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68:遊びのあと
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ライリーとサイラスと
沢山おしゃべりした後、
僕たちはサロンで
チェスをした。
ライリーはチェスが
得意っていったけど、
本当に強かった。
逆にサイラスは
ルールがめんどくさくて
覚えられない、って言って、
僕とチームを組んだけど、
僕たちはライリーに
全く勝てなかった。
「すみません、エレ様、
僕ばかり勝ってしまって」
ってライリーが
申し訳なさそうに言う。
でもこれは勝負だし、
手加減されて勝っても
嬉しくないから、
これでいいんだ。
いいんだけど、
なんか、悔しい。
そう思って、
僕はライリーを見た。
僕、悔しい、って
思ったの、初めてな気がする。
僕は小さいころから
何かを頑張ったら
それだけで褒めてもらえた。
僕はいつもそれで
満足していたから、
結果なんて関係なかった。
でも今は、違う。
もっと強くなって
ライリーに勝ちたいって
僕は思ってる。
「ライリー、学校でも
僕とチェスしよう」
「構いませんが……」
「えー、エレ様、
チェスなんてされたら
俺、暇ー」
サイラスが文句を言う。
「暇……サイラスも
僕と一緒に、
チェスをやろうよ」
「でも俺、
ルールとか覚えられないし」
僕が思うに、サイラスは
覚えられないわけじゃ
ないと思う。
だって、チェスをする
僕のそばで、
「それは駒を取られそうだ」とか
アドバイスしてくれてたし。
興味を持ったら
ものすごく変わると思う。
「ルールは僕と一緒に
やってたらきっと
覚えられるよ。
ライリーもいるし。
それにチェスはね、
騎士団でも推奨されてるって
兄様が言ってたよ」
「騎士団で?」
「うん。
戦術とか戦略とか、
そういうのに役立つんだって」
「やる!
俺もやる!」
ってサイラスが手を挙げる。
僕とライリーは笑って
じゃあ、お昼休みか
放課後にやりましょう、って
約束をした。
次に学院に行くのが
楽しみになってきた。
ふと気が付くと、
サロンに差し込む光が
だいぶ少なくなってきた。
そう思ったとき、
部屋の照明が点く。
魔石が部屋の明るさを
感知して自動で
明るくなるように
設定されているんだ。
この屋敷は温度設定も
同じように魔石を
使った道具で管理している。
いきなり部屋の明かりが
点いたからか、
ライリーとサイラスは
驚いた声を出した。
僕が魔石の説明をしたら
二人は目を見開いている。
「わかってたし、
何度も言ってきたけど、
やっぱり言う。
言わせてくれ」
サイラスがそう言い、
こぶしを握る。
「やっぱり侯爵家ってすげえ」
これには、ライリーも
大きくうなずいている。
話を聞くと、
二人の家は油を入れた
ランプで明かりを灯しているらしい。
ランプ!
僕は見たことがない。
本で読んだことはあるけど、
兄に見てみたいと言ったら、
火が危ないからダメだと
言われてしまったんだ。
「いいなぁ、ランプ」
「俺は魔石の方がいいけどな」
「みんな、ないものねだりですね」
ってライリーが言い、
僕たちは顔を見合わせて笑った。
「にぎやかだな」
軽く扉をたたく音がした。
使用人たちは僕が呼ぶまで
サロンには来ないはずだったけど。
「兄様」
兄は別だ。
ラグの上に座っていた
ライリーとサイラスが
驚くほど素早く
立ち上がって
兄に頭を下げる。
「兄様、僕の友達の
ライリーとサイラスだよ」
「あぁ、知っている。
二人とも、エレミアスと
仲良くしてくれているようだな」
二人は兄に名前を名乗ろうと
していたみたいだけど、
兄がすぐに言葉を続けたので、
何も言わずにうなずく。
「これからも頼んだぞ」
「はい」
「もちろんです」
って二人が返事をすると
兄は満足そうにうなずいた。
「エレ、お前の婚約式の
日取りが決まった」
「僕の? ガイと?」
「そうだ。
場所は王宮ですることになった」
「「「え?」」」
僕たちの言葉が重なった。
「そこの友人たちも
来てもらえばいい。
招待状の手配をしておこう」
「兄様、なんで王宮……?
僕とガイの婚約式なのに」
「殿下たちがお前と
茶会をしたいというから断った。
何度も打診されて
いい加減にしろと
怒鳴ってやったら、
婚約式の場を提供すると
陛下が言い出してな」
「殿下に怒鳴る……?」
「陛下が妥協案を出してくるっておかしくないか?」
ライリーとサイラスが
小さく何やらつぶやいている。
「仕方がないから、
提案に乗ってやることにした。
エレ、お前は何もしなくていい。
面倒なことは俺がしておく。
婚約式に呼ぶ友人は
その二人とロチェスター家の
ヴァレンティーナ嬢だけでいいな」
「うん、ありがとう兄様」
「このあと、ガイディスも
屋敷に来るだろう。
相手をしてやれ」
「ガイが来るの?」
「あぁ、婚約式の日が決まり
浮かれていたからな。
馬鹿な真似をしないよう
釘をさしてやれ」
意味がよくわからないけど
僕はうなずく。
「では、俺は着替えてくる。
友人たちは、遅くならないうちに
馬車を出すように」
それだけ言って、
兄はサロンを出て行く。
「まって、エレ様、
どういうことだ?
俺たち、王宮に呼ばれたってことか?」
「違うだろう、サイラス。
呼ばれたのは、エレ様の
婚約式で、会場が王宮なんだ」
「なんで?
会場が王宮って意味わかんねーぞ。
は?
俺、どうしたらいい?
服、服は何着ればいいんだ?」
「そんなの僕もわかんないよ。
王宮なんて、デビュタントで
1度行っただけだし。
あの時の服を着れば……?
いや、入るわけない、
あれから身長もかなり伸びたし」
兄がいなくなった途端。
二人が真っ青な顔で僕を見る。
「「エレ様!」」
「え、えっと?
婚約式、来てくれたら
嬉しいんだけど」
僕がそういうと、
二人は「気持ち的には行きたいです」
と、僕の前で膝をつく。
「ぼっちゃま」
そこにアンナがやってきた。
「兄君様が、お客人を
お送りするようにと」
「そうだね。
もう夕方だもんね」
「馬車の準備ができております」
アンナの言葉に
僕は二人を立ち上がらせた。
「えっと、僕に何が
できるかわかんないけど、
また学院で話をしよう?」
「そうですね」
「そうだな」
二人はうなずく。
「では、こちらへ」
とアンナが二人を促すので、
僕も二人と一緒に
玄関まで行く。
「二人とも、またね」
「ええ、次は学院で」
「楽しかったぜ。
うまかったし、ありがとな」
僕は二人を見送ったけれど、
まだ玄関にいる。
「ぼっちゃま?
どうされましたか?」
セバスチャンが聞いてくる。
「ガイがね、来てくれるんだって」
さっき兄が言っていた。
「どうせなら、
このままで迎えようかなって」
「いけません。
ここは寒うございます。
さぁ、お部屋かサロンへ
お戻りください」
強い口調で言われて
僕はひるんでしまう。
「またお熱を出されますと、
学院に行く日が遠きます」
確かに、って僕は思った。
兄は過保護だから、
このまま学院に行かないまま
長期休みに入る可能性も出てきてしまう。
「わかった。
じゃあ、サロンにいるから
ガイが来たらよろしくね」
「かしこまりました」
セバスチャンが頭を下げ、
アンナが僕を促す。
「ぼっちゃま、
サロンでお待ちの間、
本でもお持ち致しましょうか?」
「そうだね、お願い」
ティーナに新しく借りた
恋愛小説をまだ読み終えてなかった。
僕はアンナに小説を
取りに行ってもらうことにして、
さっきまで遊んでいた
サロンに一人で戻る。
友達と遊ぶのは
ものすごく楽しかったけれど。
楽しい時間は、
終わったら寂しくなるんだ。
と、気が付いて
僕はしんみりしてしまった。
沢山おしゃべりした後、
僕たちはサロンで
チェスをした。
ライリーはチェスが
得意っていったけど、
本当に強かった。
逆にサイラスは
ルールがめんどくさくて
覚えられない、って言って、
僕とチームを組んだけど、
僕たちはライリーに
全く勝てなかった。
「すみません、エレ様、
僕ばかり勝ってしまって」
ってライリーが
申し訳なさそうに言う。
でもこれは勝負だし、
手加減されて勝っても
嬉しくないから、
これでいいんだ。
いいんだけど、
なんか、悔しい。
そう思って、
僕はライリーを見た。
僕、悔しい、って
思ったの、初めてな気がする。
僕は小さいころから
何かを頑張ったら
それだけで褒めてもらえた。
僕はいつもそれで
満足していたから、
結果なんて関係なかった。
でも今は、違う。
もっと強くなって
ライリーに勝ちたいって
僕は思ってる。
「ライリー、学校でも
僕とチェスしよう」
「構いませんが……」
「えー、エレ様、
チェスなんてされたら
俺、暇ー」
サイラスが文句を言う。
「暇……サイラスも
僕と一緒に、
チェスをやろうよ」
「でも俺、
ルールとか覚えられないし」
僕が思うに、サイラスは
覚えられないわけじゃ
ないと思う。
だって、チェスをする
僕のそばで、
「それは駒を取られそうだ」とか
アドバイスしてくれてたし。
興味を持ったら
ものすごく変わると思う。
「ルールは僕と一緒に
やってたらきっと
覚えられるよ。
ライリーもいるし。
それにチェスはね、
騎士団でも推奨されてるって
兄様が言ってたよ」
「騎士団で?」
「うん。
戦術とか戦略とか、
そういうのに役立つんだって」
「やる!
俺もやる!」
ってサイラスが手を挙げる。
僕とライリーは笑って
じゃあ、お昼休みか
放課後にやりましょう、って
約束をした。
次に学院に行くのが
楽しみになってきた。
ふと気が付くと、
サロンに差し込む光が
だいぶ少なくなってきた。
そう思ったとき、
部屋の照明が点く。
魔石が部屋の明るさを
感知して自動で
明るくなるように
設定されているんだ。
この屋敷は温度設定も
同じように魔石を
使った道具で管理している。
いきなり部屋の明かりが
点いたからか、
ライリーとサイラスは
驚いた声を出した。
僕が魔石の説明をしたら
二人は目を見開いている。
「わかってたし、
何度も言ってきたけど、
やっぱり言う。
言わせてくれ」
サイラスがそう言い、
こぶしを握る。
「やっぱり侯爵家ってすげえ」
これには、ライリーも
大きくうなずいている。
話を聞くと、
二人の家は油を入れた
ランプで明かりを灯しているらしい。
ランプ!
僕は見たことがない。
本で読んだことはあるけど、
兄に見てみたいと言ったら、
火が危ないからダメだと
言われてしまったんだ。
「いいなぁ、ランプ」
「俺は魔石の方がいいけどな」
「みんな、ないものねだりですね」
ってライリーが言い、
僕たちは顔を見合わせて笑った。
「にぎやかだな」
軽く扉をたたく音がした。
使用人たちは僕が呼ぶまで
サロンには来ないはずだったけど。
「兄様」
兄は別だ。
ラグの上に座っていた
ライリーとサイラスが
驚くほど素早く
立ち上がって
兄に頭を下げる。
「兄様、僕の友達の
ライリーとサイラスだよ」
「あぁ、知っている。
二人とも、エレミアスと
仲良くしてくれているようだな」
二人は兄に名前を名乗ろうと
していたみたいだけど、
兄がすぐに言葉を続けたので、
何も言わずにうなずく。
「これからも頼んだぞ」
「はい」
「もちろんです」
って二人が返事をすると
兄は満足そうにうなずいた。
「エレ、お前の婚約式の
日取りが決まった」
「僕の? ガイと?」
「そうだ。
場所は王宮ですることになった」
「「「え?」」」
僕たちの言葉が重なった。
「そこの友人たちも
来てもらえばいい。
招待状の手配をしておこう」
「兄様、なんで王宮……?
僕とガイの婚約式なのに」
「殿下たちがお前と
茶会をしたいというから断った。
何度も打診されて
いい加減にしろと
怒鳴ってやったら、
婚約式の場を提供すると
陛下が言い出してな」
「殿下に怒鳴る……?」
「陛下が妥協案を出してくるっておかしくないか?」
ライリーとサイラスが
小さく何やらつぶやいている。
「仕方がないから、
提案に乗ってやることにした。
エレ、お前は何もしなくていい。
面倒なことは俺がしておく。
婚約式に呼ぶ友人は
その二人とロチェスター家の
ヴァレンティーナ嬢だけでいいな」
「うん、ありがとう兄様」
「このあと、ガイディスも
屋敷に来るだろう。
相手をしてやれ」
「ガイが来るの?」
「あぁ、婚約式の日が決まり
浮かれていたからな。
馬鹿な真似をしないよう
釘をさしてやれ」
意味がよくわからないけど
僕はうなずく。
「では、俺は着替えてくる。
友人たちは、遅くならないうちに
馬車を出すように」
それだけ言って、
兄はサロンを出て行く。
「まって、エレ様、
どういうことだ?
俺たち、王宮に呼ばれたってことか?」
「違うだろう、サイラス。
呼ばれたのは、エレ様の
婚約式で、会場が王宮なんだ」
「なんで?
会場が王宮って意味わかんねーぞ。
は?
俺、どうしたらいい?
服、服は何着ればいいんだ?」
「そんなの僕もわかんないよ。
王宮なんて、デビュタントで
1度行っただけだし。
あの時の服を着れば……?
いや、入るわけない、
あれから身長もかなり伸びたし」
兄がいなくなった途端。
二人が真っ青な顔で僕を見る。
「「エレ様!」」
「え、えっと?
婚約式、来てくれたら
嬉しいんだけど」
僕がそういうと、
二人は「気持ち的には行きたいです」
と、僕の前で膝をつく。
「ぼっちゃま」
そこにアンナがやってきた。
「兄君様が、お客人を
お送りするようにと」
「そうだね。
もう夕方だもんね」
「馬車の準備ができております」
アンナの言葉に
僕は二人を立ち上がらせた。
「えっと、僕に何が
できるかわかんないけど、
また学院で話をしよう?」
「そうですね」
「そうだな」
二人はうなずく。
「では、こちらへ」
とアンナが二人を促すので、
僕も二人と一緒に
玄関まで行く。
「二人とも、またね」
「ええ、次は学院で」
「楽しかったぜ。
うまかったし、ありがとな」
僕は二人を見送ったけれど、
まだ玄関にいる。
「ぼっちゃま?
どうされましたか?」
セバスチャンが聞いてくる。
「ガイがね、来てくれるんだって」
さっき兄が言っていた。
「どうせなら、
このままで迎えようかなって」
「いけません。
ここは寒うございます。
さぁ、お部屋かサロンへ
お戻りください」
強い口調で言われて
僕はひるんでしまう。
「またお熱を出されますと、
学院に行く日が遠きます」
確かに、って僕は思った。
兄は過保護だから、
このまま学院に行かないまま
長期休みに入る可能性も出てきてしまう。
「わかった。
じゃあ、サロンにいるから
ガイが来たらよろしくね」
「かしこまりました」
セバスチャンが頭を下げ、
アンナが僕を促す。
「ぼっちゃま、
サロンでお待ちの間、
本でもお持ち致しましょうか?」
「そうだね、お願い」
ティーナに新しく借りた
恋愛小説をまだ読み終えてなかった。
僕はアンナに小説を
取りに行ってもらうことにして、
さっきまで遊んでいた
サロンに一人で戻る。
友達と遊ぶのは
ものすごく楽しかったけれど。
楽しい時間は、
終わったら寂しくなるんだ。
と、気が付いて
僕はしんみりしてしまった。
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期待されることを恐れるセナと、期待されないことに傷つくアレクシスは、すれ違いながらも互いを唯一の居場所として見つけていく。
これは、静かに生きたい少年と、選ばれたかった少年が出会った物語。
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