメだ」
そう言って、兄は僕の身体を抱き上げ
膝に乗せた。
「俺が家督を継いでも構わないが、
若輩者の俺が当主であるより、
父が当主であった方がエレの為にも良い。
エレが成人して社交界デビュー……
いや、婚約者を決めるまでは
父に当主でいてもらわねば」
後ろからぎゅうと抱きしめられる。
「まぁ、いい。
エレは私が幸せにすればいいだけだ」
耳元で言われ、僕はくすぐったい。
「兄さま、僕はすでに幸せですよ」
何もできない役立たずなのに、
こうして愛されている。
「嬉しいが、まだまだだ。
エレには世界一幸せに
なってもらわなければな。
……父はすっかり色恋ボケになったが
心配しなくてもいい。
エレには俺がいる」
抱きしめられた後は、
よしよしと頭を撫でられた。
それから、あーん、と
クッキーを口に入れられる。
「エレ、食欲は無くても
少しは食べなさい」
兄にそう言われると
僕は頷くしかない。
僕はもぐもぐしながら、
「兄さま、僕は天使を探したいのです」
と思っていたことを口に出した。
「天使?」
「はい。きっとこの屋敷の
どこかに隠れ住んでいるのです。
僕はあまり沢山歩けないから
兄さま、一緒に探してください」
ダメですか?
と下から兄を見上げると、
兄は優しい顔をした。
「エレの頼みは何でも
聞いてあげたいところだが……」
そう言って兄は僕の頭をなでなでする。
「残念だが、天使は探しても見つからないぞ」
「どうして?」
「天使はここにいるからな」
僕が首をかしげると、
兄は声を殺したように笑う。
「おそらくだが、
社交界で噂されてる
侯爵家の天使というのは、
エレのことだ」
「え? 僕?」
僕は驚いた。
「あぁ、エレはお披露目もしてないからな。
世間ではエレが本当に実在しているのか、
それとも天使なのかわからないのだろう」
兄は言う。
僕は体が弱かったから
お披露目会どころか
誕生日会も家族としかしたことがない。
貴族の子どもは通常、
5歳になったら
同じ派閥の子どもや、
縁付きたい子どもたちを集めて
お披露目会を開いて、
親睦を図るらしい。
たいていはそこで友達を作り、
貴族院に入学する頃までに
高位貴族の子息は側近候補や
婚約者候補を探すのだとか。
でも僕はお披露目会をしていないので
僕には友だちがいない。
寂しいけれど、僕はまだ
沢山の人が集まっている場所に
行ったことが無い。
お医者さんがダメだというから
我慢している。
14歳になって貴族院に通う頃には
元気になると言われているから
それまでの我慢なのだ。
「そうだったんですね」
僕はものすごく残念な気持ちになった。
「エレは天使と会えたらどうするつもりだったんだ?」
「お友達になってもらおうと思いました」
僕はこの屋敷から出れないから、
それなら屋敷に隠れ住んでいる天使と
友だちになれたら素敵だと思ったのだ。
でも、まさかそれが自分のことだったなんて……。
兄は僕の言葉を聞いて、また頭を撫でてくれた。
「そうか。
では、エレに図書室を利用できるよう
父にお願いをしておこう」
「図書室?」
「あぁ、エレは本が好きだろう?
天使はいないが、そこで
好きな本を読むと良い。
今までは家庭教師が勧める本ばかり
読んでいたと思うが、
エレも自分で何かを選ぶ練習を
しても良いころだろう」
その言葉に僕は嬉しくなった。
「ただし、行くのは体調が良い時だけだ」
「はい、兄さま」
僕が元気よく返事をすると、
兄様は「良い子だ」と僕の頭にキスをした。
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