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69:王女様のわがまま
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僕は空気が動く気配を感じて目を開けた。
「すまない、
起こしてしまったか?」
「ガイ?」
僕の顔を覗き込んでいるガイが
すぐ目の前にいる。
そうだ。
ガイを待ってる間に
ソファーで眠っちゃったんだ。
僕が慌てて起き上がると、
大きな上着が僕の
体にかけてある。
ガイの上着だ。
「ごめんね、
お出迎えしたかったのに
眠っちゃった」
僕はお礼を言って
ガイに上着を返す。
ガイは僕の隣に座ると
「構わない」と僕の髪を撫でた。
「友達が遊びに来ていたらしいな。
はしゃいで、疲れたんだろう」
「うん、あのね、
僕、友達を呼ぶなんて
初めてだったんだ。
でもすっごく楽しかった」
僕は3人でおしゃべりして、
チェスをしたんだ、と
ガイに話をする。
「ライリーはね、
ものすごくチェスが
強いんだよ。
僕とサイラスが一緒に
対戦したのに、
一度も勝てなかったんだ」
「そうか、
それはかなり強そうだな」
「うん。
そうだ、ガイはチェスをする?」
「チェスか……
あまり得意ではないが」
「じゃあさ、
今度僕と一緒にやろう!」
沢山対戦して、
僕も強くなりたい。
僕がそういうと
ガイは快くうなずいてくれた。
ただし、
ルールは理解しているけど
実際にはあまりやったことがないらしい。
僕もそうだ。
僕はチェスを父と兄に
教わったけれど、
二人とも僕と本気の対戦はしなかった。
いつも僕に教えながら
チェスの駒を動かして、
対戦っぽくなったら、
必ず僕を勝たせてくれる。
それは勝てるから嬉しいけれど。
でも僕は、自分の実力で
勝っていくような、
今日みたいなチェスが
ずっとしたかったんだ。
ガイにそう言ってみると
「悔しいって気持ちは
強くなるために必要だからな」
って言ってくれた。
「ガイも悔しい思いをしてた?」
「あぁ、何度もな」
ガイでも悔しい思いを
して努力したんだったら、
僕はこれから、もっと
悔しい思いをするかもしれない。
でも嫌じゃない。
だって僕がどんどん
強くなっていくってことだから。
「そうだ、兄様がね。
婚約式が決まったって」
僕はそうだ、って
ガイの腕を掴む。
「王宮でやるってほんと?」
僕が聞くと、ガイは困った顔をした。
「なんで?
王宮って、そんなに
簡単に借りれるものなの?」
「簡単ではないが」
ガイは言葉を濁し、
はぁ、と息を吐く。
「騎士団に見学した時、
エレが出会ったと
言っていた女性を覚えてるか?」
「うん、綺麗なお姉さん」
「あの人はな、
隣国の姫様で、
王太子殿下の婚約者なんだ」
知ってる、って思って
僕はうなずいた。
「そんでその姫様がな
エレのことを気に入ったらしい」
「え?」
「王太子殿下と仲直りが
できたのはエレのおかげだと」
「ぼく、なんにもしてないよ?」
お茶を飲んだだけだ。
「そうかもしれないが、
お姫様はエレのおかげだと
そう言っているんだ。
そこでエレとお茶会をしたいと
王太子殿下にお願いをしたらしい」
「お茶会?
ぼく、そんなのできるかな」
作法とか、習ったし
本は読んだけど、
ちゃんとできるか自信がない。
「エレがそういうと
思ったらしくてな。
団長は断ったそうだ。
だが王太子殿下も
お姫様もどうしても、と
譲らなくてな」
「えっと、そこで陛下が……?」
「あぁ、それは聞いたのか。
そうだ。
国王陛下が間に入ってくださり、
茶会は無理なら、
俺たちの婚約式に出席すると
お姫様は言い出した」
僕は別に来てもらっても
いいけれど、と思ったら、
王族は警備が大変で、
簡単に王宮から出れないらしい。
「だから、お姫様たちが
王宮から出なくてもいいように、
僕たちの婚約式を
王宮ですることになったの?」
「そうだ。
しかも、通常、
王族が式典をするための
神聖教会を貸していただけるらしい」
「神聖教会?」
「あぁ、そこは王宮の中にある
教会なんだ。
王族は街の教会に
気軽にはいけないからな。
その教会で王族は
神に祈りを捧げたり、
今回みたいな婚約式など
神に関わる式を挙げるんだ」
……それって、
すごい場所なんじゃない?
「そんな場所、借りていいの?」
「いいもなにも、
陛下がそう言っているらしく
辞退は無理そうなんだ。
団長は式を挙げる場所が
普段は王族しか使用できない
権威ある神聖教会だと聞いて、
なんとか溜飲を下げたらしい。
そして俺の母は、
とにかく、楽しく元気に
張り切っている」
「えっと、どういう意味?」
兄は何に怒ってて、
ガイのお母さんは
なんで大張り切りなの?
「とにかく、すまない。
俺には団長と母の意向を
覆すことはできない。
それに俺もエレが
可愛く、美しく着飾った姿を
あの神聖教会でみんなに
知らしめたいと言う
思いを消すことができず……」
首をかしげる僕の前で
いきなりガイが跪く。
「俺のわがままだ。
すまない。
だが、神聖教会で、
エレの神々しい姿を見たい」
僕の手を取り、
ガイが懇願するように
僕を見上げる。
「きっと美しいと思う。
神聖教会は警備の時にしか
入ったことがないが、
天井のステンドグラスから
差し込む光は
ものすごく美しいんだ。
あの光の下にエレが
立つところを想像しただけで
俺は……」
「え、ちょ、ガイ?
どうしたの?
なんで震えてるの?
な、泣いてる?」
プルプル震えるガイに
僕は慌てて握られている
ガイの手を握り返した。
「大丈夫だよ。
僕はどこで式をしても
ガイと婚約できるんなら
気にしないよ」
「俺の母がはりきってるが
それも構わないか?」
「うん。
僕はしきたりとかわからないし。
僕の母様が領地から
来てくれるとは思うけど、
自分でどこまで準備できるか
わからないもの」
「そうか、助かる。
エレのご両親に関しては
団長が連絡を取っているはずだ」
そうなんだ。
そしたら久しぶりに
父様にも母様にも会えるかな。
そう思ったら、
なんだか、わくわくしてくる。
「そ、それと……」
ガイは顔を真っ赤にして
僕を見つめた。
「婚約式の後、
その、よかったら
ブレイトン公爵家の
保養地に来ないか?
日程的に、学院も
長期休暇に入るころだし、
その、なんというか……
……ふたりっきりに
なれる場所に……いきたい」
「ガイ? なあに?」
ガイの声がだんだん小さくなって
良く聞こえない。
「いや、だから、俺の
……別荘で……イチャイチャしたい……」
やっぱりよく聞こえない。
「えっと、僕、ガイの家の
別荘に招待してもらってる?」
「そ、そうだ!」
友達とのお泊り会!
小説で読んだことあるやつ!
「すごい、行きたい」
「そ、そうか、良かった」
「僕、兄様にお願いしてみる」
「ぁあ、そ、そ、そうだな。
……許可、もらえるだろうか」
「ガイ?」
「い、い、いや、
だ、だ、大丈夫だ。
団長には一緒にお願いしよう」
「うん!楽しみ」
って僕は笑顔になってしまったんだけど。
ガイは笑ったと思ったら、
苦しそうな顔になって、
また笑った。
えっと、ガイ?
大丈夫??
何が苦しいのかわからないけど
僕は握っていたガイの手を
両手でぎゅっとして、
「早く一緒に行きたいね」
って伝えた。
「すまない、
起こしてしまったか?」
「ガイ?」
僕の顔を覗き込んでいるガイが
すぐ目の前にいる。
そうだ。
ガイを待ってる間に
ソファーで眠っちゃったんだ。
僕が慌てて起き上がると、
大きな上着が僕の
体にかけてある。
ガイの上着だ。
「ごめんね、
お出迎えしたかったのに
眠っちゃった」
僕はお礼を言って
ガイに上着を返す。
ガイは僕の隣に座ると
「構わない」と僕の髪を撫でた。
「友達が遊びに来ていたらしいな。
はしゃいで、疲れたんだろう」
「うん、あのね、
僕、友達を呼ぶなんて
初めてだったんだ。
でもすっごく楽しかった」
僕は3人でおしゃべりして、
チェスをしたんだ、と
ガイに話をする。
「ライリーはね、
ものすごくチェスが
強いんだよ。
僕とサイラスが一緒に
対戦したのに、
一度も勝てなかったんだ」
「そうか、
それはかなり強そうだな」
「うん。
そうだ、ガイはチェスをする?」
「チェスか……
あまり得意ではないが」
「じゃあさ、
今度僕と一緒にやろう!」
沢山対戦して、
僕も強くなりたい。
僕がそういうと
ガイは快くうなずいてくれた。
ただし、
ルールは理解しているけど
実際にはあまりやったことがないらしい。
僕もそうだ。
僕はチェスを父と兄に
教わったけれど、
二人とも僕と本気の対戦はしなかった。
いつも僕に教えながら
チェスの駒を動かして、
対戦っぽくなったら、
必ず僕を勝たせてくれる。
それは勝てるから嬉しいけれど。
でも僕は、自分の実力で
勝っていくような、
今日みたいなチェスが
ずっとしたかったんだ。
ガイにそう言ってみると
「悔しいって気持ちは
強くなるために必要だからな」
って言ってくれた。
「ガイも悔しい思いをしてた?」
「あぁ、何度もな」
ガイでも悔しい思いを
して努力したんだったら、
僕はこれから、もっと
悔しい思いをするかもしれない。
でも嫌じゃない。
だって僕がどんどん
強くなっていくってことだから。
「そうだ、兄様がね。
婚約式が決まったって」
僕はそうだ、って
ガイの腕を掴む。
「王宮でやるってほんと?」
僕が聞くと、ガイは困った顔をした。
「なんで?
王宮って、そんなに
簡単に借りれるものなの?」
「簡単ではないが」
ガイは言葉を濁し、
はぁ、と息を吐く。
「騎士団に見学した時、
エレが出会ったと
言っていた女性を覚えてるか?」
「うん、綺麗なお姉さん」
「あの人はな、
隣国の姫様で、
王太子殿下の婚約者なんだ」
知ってる、って思って
僕はうなずいた。
「そんでその姫様がな
エレのことを気に入ったらしい」
「え?」
「王太子殿下と仲直りが
できたのはエレのおかげだと」
「ぼく、なんにもしてないよ?」
お茶を飲んだだけだ。
「そうかもしれないが、
お姫様はエレのおかげだと
そう言っているんだ。
そこでエレとお茶会をしたいと
王太子殿下にお願いをしたらしい」
「お茶会?
ぼく、そんなのできるかな」
作法とか、習ったし
本は読んだけど、
ちゃんとできるか自信がない。
「エレがそういうと
思ったらしくてな。
団長は断ったそうだ。
だが王太子殿下も
お姫様もどうしても、と
譲らなくてな」
「えっと、そこで陛下が……?」
「あぁ、それは聞いたのか。
そうだ。
国王陛下が間に入ってくださり、
茶会は無理なら、
俺たちの婚約式に出席すると
お姫様は言い出した」
僕は別に来てもらっても
いいけれど、と思ったら、
王族は警備が大変で、
簡単に王宮から出れないらしい。
「だから、お姫様たちが
王宮から出なくてもいいように、
僕たちの婚約式を
王宮ですることになったの?」
「そうだ。
しかも、通常、
王族が式典をするための
神聖教会を貸していただけるらしい」
「神聖教会?」
「あぁ、そこは王宮の中にある
教会なんだ。
王族は街の教会に
気軽にはいけないからな。
その教会で王族は
神に祈りを捧げたり、
今回みたいな婚約式など
神に関わる式を挙げるんだ」
……それって、
すごい場所なんじゃない?
「そんな場所、借りていいの?」
「いいもなにも、
陛下がそう言っているらしく
辞退は無理そうなんだ。
団長は式を挙げる場所が
普段は王族しか使用できない
権威ある神聖教会だと聞いて、
なんとか溜飲を下げたらしい。
そして俺の母は、
とにかく、楽しく元気に
張り切っている」
「えっと、どういう意味?」
兄は何に怒ってて、
ガイのお母さんは
なんで大張り切りなの?
「とにかく、すまない。
俺には団長と母の意向を
覆すことはできない。
それに俺もエレが
可愛く、美しく着飾った姿を
あの神聖教会でみんなに
知らしめたいと言う
思いを消すことができず……」
首をかしげる僕の前で
いきなりガイが跪く。
「俺のわがままだ。
すまない。
だが、神聖教会で、
エレの神々しい姿を見たい」
僕の手を取り、
ガイが懇願するように
僕を見上げる。
「きっと美しいと思う。
神聖教会は警備の時にしか
入ったことがないが、
天井のステンドグラスから
差し込む光は
ものすごく美しいんだ。
あの光の下にエレが
立つところを想像しただけで
俺は……」
「え、ちょ、ガイ?
どうしたの?
なんで震えてるの?
な、泣いてる?」
プルプル震えるガイに
僕は慌てて握られている
ガイの手を握り返した。
「大丈夫だよ。
僕はどこで式をしても
ガイと婚約できるんなら
気にしないよ」
「俺の母がはりきってるが
それも構わないか?」
「うん。
僕はしきたりとかわからないし。
僕の母様が領地から
来てくれるとは思うけど、
自分でどこまで準備できるか
わからないもの」
「そうか、助かる。
エレのご両親に関しては
団長が連絡を取っているはずだ」
そうなんだ。
そしたら久しぶりに
父様にも母様にも会えるかな。
そう思ったら、
なんだか、わくわくしてくる。
「そ、それと……」
ガイは顔を真っ赤にして
僕を見つめた。
「婚約式の後、
その、よかったら
ブレイトン公爵家の
保養地に来ないか?
日程的に、学院も
長期休暇に入るころだし、
その、なんというか……
……ふたりっきりに
なれる場所に……いきたい」
「ガイ? なあに?」
ガイの声がだんだん小さくなって
良く聞こえない。
「いや、だから、俺の
……別荘で……イチャイチャしたい……」
やっぱりよく聞こえない。
「えっと、僕、ガイの家の
別荘に招待してもらってる?」
「そ、そうだ!」
友達とのお泊り会!
小説で読んだことあるやつ!
「すごい、行きたい」
「そ、そうか、良かった」
「僕、兄様にお願いしてみる」
「ぁあ、そ、そ、そうだな。
……許可、もらえるだろうか」
「ガイ?」
「い、い、いや、
だ、だ、大丈夫だ。
団長には一緒にお願いしよう」
「うん!楽しみ」
って僕は笑顔になってしまったんだけど。
ガイは笑ったと思ったら、
苦しそうな顔になって、
また笑った。
えっと、ガイ?
大丈夫??
何が苦しいのかわからないけど
僕は握っていたガイの手を
両手でぎゅっとして、
「早く一緒に行きたいね」
って伝えた。
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