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67:騎士候補の結婚事情
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それから僕たちは
床に座ったまま
レモンのケーキを食べて、
ぬるくなった紅茶を飲んだ。
ここには僕が呼ばないと
誰も来ないよ、って
二人に伝えたら、
安心したみたい。
二人はテーブルを
ラグのそばまで動かして、
僕が貸してあげた
クッションを背中に当てたり、
座ったりしながら、
他愛もないことを
おしゃべりした。
サイラスは気が付けば、
クッションを抱き込んで
寝そべりながら話をしている。
友達と寝そべりながら
おしゃべり、って
なんだか楽しそう。
ライリーは行儀が悪い、
って言うけれど。
僕は思い切って
ライリーを誘って
サイラスの隣に寝転がってみた。
「ライリーも早く」
って僕が言うと、
ライリーは、え? え? っと
言いながら、僕の隣に
寝そべった。
僕が真ん中で、
皆でクッションで
体を支えながら寝転がる。
「ふふ、なんか楽しいね」
って僕が言ったら、
ライリーも「そうですね」
って言ってくれた。
「ねぇ、そういえば
二人とも婚約者は
いないって言ってたよね」
「ええ、まぁ」
「それがどうしたんだ?」
僕は騎士団で見た
『両片思いのすれ違い』の
話を少しだけした。
王女様の話になるので、
詳しくは言わなかったけれど。
寂しそうな女性と
偶然出会って、
話を聞いていたら
そこに男性が飛び込んできて、
二人が仲直りした、って話だ。
「小説みたいだったんだよ。
だからね。
二人も、もしかしたら
好きな人と両片思いとか
あるかもしれないって、
教えてあげたくて」
「エレ様、俺たちは
それ以前の話だ」
サイラスが残念そうに言う。
「それ以前?」
「エレ様、僕たちのような
下級で貧乏貴族の、
しかも次男と
結婚したいという
相手はあまりいないんです」
「えぇ? そうなの?」
二人とも、こんなに
面倒見が良くて
素敵な友だちなのに?
「僕たちみたいな次男は
そもそも貧乏だし、
爵位はもらえないし。
騎士として出世できたら
また違うのかもしれませんが」
「結婚してもうまみがないだろ。
養ってもらえるわけでもなく、
金で苦労するのは目に見えている。
なら、結婚して2人で2倍の
苦労するよりも
1人で、1人分の苦労を
した方がいいって考え方だ」
ライリーの説明に、
サイラスが付け足す。
僕はお金の話になると
正直、疎い。
ありがたいことだけど、
僕はお金の心配をしたことがないから。
「でも。
結婚したら苦労は二倍かも
しれないけれど。
好きな人と一緒にいたら
幸せはそれ以上だと思うんだけどな」
僕がガイといたら、
ものすごく幸せだもの。
「それは、そうかもしれませんね」
とライリーは言ってくれたけど。
「政略結婚で最初から
愛し愛されるのは
難しくないか?」とサイラスが言う。
政略結婚!
僕は貴族は政略結婚が多いって
ことを思い出した。
そういえば、もともと、
ガイと僕も政略結婚になる、はず。
「エレ様は最初から
愛される関係を築くことが
できてよかったですよね」
ライリーが言い、
僕は、そうかも、と思う。
「じゃあ。二人は今、
婚約者も好きな人もいないの?」
僕の問いに二人は苦笑する。
「俺ら、そもそも出会う場がないし」
「政略結婚って言うのは、
互いにメリットがあるから
婚姻するわけですし。
下級貴族の次男が
相手の家に与えるメリット
ってあまりないですからね」
「学院で出会える女子も、
ヴァレンティーナ女史だけだったしな」
サイラスの言葉に、ライリーが笑う。
僕は二人の会話に、
自分が狭い世界で
生きていたことを改めて
思い知らされた気がした。
僕が考えることは、
どれも貴族社会からは
外れた考え方で。
でも二人はそれを
否定するでもなく、
僕に合わせて話をしてくれる。
僕が知らないことを
馬鹿にするでもなく
教えてくれるんだ。
「二人とも、ありがとう」
友達になってくれて。
僕がお礼を言うと、
二人は、なんでお礼?と
首をかしげている。
「じゃあ、二人とも
結婚とはか考えてないの?」
「どうだろうな。
そういう機会があれば、かな」
サイラスは考えるように言う。
「政略結婚ではないですが、
騎士同士で結婚というのも
あるみたいですよ」
ライリーは言う。
「騎士同士だと、
互いに仕事のことも
理解してますし。
一人分の給与より
二人分の給与で
働けるうちに貯金をして。
結婚していれば、
同性婚だと子供は無理ですが
どちらかに何かあっても。
たとえば職務中に、
騎士に復帰できないような
怪我をしたとか、
殉職したとか。
そういう時は国から
かなりの保証金が出ます。
老後に一人というのも
寂しいですし、
気の合う者ができたら
騎士仲間の延長で
伴侶を決める者も多いらしいですよ」
「そうなんだ。
じゃあ……」って僕は
二人を見た。
「ライリーとサイラスは
お似合いだね」
幼馴染で友達で、
仲の良い騎士仲間になると思う。
それに好きな人も
婚約者もいないんだったら
二人が伴侶になる条件は
そろってると思うんだ。
そういう意味で僕は言ったんだけど。
何故か二人は、互いに顔を
見合わせて、真っ赤になった。
「な、なにいうんだよ、エレ様!
「そうですよ、サイラスと
ずっと一緒だなんて、
僕はどこまでこいつの
面倒を見ないとダメなんですか」
何をそんなに慌ててるんだろう。
「でも二人は仲良しで
騎士仲間で、婚約者はいないんでしょ?」
「そうですね……って、
そうですね。
エレ様は条件があってるから
僕たちがお似合いって
言ったわけか」
「なんだ、そうかよ。
驚かせるなっての」
二人は納得したみたいだけど
何に納得したの?
「いいんです、エレ様はそのままで」
なんてライリーが会話を
締めくくってしまった。
よくわかんなかったし、
何が? なんで? って
聞きたかったけれど。
真っ赤な顔の二人に、
結局何も言えなくて。
僕は仕方なく
抱えていたクッションを
ぎゅーってしてしまった。
床に座ったまま
レモンのケーキを食べて、
ぬるくなった紅茶を飲んだ。
ここには僕が呼ばないと
誰も来ないよ、って
二人に伝えたら、
安心したみたい。
二人はテーブルを
ラグのそばまで動かして、
僕が貸してあげた
クッションを背中に当てたり、
座ったりしながら、
他愛もないことを
おしゃべりした。
サイラスは気が付けば、
クッションを抱き込んで
寝そべりながら話をしている。
友達と寝そべりながら
おしゃべり、って
なんだか楽しそう。
ライリーは行儀が悪い、
って言うけれど。
僕は思い切って
ライリーを誘って
サイラスの隣に寝転がってみた。
「ライリーも早く」
って僕が言うと、
ライリーは、え? え? っと
言いながら、僕の隣に
寝そべった。
僕が真ん中で、
皆でクッションで
体を支えながら寝転がる。
「ふふ、なんか楽しいね」
って僕が言ったら、
ライリーも「そうですね」
って言ってくれた。
「ねぇ、そういえば
二人とも婚約者は
いないって言ってたよね」
「ええ、まぁ」
「それがどうしたんだ?」
僕は騎士団で見た
『両片思いのすれ違い』の
話を少しだけした。
王女様の話になるので、
詳しくは言わなかったけれど。
寂しそうな女性と
偶然出会って、
話を聞いていたら
そこに男性が飛び込んできて、
二人が仲直りした、って話だ。
「小説みたいだったんだよ。
だからね。
二人も、もしかしたら
好きな人と両片思いとか
あるかもしれないって、
教えてあげたくて」
「エレ様、俺たちは
それ以前の話だ」
サイラスが残念そうに言う。
「それ以前?」
「エレ様、僕たちのような
下級で貧乏貴族の、
しかも次男と
結婚したいという
相手はあまりいないんです」
「えぇ? そうなの?」
二人とも、こんなに
面倒見が良くて
素敵な友だちなのに?
「僕たちみたいな次男は
そもそも貧乏だし、
爵位はもらえないし。
騎士として出世できたら
また違うのかもしれませんが」
「結婚してもうまみがないだろ。
養ってもらえるわけでもなく、
金で苦労するのは目に見えている。
なら、結婚して2人で2倍の
苦労するよりも
1人で、1人分の苦労を
した方がいいって考え方だ」
ライリーの説明に、
サイラスが付け足す。
僕はお金の話になると
正直、疎い。
ありがたいことだけど、
僕はお金の心配をしたことがないから。
「でも。
結婚したら苦労は二倍かも
しれないけれど。
好きな人と一緒にいたら
幸せはそれ以上だと思うんだけどな」
僕がガイといたら、
ものすごく幸せだもの。
「それは、そうかもしれませんね」
とライリーは言ってくれたけど。
「政略結婚で最初から
愛し愛されるのは
難しくないか?」とサイラスが言う。
政略結婚!
僕は貴族は政略結婚が多いって
ことを思い出した。
そういえば、もともと、
ガイと僕も政略結婚になる、はず。
「エレ様は最初から
愛される関係を築くことが
できてよかったですよね」
ライリーが言い、
僕は、そうかも、と思う。
「じゃあ。二人は今、
婚約者も好きな人もいないの?」
僕の問いに二人は苦笑する。
「俺ら、そもそも出会う場がないし」
「政略結婚って言うのは、
互いにメリットがあるから
婚姻するわけですし。
下級貴族の次男が
相手の家に与えるメリット
ってあまりないですからね」
「学院で出会える女子も、
ヴァレンティーナ女史だけだったしな」
サイラスの言葉に、ライリーが笑う。
僕は二人の会話に、
自分が狭い世界で
生きていたことを改めて
思い知らされた気がした。
僕が考えることは、
どれも貴族社会からは
外れた考え方で。
でも二人はそれを
否定するでもなく、
僕に合わせて話をしてくれる。
僕が知らないことを
馬鹿にするでもなく
教えてくれるんだ。
「二人とも、ありがとう」
友達になってくれて。
僕がお礼を言うと、
二人は、なんでお礼?と
首をかしげている。
「じゃあ、二人とも
結婚とはか考えてないの?」
「どうだろうな。
そういう機会があれば、かな」
サイラスは考えるように言う。
「政略結婚ではないですが、
騎士同士で結婚というのも
あるみたいですよ」
ライリーは言う。
「騎士同士だと、
互いに仕事のことも
理解してますし。
一人分の給与より
二人分の給与で
働けるうちに貯金をして。
結婚していれば、
同性婚だと子供は無理ですが
どちらかに何かあっても。
たとえば職務中に、
騎士に復帰できないような
怪我をしたとか、
殉職したとか。
そういう時は国から
かなりの保証金が出ます。
老後に一人というのも
寂しいですし、
気の合う者ができたら
騎士仲間の延長で
伴侶を決める者も多いらしいですよ」
「そうなんだ。
じゃあ……」って僕は
二人を見た。
「ライリーとサイラスは
お似合いだね」
幼馴染で友達で、
仲の良い騎士仲間になると思う。
それに好きな人も
婚約者もいないんだったら
二人が伴侶になる条件は
そろってると思うんだ。
そういう意味で僕は言ったんだけど。
何故か二人は、互いに顔を
見合わせて、真っ赤になった。
「な、なにいうんだよ、エレ様!
「そうですよ、サイラスと
ずっと一緒だなんて、
僕はどこまでこいつの
面倒を見ないとダメなんですか」
何をそんなに慌ててるんだろう。
「でも二人は仲良しで
騎士仲間で、婚約者はいないんでしょ?」
「そうですね……って、
そうですね。
エレ様は条件があってるから
僕たちがお似合いって
言ったわけか」
「なんだ、そうかよ。
驚かせるなっての」
二人は納得したみたいだけど
何に納得したの?
「いいんです、エレ様はそのままで」
なんてライリーが会話を
締めくくってしまった。
よくわかんなかったし、
何が? なんで? って
聞きたかったけれど。
真っ赤な顔の二人に、
結局何も言えなくて。
僕は仕方なく
抱えていたクッションを
ぎゅーってしてしまった。
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